SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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集積回路を製造する際に必要な感光材を製造する工場。当社では、「生産計画」「生産統制」「見える化」をキーワードに、計画作成負担の軽減、進捗管理負担の軽減、目視による進捗状況の確認を可能にする製造実行システム(T-games(※))をM2S dataTubeを使って構築しました。
(※) T-games
(Toyo Gosei Advanced Manufacturing Execution System)
東洋合成工業(株)様がM2S dataTube を用いて独自に開発した先進的な製造実行システムです。
3階建てのこの工場では、製造工程がそれぞれのフロアに分散しているため、進捗状況を把握するには直接現場に行かなければなりません。さらに各フロアには電子機器の持ち込みが制限される防爆エリアがあることから、工場全体の進捗をリアルタイムに把握することが困難でした。 また生産計画は月初に1回マニュアルで作成していたため、月中に新たな注文が入ったり何らかの原因で計画を変更しなければならなくなった場合、生産計画の見直しが容易にできないという問題を抱えていました。
こうした問題を解決するためには、スケジューラと呼ばれる生産計画作成ソフトの導入が最適ですが、通常は進捗データの収集のため、各現場へのパソコンの配備など大規模な投資が必要になってしまいます。
数ある生産計画作成ツールがある中でM2S dataTubeが採用されたのは、進捗データ収集のための操作が直感的で誰にでも出来ること、最新の生産計画に基づくリアルタイム製造指示ができる点が評価されたためです。
ICタグを使った電子カンバンの仕組みはシンプルで、A4サイズの透明バインダーにはさまれた製造指示書を設置されたリーダーライタが装着されたポケットに差し込むだけ。これにより、コンピュータ操作に不慣れな人でも対応でき、どの工程がいつ始まり、いつ終わったかという情報を簡単に取ることができます。防爆エリアで作業をする際も同様の操作で進捗データを収集することができ、かつ、次になにをすべきかの指示を自動で知らせることが可能になりました。また、工場の玄関に設置された液晶パネルには、最新の生産進捗が1分ごとに更新され表示されています。
作業員にコンピュータ操作の教育をすることなく、簡単にデータの吸い上げが可能になり、計画に対する遅れが一覧できることから、いつでも原因追求と対策がとれるようになりました。このシステムの導入により、バッチを1日30から50に増やすことができたほか、見える化による問題点のあぶり出しと原因究明が常時できるようになりました。
また、防爆エリアへの対応などのカスタマイズ作業があったにもかかわらず、わずか3カ月で既存のシステムに追加する形でパッケージが導入でき、稼動後はトラブルなしに順調に稼動しています。
(※) T-games
(Toyo Gosei Advanced Manufacturing Execution System)
東洋合成工業(株)様がM2S dataTube を用いて独自に開発した先進的な製造実行システムです。
3階建てのこの工場では、製造工程がそれぞれのフロアに分散しているため、進捗状況を把握するには直接現場に行かなければなりません。さらに各フロアには電子機器の持ち込みが制限される防爆エリアがあることから、工場全体の進捗をリアルタイムに把握することが困難でした。 また生産計画は月初に1回マニュアルで作成していたため、月中に新たな注文が入ったり何らかの原因で計画を変更しなければならなくなった場合、生産計画の見直しが容易にできないという問題を抱えていました。
こうした問題を解決するためには、スケジューラと呼ばれる生産計画作成ソフトの導入が最適ですが、通常は進捗データの収集のため、各現場へのパソコンの配備など大規模な投資が必要になってしまいます。
数ある生産計画作成ツールがある中でM2S dataTubeが採用されたのは、進捗データ収集のための操作が直感的で誰にでも出来ること、最新の生産計画に基づくリアルタイム製造指示ができる点が評価されたためです。
