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SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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日産自動車株式会社
社内標準から世界標準へ 購買システムのグローバル化を共通インフラ構築で目指す



掲載日 2004年02月13日

経営再建への3カ年計画“NISSAN REVIVAL PLAN”(以下、NRP)を1年前倒しで達成した後、日産自動車株式会社(以下、日産)は新たな経営プログラム“日産180”を掲げました。その新3カ年計画日産180も、すでに2年目にさしかかっています。

日産では、日産180を完遂するための戦略ツールの1つとして、グローバル購買システム“GTOP21-Project”(以下、GTOP21)システムの導入を進めてきました。今回は、2003年7月にサービスインしたという同システムにフォーカスし、日産の情報システム(以下、IS)部門が推進してきた購買・調達における活動の一部をご紹介します。



お客様ニーズ ソリューション 導入効果

将来の展望 お客様の声 お客様情報

用語の説明 製品・技術情報

お客様ニーズ





日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
システム開発部
蓬沢 健一 氏




図:日産180コミットメントと進捗状況(クリックで拡大)

グローバルを視野に、購買・調達システムを構築

日産における、購買・調達業務は発注先選定、価格決定、継続的原価低減(以下、原低)活動です。例えば在庫管理や受発注は、日産においては購買にはあたりません。その購買・調達業務を支える実装システムがGTOP21です。

GTOP21は、日産180を達成するための取り組みです。その狙いは、大きく分けて4つあると、同社、システム開発部の蓬沢健一氏は言います。1つ目はグローバル調達を実現する体制の強化。グローバルで同じ業務プロセス、データ構造、システムでなければ、日産のグループとしてのパフォーマンス向上ははかれないのです。2つ目は業務のスピード・アップと効率化。これまでほとんど手作業で行なわれていた取引先との見積もりの授受、レポーティング、ベンチマークなどをシステム化することが、業務のスピード・アップや効率化につながると判断しました。3つ目は部品郡をベースにしたPDCA(Plan Do Check Action:計画、実施、監視、改善)管理の実施です。このPDCAにのっとって、購買活動を改善していきます。4つ目はグローバル購買の連携範囲の拡大です。

これらのプロジェクトを実際に起こしてシステムを実装する部隊が、IS部門ということになります。「IS部門の強みはデータと情報を持っていること」と蓬沢氏。そして、IS部門の活動には3つの特徴がある、といいます。

第1がグローバル・マネジメント。東京、北米、欧州を拠点とするミラー組織がグローバル・マネジメントを行なっているため、予算も本社CIOの下にすべて集約されています。第2がアウトソーシング。北米と日本における保守運用をすべて日本IBMに委託しています。最後はルノーとのアライアンス。ルノー日産インフォメーションサービス(RNIS)という会社を設立し、ISとしてのシナジーを追及しています。

しかし、グローバルなISファンクションを目指している半面、それまでのシステムは分化されていたのが実状でした。「各拠点、全会社で購買システムだけでなく、生産管理や経理などもばらばらでした。逆に、競争をさせていたという感じです」と、蓬沢氏は当時の状況を分析します。それがNPRにより全社的業務の見直しが図られた結果、2000年にはアプリケーションの標準化プロジェクトが立ち上がるなど、改善に向けられたさまざまな取り組みが走り出したのです。


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ソリューション

日本IBMのサポートで業務に付加価値を付ける

日産はアプリケーションの標準化にあたり、約3年のロード・マップを作りました。そして標準のERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)を社内で作らず、ERPパッケージを活用することに決め、業務プロセスとデータを標準化、共有化、一元化することに着手しました。その一つとして、購買領域の標準化のプロジェクトが発足したのです。GTOP21では、アプリケーション及びデータは一つのサーバーで動いています。また、B2Bのツールを使って購買業務プロセスの効率化とスピードアップを図りました。その理由を蓬沢氏は「NML(日産自動車株式会社本体)と海外拠点と国内生産委託会社の購買システムをグローバルで統合するため」と説明します。

