SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
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業務と組織の変化に強い
基幹の SCM プラットフォームを実現
Microsoft® .NET Framework で構築された
新発想のシステム「GAUSS」を追う
2004 年度マイクロソフト認定パートナーアワード受賞事例:
日本電気株式会社
Summary
ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるシステムを築くため、社内の各業務システムで共有できる革新的な情報基盤を確立。NEC のノウハウとマイクロソフトの製品が、基幹業務システムを支える新たなしくみの実現へと導いた。
経営課題・ビジネス背景
事業部制からカンパニー制に移行し、またその 2 年後には事業ライン制への切り替えを控える中、組織再編や業務プロセスの変化に迅速に対応できる、統一的な情報システム基盤を構築する必要が生じた。
導入目的
「汎用的な業務モデル」と「統一的なデータ構造」を備えた全社共通の業務アプリケーション基盤を構築し、その基盤の上に事業部ごとのシステムを構築していく。それにより、再設計やデータ移行を最小限に抑え、各事業部の既存業務システムを新しいシステムへ組み入れることができるようにする。
導入プロセス
「要求」と「応答」から成る業務モデルを確立。このモデルを基に、各業務アプリケーションの基盤となるデータベース層およびアプリケーション サーバー層を .NET と Microsoft SQL Server™ 2000 によって構築。
導入効果
当初、開発プラットフォームは J2EE だったが、開発の進捗が思わしくなかったため、工期半ばで .NET プラットフォームに切り替え。マイクロソフト コンサルティング サービスの支援の下、予定どおりシステムをリリースすることに成功。1 日 33 万件に及ぶトランザクションを低コストでスムーズに処理できるシステムを、当初開発期間の半分で構築できた。
※日本電気株式会社の社内システム用基盤を製品化した「GdFrame」が、2004 年度 ISV アワードを受賞しました。下記は、NEC 社内で展開した「GAUSS(NEC プロジェクト名称)」のご紹介です。
NEC
日本電気株式会社 (以下、NEC) は現在、業務プロセスや組織の変更や変化に柔軟に対応するサプライ チェーン マネジメント (SCM) のプラットフォーム「GAUSS」を開発し、主にネットワーク系事業の基幹業務システムで運用しています。GAUSS は、特定の業務ニーズを起点に設計、開発された一般的なアプリケーションではありません。あらゆる業務プロセスに対応可能なデータベース基盤と、迅速なアプリケーション リリースを実現する開発環境から構成されるフレームワークであり、業務プロセスと組織の変化に即応できるシステム環境を具体化させた仕組みです。ビジネスの変化に強いシステムである上に、経営数値の取り出しなども容易に行えることから、社内各部門の現場やトップから高い評価を得ております。ここでは、GAUSS に流れる設計思想や IT 戦略、および、その効果を明らかにします。またそれと併せて、.NET Framework や SQL Server をはじめとするマイクロソフトの製品サービスが GAUSS 構築用に選定された理由や背景要因も解き明かしていきます。
開発のコンセプトは変化へのスピーディな対応
100 年余の歴史を持つ事業部制からカンパニー制に移行し、またその 2 年後には事業ライン制へと切り替える――重点分野の選択と集中に取り組む NEC では、組織の変更もダイナミックに行われています。このような組織再編や業務プロセスの変化に迅速に対応できる統合的なサプライ チェーン管理(SCM)システムを実現することが、NEC の「GAUSS (Global Applications with Unified Supply Chain BaSe)」に流れる設計コンセプトです。
言うまでもなく、多種多様な製品を開発製造している企業では、大抵の場合、部門や部署ごとに異なるシステムが構築されています。それは、NEC についても例外ではなく、とりわけ、SCM システムなどの基幹業務システムは、各事業部および生産拠点の個別ニーズや事情に応じて独自に開発されてきたのです。そして、それらのシステムと営業システムなどの全社的な基幹システムとの間では、EAI の仕組みを介したデータ交換などが行われてきたわけです。
