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SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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Kewill Systems
電話、FAX でしか対応できない顧客企業にも迅速な電子取引化を可能にしたシーメンス

Kewill Systems は、Extensible Markup Language (XML)メッセージを扱ってルーティングするために、BizTalk™ Server 2000 を利用してサプライチェーンマネジメントのソリューションをホスティングするポータル、Kewill.Netを構築しました。Siemens オートメーション推進部門は同社の B-to-B ポータル、SmartTrader をホスティングするために Kewill.Net を選んで 1 ヶ月も経たないうちに、電子取引機能をあらゆる顧客層へと拡大できました。

背景

ビジネスの世界では、経験則から 2 割の顧客がビジネスの 8 割の売上に貢献していると言われています。かつて、Electronic Data Interchange (EDI)ベースのソリューションを導入する余裕のある企業が、この理論を電子取引の分野に当てはめた考えがありました。つまり、8 割の売上に貢献する 2 割の上得意顧客に EDI を利用するように奨めれば、8 割のビジネスが電子化して管理できると考えたのです。しかし、実際には Meta Group の調査によると、平均してわずか 5 ~ 7% の企業のみがビジネスを電子化しているに過ぎません。その上この戦略では、売上に貢献しないとされていた残りの 8 割の顧客においても、電子化を適用させる必要があるという点が考慮に入れられていません。これらの顧客はビジネスプロセスがそれぞれ若干異なっており、また一般に社内システムがそれほど洗練されていないため、これら 8 割の企業との取引は、事務作業の悩みの 8 割を占める原因となっているのです。

ビジネスの課題

これは、世界最大手のオートメーションテクノロジサプライヤであるイギリスの Siemens オートメーション推進部門にも同じことが言えました。同社は長年にわたり多くのパートナーとの取引に EDI ベースのシステムをうまく利用していました。しかし、紙と電話ベースの発注プロセスを利用しているような残りの顧客にも電子商取引機能を広げることを望んでおり、同時に小規模な顧客企業が利用しているさまざまな運用要件に適応する、拡張性のあるソリューションを求めていました。そして、これまでの取引ソリューションを使って実現できていたものよりも、さらにサプライ & デマンドチェーンを拡張できるソリューションを探していました。

ソリューション

B-to-B ポータルの SmartTrader は、顧客、特に小規模事業者の独特なニーズに合わせて構築されました。Siemens は自分でソリューションを構築するのではなく、すでに Kewill.Net というビジネスポータルソリューションを構築している Kewill Systems の支援を受ける決定をしました。「Kewill は Kewill.Net で、バリューチェーンを管理するアプリケーション群をホスティングしています。」と Kewill.Net マーケティングマネージャ Matthew Buskell 氏は話します。「特に"顧客"向けに設計された取引用アプリケーション Kewill.Trade Demand では、Siemens のニーズにあった機能を実現できました。そのブランドを使い、SmartTrader が構築されたのです。」

SmartTrader は 1 ヶ月もしないうちに効果を実感できました。あらゆる Siemens の顧客は、EDI、XML、または単純に Web ブラウザを使ってポータルにアクセスするといった、手段を問わずインターネットを介して同社とのビジネスを進められるようになりました。同時に顧客のシステムと統合して、発注の準備作業をオフラインで行えます。そして顧客は、これらの発注内容をシステムに送り込み価格を計算し、オンラインで発注をかけます。SmartTrader を使えば、かつて複雑さとコスト高のためにしぶしぶ電子取引システムを利用していた企業も、今や操作が簡単な電子商取引システムの恩恵を受けています。

Kewill.Net では、取引に使用するデータの管理とやり取りの基本的な手段としてXMLを使用しています。これらの XML メッセージの管理とルーティングには、Microsoft BizTalk Server 2000 を使っています。「BizTalk と XML を活用することで、Kewill.NET は Siemens の顧客と、社内のレガシーシステムの両方で必要とされる複数のデータフォーマットが、現時点でも、将来に向けてもサポートできるようになりました。」と Buskell 氏は話します。取引先がまだ EDI を利用している場合にも、BizTalk は 2 つのドキュメントフォーマット間で変換をすることができます。この作業は BizTalk Server に含まれるグラフィカルデータ変換ツール BizTalk Mapper を使って行われます。このツールを使うと、顧客は XML といった構造化ビジネスドキュメントフォーマットやフラットファイルを、EDI にマップすることができます。EDI ドキュメントテンプレートは、ANSI X12 と UN/EDIFACT EDI ドキュメントライブラリの両方の共通バージョンに含まれています。