システムのアーキテクチャーについては、法規制、組織差異だけをローカル要件として実装し、その他のローカルな要件はほとんど入れていません。そして、このGTOP21システム・アーキテクチャーはグローバルなアプリケーションですから、24時間稼働が保証されています。正確に言うと23時間週6日で、1日1時間だけどの拠点も使わないタイミングを見計らい、毎日サブ・バックアップを行ない、あとは週1回フル・バックアップを取る時間を取っているといいます。また、完全にオープンではないものの、インターネットからもアクセスできます。

[Package採用]
分類
代表業務
Solution
開発Vendor

Global標準業務
Process 取引先とのRFQ授受 SAP-SRM
SAP-WP SAP
日産Group
優位性を保つ
業務Process 見積もり明細管理、
一律改定、
RFQ/取引先評価
など 内製開発 日本IBM
分析/Reporting
業務 Management-Report、
BMなど SAP-BW 日本IBM



アーキテクチャーの構築には、ERPパッケージを使っています。取引先との授受など、グローバルで標準的な業務プロセスにはSAPが使われています。少々カスタマイズしてはいるものの、ほとんど標準機能で使われています。一方で、価格明細のコントロールや原低の自動計算などはすべて、日本IBMが内製開発しています。

「取引先との完全な標準のやり取りと、日産としての優位性を保つための表には出ない業務というものがあり、GTOP21はそういう意味では2つの側面を持っています。そこで表の標準化のところはSAPで、それ以外の部分は日本IBMに」(蓬沢氏)

要するに、サプライヤーとのやり取りをするところはSAPベースの標準的なプロセスで、周辺の高付加価値を付けている部分は日本IBMでサポートしていることになります。けれども取引先から見れば、ひとつのアプリケーションであり、システムの入り口もグローバルなポータルで統一しています。そしてポータルで認証を行ない、このGTOP21に入ってくる仕組みになっています。


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導入効果

目標はグローバルで1つ

プロジェクトの発足は2002年の3月でした。まずはビジネス・プランを含めた基本的なシステム構想を練り、外部設計までを含めて10月までにまとめられました。11月以降は、実際のアプリケーションの開発を行ない、単体テスト、連動テスト、業務トライアルを重ね、翌年7月に日本での立ち上げとなったというわけです。

システムイメージは、これまで各拠点、各国、各会社の各システムだったものが、今ではすべての部品表から経理までつながっているという状態です。取引先に対して別々だったウインドウも全部一本化されています。つまり、部品表も経理もグローバルに動く、購買もグローバルになる、入り口もポータルで一本化したということで、すべてがグローバルに動いているわけです。




図:グローバル共通インフラ(クリックで拡大)
現在、すでにグループ5社の立ち上げを終え、残りは本年3月までに完了予定です。計画では欧州が今、業務トライアルの最中で、年初に稼動予定です。最後となる北米が本年3月目標で立ち上がり、最終的にはすべてがグローバルに1つで動いていくということで、着実にその形を築き上げつつあります。





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将来の展望


顧客を軸に、連携業務を可視化

日産ISの活動は、これまでR&D(Research and Development)、SCM(Supply Chain Management)、S&M(Sales&Marketting)、GRM(Global Resource Management)の4つのドメインに区切られていました。しかし、顧客と製品というデータを軸にもう1度整備し直し、すべての業務をデータとして連携させ、その連携業務を可視化していくことが今後の目的、といいます。

「GRM領域では購買システムは2つに集中されていきます。ひとつが今回の部品購買系でGTOP21でカバーしています。もう一方は、一般経費購買系で、NP21というシステムがすでにグローバルで稼動しています。この2つのシステムが立ち上がったことで、ようやく日産の購買システムがグローバルに標準化され、透明性の高いデータが集まり始めました。」と蓬沢氏は現状をこう説明します。