ICタグを使った電子カンバンの仕組みはシンプルで、A4サイズの透明バインダーにはさまれた製造指示書を設置されたリーダーライタが装着されたポケットに差し込むだけ。これにより、コンピュータ操作に不慣れな人でも対応でき、どの工程がいつ始まり、いつ終わったかという情報を簡単に取ることができます。防爆エリアで作業をする際も同様の操作で進捗データを収集することができ、かつ、次になにをすべきかの指示を自動で知らせることが可能になりました。また、工場の玄関に設置された液晶パネルには、最新の生産進捗が1分ごとに更新され表示されています。
作業員にコンピュータ操作の教育をすることなく、簡単にデータの吸い上げが可能になり、計画に対する遅れが一覧できることから、いつでも原因追求と対策がとれるようになりました。このシステムの導入により、バッチを1日30から50に増やすことができたほか、見える化による問題点のあぶり出しと原因究明が常時できるようになりました。
また、防爆エリアへの対応などのカスタマイズ作業があったにもかかわらず、わずか3カ月で既存のシステムに追加する形でパッケージが導入でき、稼動後はトラブルなしに順調に稼動しています。
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Vol.6 サプライチェーンマネジメント : 7 化学品メーカー物流SCM構築の事例
SCM最前線
1万行のデータを分析して物流を考える。
年間7900万円を削減する、化学品素材メーカーM化学に対する物流合理化の提案。
運輸第二部の推進した「LSS(ロジスティクス・ソリューション・サービス)」。
運輸第二部ロジスティクスSCM室長
小川健秀 KENSHU OGAWA 1978年入社。
「わたしが取り組んでいるのは、SCMの中でも物流を核にした案件です。LSSという名称でいくつか手がけました。いま5件ほどプロジェクトが進行中です」
【参加企業の概要】
M化学は、年間売上高約150億円の化学品素材メーカー。油脂の精製媒体や感熱紙のコート素材をつくっています。
大半の企業は物流コストを把握していません。
日本の物流管理で1番大きな問題点は、物流コストのデータ管理がまったくできていないことです。実際のリードタイム、輸送距離や重量に対してどれだけコストを費やしたか、月末の請求書をもらってみるまでわからない。そんな企業が大半を超えています。正確に自分の病状を把握してない以上、決して的確な処方箋をつくることはできません。今回ご紹介するM化学さんから打診を受けた際、「売上の7%を占める物流コストを引き下げたい」ということでした。しかし、じつは調査してみると正確には、なんと10%に達していたんです。こんなことが皆さんにも必ず起きています。
4か月の時間をかけて1万行のデータを分析。
SCM導入前のM化学倉庫。
1999年7月、今回のM化学さんの取締役から引き合いを受けました。そこで、いくつかのLSS導入の具体例を持参してから、9月にSCM構築支援の提案書を提出。是非やりたいということで正式契約となりました。で、正確に現状分析するために、ここ4か月分の受注・物流データをもらいました。「なんでそんなデータ出さなきゃいけないんだ」という反応もあったのですが、とにかく1万行のデータをいただいた。「何日にオーダーが入って→営業所がいつ工場に発注して→輸送業者はいついくらで配送したか」という情報を入手し、われわれのシステムで工場から客先納入までヒモつけでデータをつくり上げました。われわれの作業を要約すると、その間のすべてのオーダーに関して、うちが物流を担当するとしたらこうなりますよというシミュレーションを出すわけです。これが定量分析です。一目瞭然。疑う要素がまったくない。トップの方々は即座に評価してくれますよ。2000年2月、A4でおよそ120ページの提案書をプレゼンテーションしました。M化学さんは2つの工場を持っていますが、今回はその1つの工場のSCM構築を支援しました。主要の商品はざっと150種類です。最近OEM商品の売上を伸ばしています。輸送はトラック、鉄道、宅配便などですが、物流に関するデータそのものの管理は外部支払データのみ。販売データがおもな管理データですが、なかなか販売データと物流コストを切り離して管理している企業はないのが現状です。受注は営業部に入り、工場にシステムで流れ、在庫の引当作業がおこなわれ、在庫があれば物流資材部に出荷指示が出ます。在庫のない場合は、生産管理部に増産指示が出されます。が、ここがミソで欠品状態で工場に至急の生産指示が出ると、工場はパニックになってしまいます。通常生産計画は月次予想でつくられますが、受注を受ける営業部と工場が精度の高い月次予想をつくっていないと、需要予測に狂いが出て、サプライチェーン全体に大きな影響が出てきて、納品のサービスレベルが低下すると同時にサプライチェーン全体のコストアップに繋がります。M化学さんでは、こんな問題が常に発生していました。これが原因で1年ほど前に導入した需要予測システムも50%ほどしか動いていませんでした。こういった問題は、なかなか企業内部では解決できないのが現状です。