Kewill がマイクロソフトを選んだ理由

BizTalk を使うことで、Kewill は一連のビジネスアプリケーションを展開するために必要なツールを標準化することができ、結果的にそれらのアプリケーションを市場にすばやく、より効果的に展開することができました。 「私たちは BizTalk Server 2000 導入の最初のデマンドチェーンになるために躍起でした。」と Buskell 氏は熱く語ります。「高品質なソリューションを開発できるパワフルなツールをもつ BizTalk Server のお陰で、私たちは期待以上の成果が上げられ、それは今後の私たちの開発戦略においてはキーとなるテクノロジになりました。BizTalk によって私たちの開発作業が軽減できたため、バリューチェーンの供給と需要の両面に確固たる電子処理ソリューションを提供できる、という我社のセールスポイントにさらに重点的に取り組むことができるようになりました。」
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.NET Enterprise Servers は、統合型 Web 対応のエンタープライズをすばやく構築、管理することを実現する、Microsoft の包括的なサーバー製品群です。パフォーマンスをミッションクリティカルな要素として、スケーラブルに設計されている Microsoft .NET Enterprise Servers は、グローバルで Web 対応したエンタープライズに信頼性と管理のしやすさをもたらすと同時に、クラス最高のパフォーマンスを実現しています。Microsoft .NET Enterprise Servers は、現在の Web 標準を使用することで相互運用性を追及するためにゼロから構築することが可能です。XML を採用することで、.NET Enterprise Servers はハイレベルな統合と相互運用性を実現しています。すぐに活用することができるアプリケーションの提供と、世界最大規模の開発者とソフトウェアベンダーをベースとしたパートナーによって、.NET Enterprise Servers は Web 対応を考えるエンタープライズに、市場への即応性を提供します。

詳細情報

SmartTrader についての詳細は、以下のウェブサイトをごらん下さい。
http://www.kewill.com/


©2001 Microsoft Corporation. All rights reserved.
本ケーススタディは、情報提供のみを目的としています。 Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
Microsoft、.NET ロゴ、SQL Server、Windows、および Windows NT は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。その他、記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
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シャープ株式会社

Microsoft® BizTalk® Accelerator for RosettaNet 2.0 の導入で
ロゼッタネットによる取引先との迅速な技術交流を実現
製品開発における期間短縮とグローバル化を推進

エレクトロニクス業界を取り巻く環境は、IT 化、ネットワーク化という情報インフラにおける技術革新により、目まぐるしいスピードで変化を遂げており、新たな市場開拓を目指した熾烈な競争がワールドワイドで繰り広げられています。シャープ株式会社 (以下、シャープ) では、世界各国の企業にさまざまなデバイスを供給している電子部品事業本部において、取引先や関連企業との円滑な技術情報のやり取りを実現し、また、開発期間の短縮化を図るため、企業間電子商取引のグローバル スタンダードであるロゼッタネットを採用。その仕組みを実装するにあたって選定されたのは、マイクロソフトが提供する Microsoft BizTalk Server 2002 と、ロゼッタネット接続のためのアクセラレータ製品である BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 でした。

<導入の背景と狙い>
製品の世代交代が激しい開発競争の中で
迅速な開発に役立つコラボレーション環境を整備する



シャープ株式会社
電子部品事業本部
化合物半導体事業部
企画部長
中村貞夫氏

高度な技術力を背景に、エレクトロニクス業界においてグローバルなビジネスを展開するシャープ。そのデバイス部門である電子部品事業本部は、「オプトデバイス事業部」、「化合物半導体事業部」、「部品事業部」の3つの事業部から構成され、半導体レーザ、ホログラムレーザ、OPIC 受光素子、LED 、赤外線通信ユニット、高周波部品などを、開発、生産し、世界各国のメーカーに供給しています。特に、スタンダードオプトデバイスの分野では、ワールドワイドの市場において、19 年連続でシェア NO.1 の実績を誇っており、さらに最近では、SS (Spread Spectrum :スペクトラム拡散方式) 無線関連デバイスの開発にも力を注ぐなど、幅広い分野でその技術力が発揮されています。