こうした状況を変化させるきっかけを作ったのは、NEC が 2000 年 4 月に実施したカンパニー制の導入です。当時のカンパニーの 1 つであるNEC ネットワークスは、「カンパニーの IT 武装化によって競争力を高める」との方針を打ち出し、2001 年 5 月、カンパニー情報システムの実現に向けたプロジェクト(カンパニー内のシステムを刷新、統合するプロジェクト)を設置し、カンパニーの副社長や経営企画部のメンバーによる検討が開始しました。
ここで焦点となったのは、出来合いの ERP パッケージを導入し、それによるシステム統合を図るのか、それとも、従来からの仕組みを生かした格好でシステム統合を行うのかという点です。この 2 つを巡る議論の末に最終的に導き出した結論が、後者の手法を採用すること、すなわち、従来からの仕組みを生かしたシステム統合を行うことでした。
旧 NEC ネットワークスにおいて、システム検討のプロジェクトに参加した横井秀志氏(現 NEC IT 戦略部 統括マネージャー)は、こう振り返ります。
NEC
IT 戦略部 統括マネージャー
横井秀志氏
「私たちには、NEC のカンパニーとして、各事業部のシステムに共通の“ユニフォーム”を着せたいという思いが強くありました。それを実現するには、ERP パッケージを全面的に導入し、それに合わせて業務プロセスを改変してしまうのが最もシンプルな方法です。ただしそれは、各事業部が長い歴史の中で培ってきた業務ノウハウを否定することにつながります。システムの改変によってそのような事態に陥るのは避けなければならない――それが、検討プロジェクトとカンパニーのトップの結論だったのです。そこで、システムの土台(プラットフォーム)だけを統一的な仕組みに作り替え、その上で事業部ごとのシステムを構築していくといった GAUSS 開発につながる発想が生まれたのです。要するに、独自性の強いシステムも統一的なプラットフォーム上に乗せておけば、将来的な統合が容易に行えると考えたわけです」
原型は生産工場の SCM システム「BACKS」
NEC ネットワークスの検討プロジェクトが上記結論を導出した背景には、もう 1 つの理由があります。それは、NEC (NEC ネットワークス)のある工場において、GAUSS の原型となった SCM システム「BACKS」がすでに稼働していたことにほかなりません。つまり、BACKS は、「あらゆる業務プロセスに柔軟に対応できる上に、業務プロセス変更に対して迅速に対応できる」という、まさに NEC ネットワークスが求める SCM システムの要件を満たしたシステムだったのです。
その工場では、1997 年から Y2K (西暦 2000 年問題)対策の一環として情報システムの刷新プロジェクトを始動させ、1999 年にマイクロソフトの Access と SQL Server をベースにした BACKS を完成させていました。
BACKS は、工場における生産革新活動の中で、業務プロセスやそれを取り巻く環境の変化にすばやく対応することを目的に開発されたシステムです。同システムの利点を、生産拠点の情報システム開発で豊富な経験を持つ NEC の木村浩人氏(情報システム部 シニアマネージャー)はこう説きます。
NEC
情報システム部 シニアマネージャー
木村浩人氏
「例えば、工場では、4 つの部門に属する 4 人の担当者が行っていた作業を 1 部門の 1 人に集約してしまうといった業務改善が日々行われています。ところが、多くの場合、そうした新しい業務プロセスに合わせてシステムを改変しようとすると、かなりの時間がかかります。そして、結果的に、システムが生産革新の足を引っ張る格好になるわけです。BACKS は業務とシステムを巡るこうした根本的な問題を解決する画期的な仕組みを備えていたのです」
こうして NEC ネットワークスは 2001 年 7 月、BACKS のコンセプトをベースに、より大量のデータを高速に処理しうる SCM プラットフォームを構築するという決定を下しました。その結果として、GAUSS の開発プロジェクトが始動したのです。
ちなみに、GAUSS の正式名称、すなわち「Global Applications with Unified Supply Chain BaSe」には、「統一的なサプライ チェーンの基盤上で多様なアプリケーションを動作させる」という意味が込められています。
GAUSS は、木村氏の言う「画期的な仕組み」を実現するために、以下の 2 つの特徴的なアプローチを採用しています。