今後は、日産はシステム機能の拡大を考えています。「中国、アジアへの適用。また、データがたまってきているので、ベンチマークツールの強化。上記製品軸での取り組みと関連するのですが、全社の製品情報や台数情報とつないでいくことです。これによって、もっとコストを適正化する要素を見つけていこうと思います」(蓬沢氏)

NRP以前は、各社個別、半分手作業のばらばらなシステムで、業務標準化もされていなかったという日産。グローバルなプロジェクトの進行は「大変苦労する」と蓬沢氏は言いますが、その苦労が実り、日産では一般経費系と部品系でグローバルな共通機能ができ、成果がではじめています。データも1つになり、インフラも標準化された今、業務の標準ができて、データもたまり始めたのです。今後はそれを定着させるとともに、機能を拡大し、全社のコスト・シミュレーションにつないでいくことが期待されています。


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お客様の声


グローバルな合意を目指して

GTOP21をグローバルに適用するにあたって、日産が一番苦労した点はどこだったのでしょう。蓬沢氏はずばり「コンセンサスを取ること」と言います。実際に海外も含めて一緒に業務プロセスの定義をしていくと、そのプロセスの合意が難しいのです。プロジェクトメンバーはこの1年半、海外、日本をおよそ10回ほど行き来し、ミーティングを重ねましたが、その半分は合意に費やしたそうです。

「要は業務をタスク・レベルまで落として、責任部署を明らかにすることです。こうして海外と新しい仕事の合意をしました。大抵この手の話は総論賛成、各論反対になります。レベルが非常に荒いうちは合意が得られるのですが、どんどん落ちてくると、反対意見が出てきます。ですから、徹底的に論議して合意形成を図りました」(蓬沢氏)

ISの視点から見て、合意形成の中で一番重視したのがデータモデルの合意とコードの統一だといいます。日産では、北米日産と日本で、同じサプライヤーでもコードが違っていました。コモディティー・コードという部品の分類コードも一部違っていたのです。これではリポートもベンチマークも集約もできません。そこで一番最初に行なったのが、データモデルの合意とコードの統一だったのです。


*これらの情報は、日産自動車株式会社の公式な見解を示すものではありません。あらかじめご了承ください。


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お客様情報

お客様名: 日産自動車株式会社
本社所在地: 〒104-8023東京都中央区銀座6-17-1
URL: http://www.nissan.co.jp/
企業概要: 創立: 1933年12月26日
設立: 1950年6月1日
資本金: 6,058億1,300万円(2003年3月末現在)
社長兼最高経営責任者: カルロス ゴーン
従業員数: 31,128名(2003年3月末現在)
事業内容: 自動車の開発、製造、販売など


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用語の説明

R&D
Research and Development:企業の研究開発業務および部門
SCM
Supply Chain Management:供給連鎖管理
S&M
Sales & Maketting:販売と市場調査や商品計画、宣伝などの企業活動
GRM
Global Resource Management:Back office系の業務システムの効率化を図る戦略

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アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
生産準備業務を中心とした、ビジネスシステムの統合・効率向上を目指し、情報インフラ構築へ



掲載日 2004年03月12日

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下、AW)は、車両のオートマチック・トランスミッション(以下、A/T)で世界シェア第3位、ボイス・ナビゲーションシステム(ナビ)で世界シェア第1位を誇る(2002年度販売台数より)、世界有数の専門メーカーです。

IT革命、インターネット革命という言葉が飛び交っていた1999年。自動車業界では、グローバル規模の合従連衡、開発期間の短縮、世界最適調達、開発期間の大幅短縮などが叫ばれていました。

当時の業務に「属人的スキルと有事の結集力による限界」を感じていたAWは、このような社会状況を踏まえ、「ビジネスシステムの統合化・スピード化」が不可欠と判断、21世紀のビジネスの土台となる情報インフラプロジェクトを立ち上げることにしました。それが現在の“ACTIVE21”プロジェクトにつながっています。




お客様ニーズ ソリューション 導入効果

将来の展望 お客様の声 お客様情報

製品・技術情報

お客様ニーズ




アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
経営企画本部
情報システム部
部長 服部  一朗 氏