この電子部品事業本部の中で、主に CD-R ドライブなどの光ピックアップ用デバイスを開発、生産している化合物半導体事業部では、進歩の激しい同分野において次世代商品を効果的に開発するために、製品の開発、設計段階から取引先や関連企業との円滑な技術情報のやり取りを実現するため新たなネットワークシステムの構築のために、ロゼッタネットの基盤を採用することになりました。

電子部品事業本部がターゲットとする業界、そして提供する製品の特徴として、その変化のスピードを指摘するのは、シャープ 電子部品事業本部 化合物半導体事業部 企画部長の中村貞夫氏です。

「パソコン用の光ディスクドライブは、CD-ROM から始まって、DVD-ROM 、CD-R/RW 、コンボドライブと進化を遂げていますが、その製品サイクルは非常に早くなってきています。たとえば、CD-ROM ドライブの場合、1995 年に 4 倍速が登場し、その後、8 倍速、16 倍速、24 倍速、48 倍速という具合にスピード競争が進みました。この結果、半年後には世代が変わり、旧世代のものは売れない状況となっていました」(中村氏)

パソコン業界全体が不振だった 2001 年にはさらにこの傾向が強まり、各社の性能競争が激化した結果、わずか 3 か月間で世代交代が起こり、乗り遅れたメーカーは脱落していくという状況がみられました。

このような変化の激しい業界で新製品を開発、提供し続けるためには、社内だけでなく、取引先や関連企業との間でのタイムリーな情報交換が必須となります。たとえば、化合物半導体事業部が最近開発した、CD-R ドライブで業界最速となる 48 倍速の書込み速度に対応した光ピックアップ用赤外高出力レーザの場合でも、レーザドライバ、サーボ用IC、ディスクを回すモーターの性能など多くの部分で関連メーカーとの間での細かな情報共有と迅速な連携、「 Agility 」が必要不可欠でした。最新の技術情報を取引先や関連企業へ「いかに迅速に」伝えるかが大きなポイントなのです。

「当社だけで先行しても上手くいきません。そこで、デバイスを提供している各取引先との間で、設計段階から技術情報を交換しながら最終的な商品を作り上げています。しかし、データのやり取りにはどうしても時間がかかるため、新たな仕組みを導入することによって、より効率的でスマートな情報交換の場を実現したいと考えました」今回のシステム導入の狙いについて中村氏はこう語りました。

<マイクロソフト製品選択の理由>
ロゼッタネットとの親和性、システム開発の迅速性、容易性、
そして将来的な社内システムとの連携も視野に入れる



シャープ株式会社
電子部品事業本部
IT 推進室
副参事
森本清己氏

取引先や関連企業との間で円滑に技術情報をやり取りするための新たな仕組みとして、注目したのが「ロゼッタネット」でした。シャープ電子部品事業本部では、1995 年から情報公開の目的でホームページを開設していましたが、その後、単なる一般向けの公開からさらに一歩踏み込み、次世代商品の技術情報を関連する取引企業に対してプッシュ型で提供しようという考えを持ち始めました。

「当初は E-CALS にも着目していたのですが、情報を集めているうちに、ロゼッタネットに関する進展が非常に早いことに気付き、その仕組みを活用できるのではないかと考えました。特に当社の場合は、ワールドワイドでビジネスを展開していますので、グローバル スタンダードであるロゼッタネットは最適だったのです」とシャープ 電子部品事業本部 IT 推進室 副参事の森本清己氏は、ロゼッタネット採用の理由を語ります。