年間7900万円のコスト削減が可能。
これは既存物流コストの20%に相当します。プロジェクトの目的は、対象工場を起点とする複数拠点からの販売物流の再編です。そのために、現在の問題点を洗い出し、改善方法をプランニング、コスト削減効果をシミュレーションしました。プライオリティとした最大の改善項目は、配送コストの削減とサプライチェーン全体の改善でした。商品によってリードタイムが異なっている事実などを分析した上で立案しました。たとえばリードタイムの長い商品は、そのつど入札で業者を決める余裕があるわけです。運送会社を見直すだけの「現状モデル」を適用した場合、年間4900万円の削減。大幅な改善の必要な「将来モデル」を適用した場合、年間7900万円の削減。お客様の評価は、非常によかったです。輸送の形態を変えるだけでもコストカットできるということで、さっそくやろうという声をいただきました。フェイズ1で20%コスト削減、フィイズ2で30%コスト削減。その捻出した資金で情報インフラを入れて3年間で償却。そうすれば企業のクオリティがアップする。競争力がつく。これが全体像なんです。
商社がSCMを担当することでリスク回避。
われわれがSCMの問い合わせを受けたとき、まずおこなうのは「触診」にあたる作業です。物流の現場、営業所、工場、倉庫などを見せてもらってヒアリングをおこないます。その上でデータを出してもらって計画をまとめる。この提案書が人間ドックに入ったあとの「カルテ」とか「処方箋」みたいなものですね。いまこういう部分に問題あるから、まっさきにこんなことやるよ、それから将来的にはこんなことやるよ、というマイルストーンを具体的にお見せしています。料金をいただくのは、データもらって現状分析に入る段階からですね。あと、「SCMには企業の存亡をかけたいけど何していいかsわからない」というお客様には、まず最初にかかる実費だけご用意くださいとお答えしています。コスト下がったぶんの20%ください、というケースもあります。SCMを商社が担当するというのは、リスクをテイクできるという重要な側面を持っています。1つの企業の物流全体に責任を持つというのは、たいへんなことなんです。いっさいまかせてもらう以上、何か起こった場合すべての責任が被さってくる。総合商社だったら、たとえば50億円、100億円、2000億円のリスクを負えるわけです。リスクを回避できる。これが、コンサルやITベンダーさんにない、SCMにおける商社の存在理由の1つなんです。
SCM最前線
1万行のデータを分析して物流を考える。
年間7900万円を削減する、化学品素材メーカーM化学に対する物流合理化の提案。
運輸第二部の推進した「LSS(ロジスティクス・ソリューション・サービス)」。
運輸第二部ロジスティクスSCM室長
小川健秀 KENSHU OGAWA 1978年入社。
「わたしが取り組んでいるのは、SCMの中でも物流を核にした案件です。LSSという名称でいくつか手がけました。いま5件ほどプロジェクトが進行中です」
【参加企業の概要】
M化学は、年間売上高約150億円の化学品素材メーカー。油脂の精製媒体や感熱紙のコート素材をつくっています。
大半の企業は物流コストを把握していません。
日本の物流管理で1番大きな問題点は、物流コストのデータ管理がまったくできていないことです。実際のリードタイム、輸送距離や重量に対してどれだけコストを費やしたか、月末の請求書をもらってみるまでわからない。そんな企業が大半を超えています。正確に自分の病状を把握してない以上、決して的確な処方箋をつくることはできません。今回ご紹介するM化学さんから打診を受けた際、「売上の7%を占める物流コストを引き下げたい」ということでした。しかし、じつは調査してみると正確には、なんと10%に達していたんです。こんなことが皆さんにも必ず起きています。
4か月の時間をかけて1万行のデータを分析。
SCM導入前のM化学倉庫。