生産準備業務の改革、情報の一元化、情報の一連化を目指して

AWの生産準備業務の改革への取り組みは、まず1999年10月末〜翌2000年4月まで、経営企画部主導で検討フェーズを行なったところから始まります。「インタビューや分析などを繰り返し行なった結果、“ナレッジシェア”、3Dを中心とした“デジタルエンジニアリング”、“部品に関わる業務全体の効率化”という3つの提案がなされました」と、同社情報システム部部長の服部一朗氏は言います。これが現在のACTIVE21の前身となったのです。2000年4月末からはシステム構築フェーズということで、「ACTIVE21=次世代高度基幹情報システム」プロジェクトを、全社プロジェクトという位置付けでスタートさせ、長期的には情報インフラの整備といった土台作りを、短期的には業務改革という目標を掲げたのです。

ACTIVE21の狙いの中には、生産準備(生準)業務の改革、情報の一元化、情報の一連化があるといいます。

設計変更や仕入れ先の問題など、さまざまな情報が交錯する製造過程や情報の流通業務で、いわゆるITをほとんど活用することはなく、会議や電話、紙などを利用していたというのが、当時のAWの状況だったそうです。そこにパワーが取られていたともいえます。

これでは、情報の共有も限られてしまうので、各機能、各部門の情報は点線でつながっているようなものでした。とはいえ、情報の整理にもパワーがかかります。そこで大容量超高速インフラを構築し、各機能、各部門を太い線で常時接続し、時間、距離、組織の壁の排除を行ないました。

「AWはインターネット革命を起こしたい——。そうすることで、人間は本来の人間にしかできないクリエイティブな業務に集中したい」と、考えたのです。


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ソリューション



ACTIVE21プロジェクト概念図(クリックして拡大)


プロジェクトの仕組み

社内のインフラ整備の一環として考慮しなければならないのが、仕入れ先にコスト的負担をかけないようにすることです。そこでAWでは、情報のダウンロードをインターネット・ブラウザで行なえるようにしています。Lotus Notes®を大々的に使い、関連先への通知はLotus Notesメールとなっています。業務のバック・エンドはIBMのUNIX(RS/6000®)ワークステーションが支え、統合技術システム、生産技術部門システムと連携しています。

一方、業務改革にあたっては物理的に部屋がなくては駄目だということで、ACTIVE21専用のプロジェクト・ルームを作りました。生産管理部、生産技術部、購買部、原価管理部といったところから各部の専任メンバーを用意し、AWのIT部門やパートナーである日本IBMの担当者が作業しやすい体勢を組んだのです。

プロジェクトの特徴の1つとして、「Bタスクグループ」というチームの結成が挙げられます。業務改革の実現にあたっては、いわゆる部門の壁が障害となります。

「今やっている仕事を違う部門で行なう、いわゆる前出しをするには、担当部門を変えなければいけなかったり、部門によっては今よりも仕事が増えてしまうことが分かっていました。ですから、そういう問題を前もって調整するために、このようなグループを結成したのです」(服部氏)


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導入効果

デジタル化による付加価値

プロジェクトを始めてから3年半の成果を紹介します。

[成果具体例]
業務改革 工程の可視化
1)帳票のデジタル化 1)部品表
2)支給品返品書 2)製品・工程の可視化
3)原価見積依頼書 3)物流距離の把握
4)コンピュータ上で業務の一連化 4)サプライチェーンの把握



AWでは、工程と情報を整合性をもってひも解き、紙の情報をデジタル化することで、流れが複雑で多数の人と工数がかかっていたすべての業務において、プロセスが激減しています。例えば、支給品返品書は39プロセスから12プロセス、原価見積もりは104プロセスから67プロセスになったといいます。

ACTIVE部品表、モノづくりDBを登録し、工程情報、生産情報、生産準備依頼、部品切替計画、技術部品表等の情報を一元管理することによって、内製でも外製でも、生産から販売まで、業務のスルー管理ができるようになったのです。紙のときにはなかった付加機能が加わったといえるでしょう。