重要得意先が、ロゼッタネットを推進していた点も選定の際のポイントとなり、2001 年末にはロゼッタネットを使った新しい情報交換の仕組みを構築することが決定され、さっそく採用するシステム基盤についての選定を開始しました。選定基準としては、システム立ち上げに関わる初期投資、開発工数を抑え、低いハードルでスタートできることと、その後のビジネス状況に応じて大きく拡張していけることが重要なポイントでした。

「コスト面なども考慮して、効率的なシステムはないかと調査を続けている際、以前から他のシステム構築で面識のあったマイクロソフト社に相談し、当時開発中の新製品、BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 を紹介いただきました。その後、他のパッケージソフトを含め、詳細に比較検討を行いました結果、基本機能、性能、ロゼッタネットとの親和性やコストパフォーマンス、そして将来的な社内システムとの連携なども考慮して BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 の採用を決定しました」(森本氏)

さらに、グローバル戦略を視野に入れた同社のネットワーク システムを実現できることも重要なポイントでした。「これまでは、日本のマーケットが中心だったのが、最近では台湾や中国などのメーカーや生産拠点との取引が増えており、世界規模で永続的なマーケット展開が必要になります。この意味で、今回のシステムは世界中の企業とシームレスなネットワークを構築できる仕組みが必要だったのです。 BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 はこの要件にも合致していました」と中村氏は強調しました。

<開発経緯と評価>
わずか 1 か月という早期システム構築を実現
コンサルティングによる技術支援も有効活用

新システムでは、Microsoft Windows® 2000 Server をベースに、 Microsoft BizTalk Server 2002 、そして BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 がセットされています。ロゼッタネットを使った取引先とのやり取りであるパブリック プロセスは、BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0の機能で実現し、社内の業務システムとの連携やビジネス プロセス統合を含むプライベート プロセスについては、BizTalk Server 2002 の提供機能を使ってコントロール。一貫したビジネス プロセスの自動化を図っています。

具体的なシステム開発の検討が始まったのは 2001 年末からで、システム稼動までの期間は約半年間。様々な評価やテストの期間を除くと、実際の開発はわずか 1 か月余りという短期間でシステム構築が実現できました。BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 では、ロゼッタネットで使用される RNIF 2.0(RosettaNet Implementation Framework)に完全に準拠しており、さらにすべての PIP(Partner Interface Process)にも標準で対応しています。ダイヤログベースの対話型での設定でシステムを構築することが可能なため、コーディングやテストなどの開発作業を極力減らすことが可能です。ロゼッタネット対応システムを短期間で構築するというビジネス要件を満たす上でも、BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 を採用した効果が発揮されました。

「まずは一か所、取引先とのロゼッタネットによる技術交流を実現し、その効果を確認しながら徐々にシステムを拡張していこうと考えていました。BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 の採用、そして当初のシステムの作り込み作業があまり多くなかったこともあり、短期間での構築が実現できました。ちょうど、電子部品業界全体でロゼッタネットを活用していこうという時期だったので、タイミングも最適でした」(森本氏)

シャープでは事業本部ごとに情報システム部門が配置されていますが、システムの高度化、専門化にともない、外部に開発を委託することも少なくありませんでした。しかし、今回新システムを構築するにあたって、その基本的な開発作業は社内の情報システム部門が担当し、これに加えてマイクロソフトのコンサルティング サービス (MCS)を活用、スムーズなシステム開発と早期構築を実現しました。

「今回のシステム開発では、情報システム部門の 2 名のスタッフが業務に即した全体の設計をまとめ、実際のシステム構築はマイクロソフトのコンサルタントに支援していただきました。また、同じくマイクロソフトのプレミア サポート契約も利用し、総合的にさまざまな技術的コンサルティングを受けられたことは非常に有効で、これによって早期構築が実現できたと考えています。今後も、コストパフォーマンスが高く、開発作業負荷が少ない、そして確実に業務が遂行できるシステムの提案をマイクロソフトに期待しています」(森本氏)



システムの概略フロー


<導入効果と期待>
Web 上で最新の技術情報を取引先に公開
新製品の開発期間の短縮に大きく貢献

今回導入したシステムは、第1フェーズとして位置付けられ、本格的な運用がスタートするのは 2002 年 9 月からですが、既に、さまざまな技術情報がセキュリティを充分確保した形で Web 上に公開されています。

