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SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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富士通内におけるグローバルSCM展開事例

グローバルなビジネスを効率よく推進するためには、ビジネスプロセス全体の可視性アップとスピード向上が重要なポイントとなる。富士通では、9月11日に東京国際フォーラムで開催された「日本企業におけるERPグローバル展開の成功事例セミナー」において、富士通社内のグローバルビジネスにおける取り組み例を紹介。海外製造拠点へのERP展開やERPシステムとB2Bシステムの戦略的コラボレーションのポイントを披露した。


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富士通株式会社
コーポレートIT推進本部
SCMシステム統括部
共通プラットフォーム企画部長
藤原 浩恭
1995年当時、富士通ではハードディスク事業の拡大を進めていた。その過程で問題となったのが、生産体制の再構築である。この間の経緯を、藤原は「1995年に月産20万台だったボリュームを、数年の間に100万台〜200万台へと大幅増産することが求められました。当時稼働していたタイ工場だけでは、対応が取れませんでしたので、フィリピンとベトナムに新工場を早期に立ち上げると同時に、安定的な運用を実現する必要がありました」と語る。

タイ工場では日本の生産管理システムをベースとしたシステムが導入されていたが、これでは複数地域にまたがる生産拠点を効率的に稼働させることができない。そこで、複数の生産方式に柔軟に対応できること、現地でハード/ソフトのサポートが行えることなどを要件として、統合ERPパッケージの選定が進められた。その結果、選ばれたのが「glovia.com」である。

また、物量の増大に対応すべく運用面の変更も行った、と藤原は説明する。「1日の投入台数が5万台、出材部品数にして1000万個にも達するため、従来型の出材指示による部品出材方式では対応できなくなってしまいました。そこで、製造現場からの部品要求に対して時間単位にプルで払い出しを行うと同時に、大物部品はラインスピードに合わせ、小物はまとめて出材を行う方式に変更しました」(藤原)。

ERP導入時にプロジェクトで特に重点的に取り組んだのは、「運用基本方針の確定」と「パッケージの理解」の2点であった。藤原は「運用基本方針を定める上では、出材方式や在庫管理のレベル、受注形態など、どういう考え方でビジネスを推進するかを確定させることが重要です。さらに、パッケージの標準機能から、新たな手法のヒントが得られることもありました」と振り返る。




ERP導入によって大量の物量にも対応できるようになったが、これですべての問題が解決したわけではなかった。藤原はERP導入前後の課題として、「物と情報の不一致」「計画立案機能の不足」「全体最適の必要性」の3点を挙げる。

「ERPの最大の利点は、業務に関わるすべての情報を一元管理できるところにあります。しかし、前工程の作業が終わらないと後工程の作業に取りかかれないため、運用上の問題を招くケースがあるのです」(藤原)。

たとえば、部品受入処理でトラブルが起きたら、その後の検査処理や入庫処理を行うことはできない。「しかし、データ処理が行えなくても、実際にはモノを動かすことはできます。その結果、データ入力は後回しにして、とりあえずモノを動かそうということになり、少しずつモノとERP上の情報とがズレていってしまうのです」と藤原は語る。

また、MRP/MPSでは必ずしも最適な製造計画を立案できないことから、表計算ソフトなどを使って計画を手作業で立案するといった点も問題であった。藤原は、「所要量変動への対応、在庫圧縮につなげるには、最低でも週単位で計画を回したい。しかし、手作業では細かい工程負荷などを適切に加味できないため、月1回の立案がやっとでした」と語る。

さらに、製品が完成するまでには複数の工場を経由するため、最終の組立工場で立案した計画が最初の部品工場に届くまでに1ヵ月以上を要していた。部品工場では最新情報に基づいているつもりでも、実際には約40日前のものだったのである。

「これらの問題点を克服するために、1997年後半からSCMに取り組みはじめました。その目的は、オペレーションリードタイムを短縮し、ビジネス全体の情報を共有して、データで仕事をすることでした」と藤原は振り返る。

取り組みの具体的なテーマは、「集中コントロール部門の設置」「SCPエンジンを活用した高精度計画」「各部門のDQC(データ品質向上)活動」「情報の共有化の確立」の4点である。

「戦略的な部品の調達を行うマテリアルオペレーションセンターを国内に設置し、調達がタイトな半導体製品などを中央で集中調達することにしました。当然、手作業での計画は行えなくなりますので、SCPエンジンによる全体最適計画システムも導入。さらに、SCPのデータ精度を上げるために、各部門においてDQCにも取り組みました。また、各生産拠点と外部のパートナー企業とがPoint to Pointでバッチ処理による情報交換を行っている点も問題でしたので、『Interstage CollaborationRing』をB2B Hubとし、必要な情報がスムーズに流れる環境を構築しました」と藤原は語る。




グローバルオペレーションにおいては、自社、グループ企業、パートナー企業といった複数部門の組み合わせによってビジネスプロセスが確立している。しかも、この場合の各部門は固定されているわけではなく、収益性を考慮してグローバル規模の範囲からダイナミックに選択される。藤原は、「パートナーとの協業比率が従来よりも高まるため、パートナーも含めた全部門間の距離を縮めて、できるだけシームレスにビジネスを進めていくことが重要です」と語る。

システムがサポートすべき重要なポイントは、「部門間オペレーションリードタイムの徹底削減」「ビジネス全体の情報を常に最新化し、共有化する」「ビジネス全体の情報に基づく計画立案・意志決定」の3点。しかも、ERP/SCP/コラボレーションの3レイヤーが密接に連携していることも重要である。

「当社ではglovia.comとInterstage CollaborationRingにより、本社−販社間受発注のオンタイム化、相手先の環境に合わせたオンタイムな情報の集配信、グローバルな在庫状況の一元管理などを実現しました。さらに今後は、グループ全社の基盤となる『共通B2B Hub』の構築や、コミュニケーションHubによる他マーケットプレイスとの統合環境の実現に取り組み、ビジネスの最適化をさらに追求していきたいと考えています」と藤原は語った。

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