「2次3次先までの仕入先情報をデジタル化したことで、仕入れ先に何か問題が起きた場合の影響が見えるようになりました。おかげで宮城県地震では、支給情報の確認など迅速な対応ができました」(服部氏)




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将来の展望


設計と生産のコンカレントな業務を遂行

「将来的には設計から生産、コストも一本化したいと考えています。こうすることで、設計と生産のコンカレント・エンジニアリング(concurrent engineering:同時進行技術活動)を実現していけます。当然、3Dも有効に活用したいと考えています」(服部氏)

メーカーには、生産現場の今が見たいというニーズがあります。それぞれの管理者は管理者なりの情報があり、経営者層もそれなりの情報があるはずです。本当の意味で一本化がうまくいくと、企業活動の形がリアル・タイムで見えてきます。製造現場が原単位と1対1の対応で可視化できるようになるはずです。

またAWは、将来にわたって需要が見込まれる技術分野に特化し、世界ナンバーワンを極めたい、といいます。21世紀に目指す姿は、世界に感動を与えるA/T、EV(ハイブリッド、電気自動車など)、CVT(無段変速機)、ナビに特化した専門メーカーになること。「『V2005(2005年ビジョン)』として、A/Tではシェア15%、ナビは25%を目指しています。昨年の実績から推測すると、2005年より早い時期に、V2005の達成ができるのではないかと思います」それが、服部情報システム部長の語るビジョンです。


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お客様の声


プロジェクトにあたって

「IT以外でもこういったプロジェクトを始めるとき、大切なのはプロジェクトのネーミングだと思います。当社では、キック・オフ時に開催した宴会の席上、非常に覚えやすく言いやすいという理由から“ACTIVE21”と名付けました」と、服部情報システム部長は語ります。

「ACTIVE21」とは「Advanced system for Collaboration To Improve Value of Enterprise21」のこと。ここには21世紀のAWグループの企業価値を高めていこう、という思いが込められているそうです。“Collaboration”という言葉はよく使われますが、ここでは部門の壁を払拭し、全体最適を目指す「各業務、各機能、各部門の連携のための高度情報システム」という意味があるといいます。

「ACTIVE21は、現在も毎日が悪戦苦闘のITプロジェクトです」そう服部情報システム部長が話すように、AWの挑戦は今後も続いていきます。


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お客様情報

お客様名: アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
本社所在地: 〒444-1192愛知県安城市藤井町高根10番地
URL: http://www.aisin-aw.co.jp
企業概要: 設立:1969年5月15日
資本金:264億8千万円(2003年3月25日現在)
代表取締役社長 :谷口 孝男
社員数:8,450名(2002年現在)
事業内容 :オートマチック・トランスミッション、カーナビゲーション・システムを主要製品とする専門メーカー


山九株式会社
XMLによる最新技術を活用し、世界各拠点を結んだ物流システムを構築。オンライン、リアルタイムでの一元管理を実現



掲載日 2004年04月26日



山九株式会社

山九株式会社(以下 山九)は化学業界大手デュポン社の物流システムを開発、2003年に稼働開始となりました。このシステムはXMLをベースに最新技術を活かした物流システムとして、業界内外からの注目を集めています。

デュポン社のようなグローバル企業では、世界各地に拠点が設けられており、それぞれの地域に在庫を抱えています。これらの在庫を最適にするため、各拠点をネットワークでつなぎ、リアルタイムで情報のやり取りを行うシステムが必要とされていました。このニーズに応える形で山九はXMLでのシステム構築を提案。結果としてオンライン/リアルタイムでの情報のやり取りによる効率化が実現したのです。



お客様ニーズ ソリューション 導入効果

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お客様ニーズ


物流拠点をオンライン/リアルタイムでつなぎたい




山九株式会社
経営企画部
IT推進グループ
専門マネージャー
山本晴誉(はるたか)氏 そもそもXMLベースによるデュポン社の物流システム構築の前段階に、山九が2000年から稼働させていた物流システム「EDI-SANCS」の海外での実績が評価されたという経緯があります。