「関連企業に対する技術情報提供は、以前は紙ベースのカタログを 2 年に一度配布していたのが、現在は CD-ROM で年 1 回提供していますが、これには 2 つ問題があります。まず商品のライフサイクル自体が 6 か月を切っている現状、これでは到底技術の進歩に追いつけません。また、提供している情報は完成済の商品に関するものだけで、現在開発中の情報はまったく含まれません。これらの問題を解決し、新製品を迅速に市場に投入するためにも、今回のロゼッタネット システムには大いに期待しています。今後もしばらくは CD-ROM を継続して提供していくことになりますが、最終的にはロゼッタネットに移行できると考えています」(中村氏)

BizTalk Server 2002 と BizTalk Accelerator for RosettaNet 2.0 をコアとして構築された新システムは、技術情報をこれまでにないスピードでやり取りすることによって、新製品の開発期間を短縮するという全社的なビジネス戦略の重要な一端を担っています。

「今回のネットワークシステムは、設計段階から製品化に至る開発期間を短縮することに効果が想定されます。本格的な運用がスタートするのはまだこれからなので、具体的な導入成果が見えてくるのはもう少し先になります。当社にとっても取引先にとっても大きなメリットをもたらすことになるでしょう。最新の技術情報をスピーディに提供することで、お客様とさらに密接な関係を結びたいと考えています」(森本氏)



システムの構成


<今後の展望>
世界中の企業との技術情報の交流へ展開
事業本部の垣根を超えたシステム連携を推進

今回のシステムでは、第 1 フェーズとして基本的にカタログベースの技術情報が中心になっていますが、今後、各製品の 3 次元情報や各種シミュレーション情報なども追加されていく予定になっています。さらに、技術情報に関する取引先からの質問に回答する仕組みも構築中です。

最後に、今後の展望について森本氏は、

「第1フェーズでの導入効果を確認したうえで、将来的にはグローバルスタンダードであるロゼッタネットのメリットを活かし、世界中の企業とのネットワークを広げていきたいと考えています。それに伴い。今後はトランザクションの量も増えてくると思いますので、クラスタ構成を含めたシステムの拡張を視野に入れていこうと考えています。また、BizTalk Server 2002 には、他のシステムと容易に連動できるオーケストレーション機能がありますので、これも積極的に活用していきたいと考えています。今回、BizTalk Server 2002 を導入するメリットを生かしたい」と意欲を示しました。
情報システムの将来性を考えて、オフコンなどのレガシー システムをオープン システムに移行してビジネス変化への対応を目指す企業が増えています。昨年創業 50 周年を迎えた中華食材の卸売業を営む神戸市の廣記商行でも、変化への対応を果たせる柔軟性をもったシステムへの移行が急務でした。しかし同社が 15 年の長きにわたって使い込み、システムが作りこまれてきたオフコンによる業務システムの完成度は非常に高く、オープン システムへの移行には多くの難点がありました。その最大のものは、従来のビジネス ノウハウを完全に継承しながら業務をより効率化していくことでした。その解決のために同社が選んだのは .NET Framework を利用してビジネス ロジックを継承しながらシステムを一から作りこむことでした。短工期で従来システムを超える効果を実現するという難問に果敢に挑戦した同社は、オープン システムならではの柔軟性と将来性を手に入れることに成功したのみならず、従来からの顧客中心のビジネスをさらに発展させ、商品の受注から配送までの時間の大幅短縮、営業活動のさらなる高度化、販売情報のきめ細かい把握や決算などの情報分析および活用の効率化など、業務と経営のスピード化を実現しました。