1999年7月、今回のM化学さんの取締役から引き合いを受けました。そこで、いくつかのLSS導入の具体例を持参してから、9月にSCM構築支援の提案書を提出。是非やりたいということで正式契約となりました。で、正確に現状分析するために、ここ4か月分の受注・物流データをもらいました。「なんでそんなデータ出さなきゃいけないんだ」という反応もあったのですが、とにかく1万行のデータをいただいた。「何日にオーダーが入って→営業所がいつ工場に発注して→輸送業者はいついくらで配送したか」という情報を入手し、われわれのシステムで工場から客先納入までヒモつけでデータをつくり上げました。われわれの作業を要約すると、その間のすべてのオーダーに関して、うちが物流を担当するとしたらこうなりますよというシミュレーションを出すわけです。これが定量分析です。一目瞭然。疑う要素がまったくない。トップの方々は即座に評価してくれますよ。2000年2月、A4でおよそ120ページの提案書をプレゼンテーションしました。M化学さんは2つの工場を持っていますが、今回はその1つの工場のSCM構築を支援しました。主要の商品はざっと150種類です。最近OEM商品の売上を伸ばしています。輸送はトラック、鉄道、宅配便などですが、物流に関するデータそのものの管理は外部支払データのみ。販売データがおもな管理データですが、なかなか販売データと物流コストを切り離して管理している企業はないのが現状です。受注は営業部に入り、工場にシステムで流れ、在庫の引当作業がおこなわれ、在庫があれば物流資材部に出荷指示が出ます。在庫のない場合は、生産管理部に増産指示が出されます。が、ここがミソで欠品状態で工場に至急の生産指示が出ると、工場はパニックになってしまいます。通常生産計画は月次予想でつくられますが、受注を受ける営業部と工場が精度の高い月次予想をつくっていないと、需要予測に狂いが出て、サプライチェーン全体に大きな影響が出てきて、納品のサービスレベルが低下すると同時にサプライチェーン全体のコストアップに繋がります。M化学さんでは、こんな問題が常に発生していました。これが原因で1年ほど前に導入した需要予測システムも50%ほどしか動いていませんでした。こういった問題は、なかなか企業内部では解決できないのが現状です。
年間7900万円のコスト削減が可能。
これは既存物流コストの20%に相当します。プロジェクトの目的は、対象工場を起点とする複数拠点からの販売物流の再編です。そのために、現在の問題点を洗い出し、改善方法をプランニング、コスト削減効果をシミュレーションしました。プライオリティとした最大の改善項目は、配送コストの削減とサプライチェーン全体の改善でした。商品によってリードタイムが異なっている事実などを分析した上で立案しました。たとえばリードタイムの長い商品は、そのつど入札で業者を決める余裕があるわけです。運送会社を見直すだけの「現状モデル」を適用した場合、年間4900万円の削減。大幅な改善の必要な「将来モデル」を適用した場合、年間7900万円の削減。お客様の評価は、非常によかったです。輸送の形態を変えるだけでもコストカットできるということで、さっそくやろうという声をいただきました。フェイズ1で20%コスト削減、フィイズ2で30%コスト削減。その捻出した資金で情報インフラを入れて3年間で償却。そうすれば企業のクオリティがアップする。競争力がつく。これが全体像なんです。
商社がSCMを担当することでリスク回避。
われわれがSCMの問い合わせを受けたとき、まずおこなうのは「触診」にあたる作業です。物流の現場、営業所、工場、倉庫などを見せてもらってヒアリングをおこないます。その上でデータを出してもらって計画をまとめる。この提案書が人間ドックに入ったあとの「カルテ」とか「処方箋」みたいなものですね。いまこういう部分に問題あるから、まっさきにこんなことやるよ、それから将来的にはこんなことやるよ、というマイルストーンを具体的にお見せしています。料金をいただくのは、データもらって現状分析に入る段階からですね。あと、「SCMには企業の存亡をかけたいけど何していいかsわからない」というお客様には、まず最初にかかる実費だけご用意くださいとお答えしています。コスト下がったぶんの20%ください、というケースもあります。SCMを商社が担当するというのは、リスクをテイクできるという重要な側面を持っています。1つの企業の物流全体に責任を持つというのは、たいへんなことなんです。いっさいまかせてもらう以上、何か起こった場合すべての責任が被さってくる。総合商社だったら、たとえば50億円、100億円、2000億円のリスクを負えるわけです。リスクを回避できる。これが、コンサルやITベンダーさんにない、SCMにおける商社の存在理由の1つなんです。