デュポン社は世界各地に物流拠点となる事業所があるため、日本はもとより、海外も含めたグローバルな地域で物と情報の流れを一括管理し、コストも抑えることのできるシステムを求めていました。当時のデュポン社のシステムに対するニーズや山九のシステムについて、山本晴誉氏(経営企画部 IT推進グループ 専門マネージャー)と佐藤光浩氏(物流本部 物流企画部 物流システムグループ マネージャー)は次のように述べています。

「物流拠点は、日本、中国、タイ、シンガポール、韓国にあり、そういった各拠点をネットワークでつなぎ、情報のリアル性と業務効率が上がる仕組みを作ってもらえないかというのがデュポン社の要望でした」(山本氏)





山九株式会社
物流本部
物流企画部
物流システムグループ
マネージャー
佐藤光浩氏


「海外向け物流システムの「EDI-SANCS」、国内向け物流システム「SANKYU-LINCS」という2つのシステムを弊社で開発し、2000年から稼働させています。このシステムにより、エンドユーザーがパソコンからオンラインで、アジア地域なり、ある特定の地域の在庫を、輸送中在庫も含めてすべて一括で確認できる点がデュポン社に評価されました。
というのも、当時の一般的なシステムでは、中国はいくつ、シンガポールはいくつ、といった各倉庫単位でしか在庫を確認できなかったのです」(佐藤氏)

デュポン社の持っていたニーズが解決できることで、システムの採用は決まりましたが、山九側では、さらなる提案として「『ワールドワイドを視野に入れた、オンライン/リアルタイムで情報のやりとりができるシステムを構築するのであれば、XMLを利用した新しい技術で構築しましょう』と話を持ちかけた」(山本氏)ことにより、XMLをベースにした物流システムの構築が決まりました。




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ソリューション

プロトタイプから本番までを日本IBMがサポート



株式会社インフォセンス
福岡事業本部
ソリューション推進部
尾上幸太氏 実際のシステム構築はプロトタイプを作ることから2002年2月にスタート。山九の関連会社でシステム開発を担当した株式会社インフォセンスの尾上幸太氏(福岡事業本部 ソリューション推進部)は、XMLによるシステム構築について以下のように語っています。

「新しいデータフォーマットであるXML、それに使用するプロトコルのSOAPといった技術をシステムにどう組み込んでいくか、といったところから開発はスタートしました。XML自体が難しいというよりは、データを互いにやり取りするのに必要なXMLデータフォーマットを作成する際のDTDにどうやって照らし合わせるかが、難航した点でした」(尾上氏)



この物流システムには、Javaアプリケーション開発に「WebSphere® Studio」、HTTPSを使用したインターネット経由の送受信処理部分に「WebSphere Application Server」、XMLフォーマットから山九基幹システムフォーマットへのメッセージ変換に「Websphere MQ Integrator®」、システムの障害監視に「Tivoli®」、データベースには「DB2® Universal Database™」などのIBMソフトウェアが使われています。また、サーバーにはIBM eServer ®pSeries®が利用されています。

日本IBMは、プロトタイプの開発から本番稼働まで、XMLに関する技術や情報を提供し、山九のシステム構築を全面的にサポート。システムは2003年11月に稼働開始となりました。


山九とデュポン社のシステム連携構成図



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導入効果



山九株式会社
物流本部
物流企画部
物流システムグループ
諸我(もろが)潤氏


物流期間の短縮や新たな顧客への展開も

このシステムによりデュポン社には、物流の効率化がもたらされました。
「今回のシステム構築により、業務フローの整理やシステム化などを行うことで、依頼業務がスムーズになりました。結果として業務が省略化でき、依頼してからお客様に物が届く期間が短縮しました」(物流本部 物流企画部 物流システムグループ 諸我潤氏)

