忍者ブログ
SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Vol.6 サプライチェーンマネジメント : 7 化学品メーカー物流SCM構築の事例
SCM最前線


1万行のデータを分析して物流を考える。
年間7900万円を削減する、化学品素材メーカーM化学に対する物流合理化の提案。
運輸第二部の推進した「LSS(ロジスティクス・ソリューション・サービス)」。

運輸第二部ロジスティクスSCM室長
小川健秀 KENSHU OGAWA 1978年入社。
「わたしが取り組んでいるのは、SCMの中でも物流を核にした案件です。LSSという名称でいくつか手がけました。いま5件ほどプロジェクトが進行中です」

【参加企業の概要】
M化学は、年間売上高約150億円の化学品素材メーカー。油脂の精製媒体や感熱紙のコート素材をつくっています。



大半の企業は物流コストを把握していません。
日本の物流管理で1番大きな問題点は、物流コストのデータ管理がまったくできていないことです。実際のリードタイム、輸送距離や重量に対してどれだけコストを費やしたか、月末の請求書をもらってみるまでわからない。そんな企業が大半を超えています。正確に自分の病状を把握してない以上、決して的確な処方箋をつくることはできません。今回ご紹介するM化学さんから打診を受けた際、「売上の7%を占める物流コストを引き下げたい」ということでした。しかし、じつは調査してみると正確には、なんと10%に達していたんです。こんなことが皆さんにも必ず起きています。

4か月の時間をかけて1万行のデータを分析。

SCM導入前のM化学倉庫。
1999年7月、今回のM化学さんの取締役から引き合いを受けました。そこで、いくつかのLSS導入の具体例を持参してから、9月にSCM構築支援の提案書を提出。是非やりたいということで正式契約となりました。で、正確に現状分析するために、ここ4か月分の受注・物流データをもらいました。「なんでそんなデータ出さなきゃいけないんだ」という反応もあったのですが、とにかく1万行のデータをいただいた。「何日にオーダーが入って→営業所がいつ工場に発注して→輸送業者はいついくらで配送したか」という情報を入手し、われわれのシステムで工場から客先納入までヒモつけでデータをつくり上げました。われわれの作業を要約すると、その間のすべてのオーダーに関して、うちが物流を担当するとしたらこうなりますよというシミュレーションを出すわけです。これが定量分析です。一目瞭然。疑う要素がまったくない。トップの方々は即座に評価してくれますよ。2000年2月、A4でおよそ120ページの提案書をプレゼンテーションしました。M化学さんは2つの工場を持っていますが、今回はその1つの工場のSCM構築を支援しました。主要の商品はざっと150種類です。最近OEM商品の売上を伸ばしています。輸送はトラック、鉄道、宅配便などですが、物流に関するデータそのものの管理は外部支払データのみ。販売データがおもな管理データですが、なかなか販売データと物流コストを切り離して管理している企業はないのが現状です。受注は営業部に入り、工場にシステムで流れ、在庫の引当作業がおこなわれ、在庫があれば物流資材部に出荷指示が出ます。在庫のない場合は、生産管理部に増産指示が出されます。が、ここがミソで欠品状態で工場に至急の生産指示が出ると、工場はパニックになってしまいます。通常生産計画は月次予想でつくられますが、受注を受ける営業部と工場が精度の高い月次予想をつくっていないと、需要予測に狂いが出て、サプライチェーン全体に大きな影響が出てきて、納品のサービスレベルが低下すると同時にサプライチェーン全体のコストアップに繋がります。M化学さんでは、こんな問題が常に発生していました。これが原因で1年ほど前に導入した需要予測システムも50%ほどしか動いていませんでした。こういった問題は、なかなか企業内部では解決できないのが現状です。

年間7900万円のコスト削減が可能。
これは既存物流コストの20%に相当します。プロジェクトの目的は、対象工場を起点とする複数拠点からの販売物流の再編です。そのために、現在の問題点を洗い出し、改善方法をプランニング、コスト削減効果をシミュレーションしました。プライオリティとした最大の改善項目は、配送コストの削減とサプライチェーン全体の改善でした。商品によってリードタイムが異なっている事実などを分析した上で立案しました。たとえばリードタイムの長い商品は、そのつど入札で業者を決める余裕があるわけです。運送会社を見直すだけの「現状モデル」を適用した場合、年間4900万円の削減。大幅な改善の必要な「将来モデル」を適用した場合、年間7900万円の削減。お客様の評価は、非常によかったです。輸送の形態を変えるだけでもコストカットできるということで、さっそくやろうという声をいただきました。フェイズ1で20%コスト削減、フィイズ2で30%コスト削減。その捻出した資金で情報インフラを入れて3年間で償却。そうすれば企業のクオリティがアップする。競争力がつく。これが全体像なんです。



商社がSCMを担当することでリスク回避。
われわれがSCMの問い合わせを受けたとき、まずおこなうのは「触診」にあたる作業です。物流の現場、営業所、工場、倉庫などを見せてもらってヒアリングをおこないます。その上でデータを出してもらって計画をまとめる。この提案書が人間ドックに入ったあとの「カルテ」とか「処方箋」みたいなものですね。いまこういう部分に問題あるから、まっさきにこんなことやるよ、それから将来的にはこんなことやるよ、というマイルストーンを具体的にお見せしています。料金をいただくのは、データもらって現状分析に入る段階からですね。あと、「SCMには企業の存亡をかけたいけど何していいかsわからない」というお客様には、まず最初にかかる実費だけご用意くださいとお答えしています。コスト下がったぶんの20%ください、というケースもあります。SCMを商社が担当するというのは、リスクをテイクできるという重要な側面を持っています。1つの企業の物流全体に責任を持つというのは、たいへんなことなんです。いっさいまかせてもらう以上、何か起こった場合すべての責任が被さってくる。総合商社だったら、たとえば50億円、100億円、2000億円のリスクを負えるわけです。リスクを回避できる。これが、コンサルやITベンダーさんにない、SCMにおける商社の存在理由の1つなんです。

PR
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
+カウンター

アクセスランキング
フリーエリア
アクセス解析
フィードメータ
人気ブログランキング - SCMパッケージソフト 開発勉強日記
現在の訪問者
忍者ブログ [PR]