富士通内におけるグローバルSCM展開事例
グローバルなビジネスを効率よく推進するためには、ビジネスプロセス全体の可視性アップとスピード向上が重要なポイントとなる。富士通では、9月11日に東京国際フォーラムで開催された「日本企業におけるERPグローバル展開の成功事例セミナー」において、富士通社内のグローバルビジネスにおける取り組み例を紹介。海外製造拠点へのERP展開やERPシステムとB2Bシステムの戦略的コラボレーションのポイントを披露した。
--------------------------------------------------------------------------------
富士通株式会社
コーポレートIT推進本部
SCMシステム統括部
共通プラットフォーム企画部長
藤原 浩恭
1995年当時、富士通ではハードディスク事業の拡大を進めていた。その過程で問題となったのが、生産体制の再構築である。この間の経緯を、藤原は「1995年に月産20万台だったボリュームを、数年の間に100万台〜200万台へと大幅増産することが求められました。当時稼働していたタイ工場だけでは、対応が取れませんでしたので、フィリピンとベトナムに新工場を早期に立ち上げると同時に、安定的な運用を実現する必要がありました」と語る。
タイ工場では日本の生産管理システムをベースとしたシステムが導入されていたが、これでは複数地域にまたがる生産拠点を効率的に稼働させることができない。そこで、複数の生産方式に柔軟に対応できること、現地でハード/ソフトのサポートが行えることなどを要件として、統合ERPパッケージの選定が進められた。その結果、選ばれたのが「glovia.com」である。
また、物量の増大に対応すべく運用面の変更も行った、と藤原は説明する。「1日の投入台数が5万台、出材部品数にして1000万個にも達するため、従来型の出材指示による部品出材方式では対応できなくなってしまいました。そこで、製造現場からの部品要求に対して時間単位にプルで払い出しを行うと同時に、大物部品はラインスピードに合わせ、小物はまとめて出材を行う方式に変更しました」(藤原)。
ERP導入時にプロジェクトで特に重点的に取り組んだのは、「運用基本方針の確定」と「パッケージの理解」の2点であった。藤原は「運用基本方針を定める上では、出材方式や在庫管理のレベル、受注形態など、どういう考え方でビジネスを推進するかを確定させることが重要です。さらに、パッケージの標準機能から、新たな手法のヒントが得られることもありました」と振り返る。
ERP導入によって大量の物量にも対応できるようになったが、これですべての問題が解決したわけではなかった。藤原はERP導入前後の課題として、「物と情報の不一致」「計画立案機能の不足」「全体最適の必要性」の3点を挙げる。
「ERPの最大の利点は、業務に関わるすべての情報を一元管理できるところにあります。しかし、前工程の作業が終わらないと後工程の作業に取りかかれないため、運用上の問題を招くケースがあるのです」(藤原)。
たとえば、部品受入処理でトラブルが起きたら、その後の検査処理や入庫処理を行うことはできない。「しかし、データ処理が行えなくても、実際にはモノを動かすことはできます。その結果、データ入力は後回しにして、とりあえずモノを動かそうということになり、少しずつモノとERP上の情報とがズレていってしまうのです」と藤原は語る。
また、MRP/MPSでは必ずしも最適な製造計画を立案できないことから、表計算ソフトなどを使って計画を手作業で立案するといった点も問題であった。藤原は、「所要量変動への対応、在庫圧縮につなげるには、最低でも週単位で計画を回したい。しかし、手作業では細かい工程負荷などを適切に加味できないため、月1回の立案がやっとでした」と語る。
さらに、製品が完成するまでには複数の工場を経由するため、最終の組立工場で立案した計画が最初の部品工場に届くまでに1ヵ月以上を要していた。部品工場では最新情報に基づいているつもりでも、実際には約40日前のものだったのである。