<導入の背景と狙い>
15 年間「作りこんだ」オフコンに限界が見えた



株式会社廣記商行
代表取締役社長
鮑 悦初 氏


株式会社廣記商行は、1953 年に神戸市で創業し、横浜、長崎と並ぶ中華街として知られる南京町をはじめ神戸市全域の中華料理店や全国のスーパーや小売チェーンへの食材卸売りを一手に担う企業に成長してきました。同社の顧客は約 3,000、毎日の注文は 4,000 行 (明細) に及びます。その受注から出荷に至る業務を約 100 名の従業員がこなします。
「餃子の皮 20 パック、シュウマイの皮 8 パック~」などと、同社への注文は小ロットで多品目。得意先 1 軒1 軒から、電話やファックスで注文が届きます。注文品目は必ずしも銘柄などがはっきりと指定されるとは限りません。しかも中華料理店をはじめとする顧客の営業時間はさまざまで、日中、夜間を問わず注文が入り、それを翌日の午前中には配送を開始しなければなりません。顧客にとっては 1 対 1 の関係でも、同社から見れば 3,000 対 1 での仕事。しかしそれでも個々の顧客に密着してビジネスを行うのが同社の方針です。

顧客を中心に考えたビジネスのためのシステム拡張が困難に

「『牡蠣油!』と注文があれば、それがどのメーカーの牡蠣油かわからなくても前回の注文を調べて「いつもの牡蠣油」を届けることができる。お客さまのことを考えて、そういうことをしていかなくてはいけない」と語るのは、同社社長の鮑悦初 (ばお ゆうちゅう) 氏。15 年前に導入したオフコンによる業務システムにも、そうした同社の顧客優先の考え方をもとに、徹底した合理化を行うための「作りこみ」が行われてきました。
しかしオフコンでの業務システムをいくら作りこんでも、増え続ける物流の量に対応していくことに限界が見えていました。オフコン導入時に想定した処理量は、約 10 年も前から超過しています。システムを変更していくことで業務が滞りなく進むように工夫を重ねてきてはいましたが、やがて、開発を行おうとしても思うようにはならなくなってきていたのです。鮑 氏は「システムが肥大化してきたというか、あれもこれもと要求が重なっていっていつまで経ってもソフトが完成しないという時期がありました」とかつてを振り返ります。
安定性や信頼性にすぐれるレガシー システムに業務処理を集中させる方式は、かつては最も効率的な情報システムの形態でした。しかし近年ではオープン システムとネットワークによる分散型のシステムが安定性や信頼性の面でも十分に活用できることが実証されています。しかも導入コストも運用管理コストもレガシー システムに比べて著しく低く抑えることができます。さらに将来的な拡張性の面でも、レガシー システムよりもオープン システムのほうに分があります。廣記商行でも、従来システムをオープン システムに移行することで、オフコンの限界を打ち破ることができるのではないかと考えました。

<システム導入の経緯>
パッケージのカスタマイズではノウハウが生かせない



株式会社廣記商行
取締役営業部長
中山 太一 氏


既存システムの問題は、15 年間作りこまれてきたオフコンが度重なるシステム変更によって肥大化および複雑化してきた結果、ビジネス発展にともなうさまざまな要求に応えるためのさらなる変更が容易にできなくなってしまっている点です。それを解決するためのオープン システムの採用は、同社にとっても基本方針でした。しかし、同社がオフコンを利用しながら培ってきた膨大なノウハウや合理的な業務プロセスを、できるだけコストをかけずにオープン システムに移行していく最適な方法は何かが、大きな問題でした。2003 年 2 月から、社運をかけたシステム移行プロジェクトがスタートし、幹部ミーティングが繰り返し開かれ、議論が戦わされました。