またこのXMLベースのシステムは、汎用的なシステムを考慮して構築されているため、デュポン社に限らず他社への展開も可能となります。
「今後、他社がXMLベースでいろいろなデータをやりとりしたいといった場合でも、開発コストは大幅に抑えることができます。また、XMLによる開発という点で、新たなお客様に興味を持ってもらえるので、それもメリットです」(尾上氏)




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将来の展望


お客様のニーズに応え、競争力を高めていく

「これからは『この商品でいくら物流コストがかかるか知りたい』という物流コスト削減を意識したニーズが増えていくと思います。今までは倉庫だけ、輸配送だけといった、物の流れだけがわかるデータ交換だったものが、受発注のバランス管理からコスト管理までの物流だけでなく、商流に近いデータ精度が物流業者に求められています。
また在庫の圧縮だけでなく、販売の効率化につながるデータをもっと提供してほしいという要望もあります。『売れ筋はどの商品で、それが、いつ、どの地域でどれだけ売れたのか』といったデータを提供してほしいということです」。今後、佐藤氏はこうしたニーズに応えていきたいと語っています。

「XMLは本当に新しい技術ですので、今回のシステム構築を通して、その中核となる技術を活用できたのは非常に大きいと思います。これからはコストや品質はもちろんのこと、活きた情報をタイムリーにお届けできるようなサービスも提供します。XMLでしたら、互いのシステムがコミュニケーションしやすくなり、競争力も増すことになります。“お客様のシステムと連携して、競争力を高めてくれる物流企業”としてお客様をサポートしていきます」。と山本氏は今後の展望を述べています。


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お客様の声


デュポン社の鈴木良之氏(チタニウムテクノロジー 事業部長 )は、山九と日本IBMの取り組みについて、次のように評価しています。

「山九株式会社、日本IBMの担当の皆様には本当にお世話になりました。弊社のようなグローバル企業では、新しい技術を採用するには勇気が必要です。しかし今回は最先端のシステムと連動させること、かつ長期的な視野に立った上でXMLを採用しました。システム設計は変更に継ぐ変更の連続であったにもかかわらず、弊社の要望を全面的に組み入れていただきました。2社の高度な技術、忍耐、サービス精神がなければ達成が困難なプロジェクトであったと思います。本当にありがとうございました」


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お客様情報

お客様名: 山九株式会社
本社所在地: 〒104-0054東京都中央区勝どき6-5-23
URL: http://www.sankyu.co.jp/
企業概要:
「人を大切に」を基本理念として、社名の由来でもある「ありがとう」の気持ちを常に持ち続け、物流事業をはじめ各種機械・プラントの据付・メンテナンスから土木・建築に至るまで、国内はもとより、広く海外までグローバルな事業を展開。その多岐にわたる事業ノウハウをベースに、長年培ってきた「技術とシステム」を加え、物流・機工という各部門を有機的に連動させた、新しい形の総合サービス企業としての発展を目指しています。

特に物流分野は国際物流、港湾物流、サードパーティー・ロジスティックスを手がけており、重要な戦略事業となっています。東アジア、東南アジアに23社の現地法人があり、日系物流企業で最大級のネットワークを誇っています。


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お客様名: 株式会社インフォセンス
本社所在地: 〒812-0013福岡県福岡市博多区博多駅東1-16-8 ITビル
URL: http://www.info-sense.co.jp/top/
企業概要:
顧客企業のニーズから問題を発見し、最適な解決手段を提案。その開発・運用まで行うのが、インフォセンスの「Logistics & IT Solution」です。ロジスティックスやERP、医療、金融など、さまざまな分野のソリューションを手がけています。


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用語の説明

XML
Extensible Markup Languageの略で、マークアップ言語の1つ。電子商取引で利用されている。XMLを用いることで、自由度の高い文書をさまざまな範囲で交換でき、標準文書仕様として注目されている。
SOAP
オブジェクト間の通信をネットワークで行うためのプロトコル(通信規約)。通信の記述にはXMLを用いている。

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