「これらの問題点を克服するために、1997年後半からSCMに取り組みはじめました。その目的は、オペレーションリードタイムを短縮し、ビジネス全体の情報を共有して、データで仕事をすることでした」と藤原は振り返る。
取り組みの具体的なテーマは、「集中コントロール部門の設置」「SCPエンジンを活用した高精度計画」「各部門のDQC(データ品質向上)活動」「情報の共有化の確立」の4点である。
「戦略的な部品の調達を行うマテリアルオペレーションセンターを国内に設置し、調達がタイトな半導体製品などを中央で集中調達することにしました。当然、手作業での計画は行えなくなりますので、SCPエンジンによる全体最適計画システムも導入。さらに、SCPのデータ精度を上げるために、各部門においてDQCにも取り組みました。また、各生産拠点と外部のパートナー企業とがPoint to Pointでバッチ処理による情報交換を行っている点も問題でしたので、『Interstage CollaborationRing』をB2B Hubとし、必要な情報がスムーズに流れる環境を構築しました」と藤原は語る。
グローバルオペレーションにおいては、自社、グループ企業、パートナー企業といった複数部門の組み合わせによってビジネスプロセスが確立している。しかも、この場合の各部門は固定されているわけではなく、収益性を考慮してグローバル規模の範囲からダイナミックに選択される。藤原は、「パートナーとの協業比率が従来よりも高まるため、パートナーも含めた全部門間の距離を縮めて、できるだけシームレスにビジネスを進めていくことが重要です」と語る。
システムがサポートすべき重要なポイントは、「部門間オペレーションリードタイムの徹底削減」「ビジネス全体の情報を常に最新化し、共有化する」「ビジネス全体の情報に基づく計画立案・意志決定」の3点。しかも、ERP/SCP/コラボレーションの3レイヤーが密接に連携していることも重要である。
「当社ではglovia.comとInterstage CollaborationRingにより、本社−販社間受発注のオンタイム化、相手先の環境に合わせたオンタイムな情報の集配信、グローバルな在庫状況の一元管理などを実現しました。さらに今後は、グループ全社の基盤となる『共通B2B Hub』の構築や、コミュニケーションHubによる他マーケットプレイスとの統合環境の実現に取り組み、ビジネスの最適化をさらに追求していきたいと考えています」と藤原は語った。
グローバルなビジネスを効率よく推進するためには、ビジネスプロセス全体の可視性アップとスピード向上が重要なポイントとなる。富士通では、9月11日に東京国際フォーラムで開催された「日本企業におけるERPグローバル展開の成功事例セミナー」において、富士通社内のグローバルビジネスにおける取り組み例を紹介。海外製造拠点へのERP展開やERPシステムとB2Bシステムの戦略的コラボレーションのポイントを披露した。
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富士通株式会社
コーポレートIT推進本部
SCMシステム統括部
共通プラットフォーム企画部長
藤原 浩恭
1995年当時、富士通ではハードディスク事業の拡大を進めていた。その過程で問題となったのが、生産体制の再構築である。この間の経緯を、藤原は「1995年に月産20万台だったボリュームを、数年の間に100万台〜200万台へと大幅増産することが求められました。当時稼働していたタイ工場だけでは、対応が取れませんでしたので、フィリピンとベトナムに新工場を早期に立ち上げると同時に、安定的な運用を実現する必要がありました」と語る。
タイ工場では日本の生産管理システムをベースとしたシステムが導入されていたが、これでは複数地域にまたがる生産拠点を効率的に稼働させることができない。そこで、複数の生産方式に柔軟に対応できること、現地でハード/ソフトのサポートが行えることなどを要件として、統合ERPパッケージの選定が進められた。その結果、選ばれたのが「glovia.com」である。
また、物量の増大に対応すべく運用面の変更も行った、と藤原は説明する。「1日の投入台数が5万台、出材部品数にして1000万個にも達するため、従来型の出材指示による部品出材方式では対応できなくなってしまいました。そこで、製造現場からの部品要求に対して時間単位にプルで払い出しを行うと同時に、大物部品はラインスピードに合わせ、小物はまとめて出材を行う方式に変更しました」(藤原)。