業務のノウハウがビジネスの生命線

鮑社長はまず、オープン システムならではの豊富な業務パッケージに注目しました。「これだけ豊富にパッケージがあるのに、一から開発することはないのではないか。むしろパッケージを利用したほうが業界標準に合うのではないか」と、パッケージに業務を合わせる方法を考えていたのです。実際に顧客先のパソコンや携帯端末から発注してもらう形態のシステムについて、複数の提案が同社に持ちかけられてもいました。
しかし、今まで苦労しながら築いてきたビジネスのノウハウが、システム移行で失われはしないかと危機感を抱いていたのが同社の取締役営業部長の中山太一氏です。忙しい仕事が終わって疲れた料理店主が、慣れないパソコン等で本当に注文してくれるのか、これまで培ってきた顧客優先の業務の仕組みをなくしてしまってよいのか。
システム移行については中山氏も諸手を上げて大賛成。しかし、パッケージに業務を合わせる方針にはどうしても納得できなかったのです。
これまで同社の発展を支えてきた営業をはじめとするビジネスのノウハウは何よりも貴重な財産です。顧客優先のビジネスを行ってきた同社のノウハウを活用できるシステムにしなければいけないという中山氏の進言に、鮑社長は膝を叩きました。「それが当社の生命線だと。どの企業にも適用できるパッケージで業務を標準化してしまうと、我々のノウハウを捨てることにもなりかねません」 (鮑社長)。
従来からの業務を完全に継承し、さらに高度化できるシステムへと移行。そしてそれは今後、ビジネス環境の変化に応じて柔軟に対応しながら長期にわたって活用できるものでなければならない。システム像はこのように描かれ、今度はそれを実現する方策を探ることになりました。


完成度の高さに驚いたシステム開発会社

同社は地元の (財) ひょうご中小企業活性化センターの IT 化アドバイザーに構築パートナーの紹介を依頼しました。「オフコンからオープン環境で Windows® を検討している」との条件での依頼に、アドバイザーが紹介したのは株式会社富士通ビジネスシステム (以下、FJB) でした。
FJB はレガシー システムとオープン システム双方に多くの システム構築 実績をもつ会社で、今回のシステム移行についてはうってつけの企業と考えられました。当初は FJB としてもこの案件は基本的な販売管理システムの移行案件だと考えていました。ところが、廣記商行に出向いてオフコンによるシステムを実際に見た FJB の担当者は、その完成度に息を呑むことになりました。
「さてこの蓄積されたいろんなアプリケーションやノウハウをどういうふうに新しいものにもっていくのか」と FJB 関西システム統括部長の浅香直也氏は頭を抱えました。「顔色がだんだん変わっていきましたね。『これは深い』『おまけにこれもあるの?』という感じで」(中山氏)。しかし、浅香部長はやがて廣記商行が本当に目指していることが顧客への対応の速さであることに気づきました。「(システムの仕組みがすべて) 1 秒でも速く受注を入れて、1 秒でも速く出荷してお客さまに品物を届けるんだということに根ざしていました」(浅香部長)。そこから出てくる要求を、FJB の技術力をもってして実現できないと言うことは、FJB としてもプライドが許しませんでした。
そして廣記商行と FJB の 2 人 3 脚でのプロジェクトが本格的に始動しました。困難な要求と極めて短い工期、しかも成果物は必ず従来の完成度の高いシステムと比べられることになります。FJB にとってもリスクをともなうチャレンジとなりました。一方では移行コストも重要です。できるだけ初期コストをかけずに、将来の TCO も低く抑えられるシステムとしなければなりません。

<導入システムの概要>
.NET Framework で将来の拡張性を確保



株式会社富士通ビジネスシステム (FJB)
システム本部
関西システム統括部長
浅香 直也 氏


廣記商行の要望を満たすために FJB が提案したのは、.NET プラットフォームを利用した新システムでした。それは新システムが今後長期にわたって使われ続けることを考慮した結果です。他の方法を使ってもオープン システムにするだけで必ずコストは低下します。しかし、OS のバージョン アップをはじめさまざまな理由で、将来的に細切れに費用が発生することが避けられません。FJB は目先のコスト ダウンだけでは廣記商行のためにはならないと考えました。「.NET なら将来的にもそのまま継続していける、Framework が一緒だったら継続していけるというところで、胸を張って提案させていただけると」(FJB の SE、島田龍也氏)。
また、FJB にはすでに、.NET Framework で構築されたさまざまな業務に適用可能なプログラム モジュールを集成し、「WebAS Component」と名づけて提供していました。もともとは FJB が開発したシステムの一部を再利用できるようにしたものであり、パッケージ ソフトの要素と、委託開発の要素とをあわせ持ち、両方の長所を利用できるソリューションです。今回のケースでは、WebAS Component の販売管理基本モジュールが提供され、その機能を生かしながら、廣記商行の求める機能を Visual BasicR .NET を用いて開発することにしたのです。
この提案は廣記商行に歓迎され、2003 年 4 月から、本格的な構築作業が始まりました。完成の目標期限はわずかに 6 か月。短い工期での構築では、仕様書づくりばかりに時間をかけてはいられません。FJB はどんどんプロトタイプを作り、ただちにデモを行うことを繰り返しました。中山氏はデモを見て納得できればすぐに新たな要求を行いました。こうしてシステムは構築途上でもさらに磨き上げられながら、完成に向かっていきました。
多くの部分が WebAS Component でまかなうことができました。コンポーネント (プログラム モジュール) が利用できる部分は、いわば「イージー オーダー」の開発になり、最初から開発するより短工期、低コストになります。しかし課題は既存のコンポーネントで対応できない部分、特にクイック レスポンスのレベルでした。それはシステムの処理能力というよりも、受注入力などの際の、キーボードのタッチ数をいかに少なくするかが焦点となっていました。さまざまな工夫と苦闘の末、計画どおり、2004 年 1 月にシステムは完成し、稼働を始めました。

<導入システムの効果>
受注処理、商品ピッキング、配送が大幅に効率化



株式会社富士通ビジネスシステム (FJB)
システム本部
関西システム統括部
第一システム部
プロジェクトリーダー
島田 龍也 氏


.NET Framework を利用した新システムが稼動を始めると、社員から「わあーっと歓声があがりました」(中山部長)。新システムは最初から、はっきり目に見える効率化効果を実感させたのです。 まずは入力のスピード。同社では顧客からの電話を担当者が受けて、それをシステムに入力する方式をとり、担当者不在の夜間などには留守録で注文を受けるようになっています。新システムでは、顧客の音声による注文をメモすることもなく、たちまち画面で品物や個数などを選択して入力することができます。音声とほぼ同じ速さでわずか数秒で受注処理が完了します。在庫確認がその時点で行われ、納期の回答もその場で行えます。
午前 7 時からの受注業務で昨夜からの注文を処理すると、次は出荷作業に移ります。9 時前には倉庫からの商品ピッキングが開始できるようになりました。ピッキングにおいてもシステムの情報をもとにして商品や配送先の特定が行われ、電光掲示板などを利用して配送用の商品を振り分けていきます。この部分の合理化により、1 日の配達分のピッキングがわずか 1 時間で完了するようになりました。10 時前ごろには、顧客に向けて商品を積んだトラックが出発できるようになったのです。同社では社員全員が受注作業を担当することになっています。
効果はそれだけではありません。入力されたデータは、請求書や送り状、見積り書の発行とも連動して業務効率を上げたほか、生データを加工することで顧客ごとの販売推移や売れ筋商品発見などのビジネス分析が容易に、思いのままに行えるようになりました。会計処理や決算業務にも生かされ、月次での決算も容易になるなど、経営支援の面からもこれまでにない力を発揮したのです。
「正直、できると思ってました。中小企業ですからコストをかけて駄目でしたというのは許されない。今回は良きパートナーを得て、双方が本気でやってきた。FJB も私自身も褒めてあげたい」(中山部長)。
順調に滑り出した同社の新システムは、高い満足度で社内に受け入れられたのはもちろんですが、受注 ~ 配送という基本業務が合理化された分、顧客への営業活動はよりきめ細かく、十分な時間をとって行われるようにもなりました。それは顧客にとっての満足度向上にもつながります。顧客の 1 人はこのように評価します。「営業力がすごくいいというか、熱心というか。やっぱり中華食材いうたら廣記さん。ほとんどがそうなりますわな」(群愛飯店 施蓮棠氏)。
社内外での高い評価を得た新システムですが、オープン化の真価が問われるのはこれから。変化に即応したバージョン アップの際、本当の利点が生きてきます。
「人間の命には限りがあるけど、経営者が時代時代の要求、時代時代にあった商品だとかサービスだとか、を開発していけば、廣記商行はいわば綿々と存在し続けられる」(鮑社長)。変化に即応してチャレンジを続ける同社は、.NET Framework により、さらなる発展を確信しています。


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