ERP導入時にプロジェクトで特に重点的に取り組んだのは、「運用基本方針の確定」と「パッケージの理解」の2点であった。藤原は「運用基本方針を定める上では、出材方式や在庫管理のレベル、受注形態など、どういう考え方でビジネスを推進するかを確定させることが重要です。さらに、パッケージの標準機能から、新たな手法のヒントが得られることもありました」と振り返る。
ERP導入によって大量の物量にも対応できるようになったが、これですべての問題が解決したわけではなかった。藤原はERP導入前後の課題として、「物と情報の不一致」「計画立案機能の不足」「全体最適の必要性」の3点を挙げる。
「ERPの最大の利点は、業務に関わるすべての情報を一元管理できるところにあります。しかし、前工程の作業が終わらないと後工程の作業に取りかかれないため、運用上の問題を招くケースがあるのです」(藤原)。
たとえば、部品受入処理でトラブルが起きたら、その後の検査処理や入庫処理を行うことはできない。「しかし、データ処理が行えなくても、実際にはモノを動かすことはできます。その結果、データ入力は後回しにして、とりあえずモノを動かそうということになり、少しずつモノとERP上の情報とがズレていってしまうのです」と藤原は語る。
また、MRP/MPSでは必ずしも最適な製造計画を立案できないことから、表計算ソフトなどを使って計画を手作業で立案するといった点も問題であった。藤原は、「所要量変動への対応、在庫圧縮につなげるには、最低でも週単位で計画を回したい。しかし、手作業では細かい工程負荷などを適切に加味できないため、月1回の立案がやっとでした」と語る。
さらに、製品が完成するまでには複数の工場を経由するため、最終の組立工場で立案した計画が最初の部品工場に届くまでに1ヵ月以上を要していた。部品工場では最新情報に基づいているつもりでも、実際には約40日前のものだったのである。
「これらの問題点を克服するために、1997年後半からSCMに取り組みはじめました。その目的は、オペレーションリードタイムを短縮し、ビジネス全体の情報を共有して、データで仕事をすることでした」と藤原は振り返る。
取り組みの具体的なテーマは、「集中コントロール部門の設置」「SCPエンジンを活用した高精度計画」「各部門のDQC(データ品質向上)活動」「情報の共有化の確立」の4点である。
「戦略的な部品の調達を行うマテリアルオペレーションセンターを国内に設置し、調達がタイトな半導体製品などを中央で集中調達することにしました。当然、手作業での計画は行えなくなりますので、SCPエンジンによる全体最適計画システムも導入。さらに、SCPのデータ精度を上げるために、各部門においてDQCにも取り組みました。また、各生産拠点と外部のパートナー企業とがPoint to Pointでバッチ処理による情報交換を行っている点も問題でしたので、『Interstage CollaborationRing』をB2B Hubとし、必要な情報がスムーズに流れる環境を構築しました」と藤原は語る。
グローバルオペレーションにおいては、自社、グループ企業、パートナー企業といった複数部門の組み合わせによってビジネスプロセスが確立している。しかも、この場合の各部門は固定されているわけではなく、収益性を考慮してグローバル規模の範囲からダイナミックに選択される。藤原は、「パートナーとの協業比率が従来よりも高まるため、パートナーも含めた全部門間の距離を縮めて、できるだけシームレスにビジネスを進めていくことが重要です」と語る。
システムがサポートすべき重要なポイントは、「部門間オペレーションリードタイムの徹底削減」「ビジネス全体の情報を常に最新化し、共有化する」「ビジネス全体の情報に基づく計画立案・意志決定」の3点。しかも、ERP/SCP/コラボレーションの3レイヤーが密接に連携していることも重要である。
「当社ではglovia.comとInterstage CollaborationRingにより、本社−販社間受発注のオンタイム化、相手先の環境に合わせたオンタイムな情報の集配信、グローバルな在庫状況の一元管理などを実現しました。さらに今後は、グループ全社の基盤となる『共通B2B Hub』の構築や、コミュニケーションHubによる他マーケットプレイスとの統合環境の実現に取り組み、ビジネスの最適化をさらに追求していきたいと考えています」と藤原は語った。