(1) あらゆる業務に対応できる汎用的な業務モデリング手法の確立
(2) 統一データ構造を持つ標準化データベースの採用
まず、(1) のモデリング手法は、すべてのビジネス活動を「要求(デマンド)」と「応答(サプライ)」の対で捉えるというものです。
一般に、業務の流れはスタートからエンドまでの一連の流れとして捉えられます。しかし、GAUSS では、そうした捉え方を改め、すべてのビジネス活動を「要求」と、それに対する「応答」の組み合わせとして見なしました。例えば、GAUSS が対象とするサプライ チェーン(という業務領域)の場合、「お客様」→「受注」→「営業」→「出荷指示」→「メーカー」という情報の流れが「要求」となり、対する「応答」の流れは「メーカー」→「出荷完了」→「営業」→「納品」→「お客様」といった具合になります。そして、GAUSS では、「下り」に相当する「要求」の情報の流れを「デマンド(要求、指示)」、「上り」に相当する「応答」の情報の流れを「サプライ(実績報告)」として位置づけたのです。これにより、すべてのビジネス活動は、「デマンド」と「サプライ」から成る実にシンプルな構造としてモデリングすることが可能になるのです。
さらに、GAUSS では「デマンド」と「サプライ」を構成する情報を、「誰が」「いつまでに」「何を」といった標準化されたデータ構造に統一しました。これらのコンセプトに基づき、GAUSS は、すべてのビジネス活動を同一の形式でモデリングする、極めて汎用的な業務モデリング手法を確立したのです(図1)。
図1:GAUSS における業務モデリングの手法
一方、(2) の「統一データ構造を持つ標準化データベースの採用」は、あらゆる業務システムへの対応が可能な統一データベースを実現すべく考案されたものです(図2)。
図2:GAUSS のデータベースの構造
通常の業務システム改変では、何らかのデータベースの構造を変更する必要が生じます。ただし、このようなデータベースの構造変更は、厄介な再設計作業やデータ移行作業を伴うため、業務システムの改変を困難にする根本原因ともなります。
しかし、「デマンド、サプライ」と「統一データ構造を持つ標準化データベース」に基づいて設計された GAUSS は、このような問題を一切発生させません。なぜならば、いかなるプロセスに基づく業務であっても、同じデータベースによって一括して管理することが可能だからです。
以上の 2 つのアプローチによって、GAUSS のシステムは、あらゆる業務プロセスへの柔軟な対応と変化への即応性を実現しています。そのアプローチの有効性を、横井氏は改めてこう指摘します。
「従来の業務システム開発では、まず初めに機能要件を定義し、それを起点にアプリケーションやデータベースを設計していました。しかし、変化が激しい今日では、業務で必要とされる機能自体が半年もしないうちにガラリと変容します。となれば、あらゆるビジネス・モデルの展開が可能なプラットフォームを作り、その上に機能要件ごとのアプリケーション(コンポーネント)を乗せていくといったアプローチが適切であるとの結論に自ずと至るのです」
高速性と生産性で
SQL Server と .NET Framework を選択
GAUSS の開発には、.NET Framework をはじめとするマイクロソフトのソフトウェア製品群とマイクロソフト コンサルティング サービス(Microsoft Consulting Services:MCS)が使われています。そのシステム全体は、図3にあるとおりクライアントとアプリケーション サーバー、およびデータベース サーバーの 3 層から成ります。この中のクライアントは、もちろん、業務現場のユーザーが利用する環境であり、GAUSS の場合、Web ブラウザと Access ベースのリッチ クライアントの 2 つが用意されています。
図3:GAUSS のシステム構成(NEC で稼動しているシステムの事例)
Access ベースのリッチ クライアントは、GAUSS にエンド ユーザー コンピューティングの機能を提供するために採用されたものです。その採用理由を、NEC の情報システム部でシニアマネージャーを務める我有幹寛氏は以下のように説きます。
NEC
情報システム部 シニアマネージャー
我有幹寛氏
「最近は、ユーザー自身が自分の仕事を効率よく進めるために、業務システムから引き出したデータを自ら加工したり、それ用のクライアント アプリケーションを作成したりする場合が少なくないからです」
一方、GAUSS のアプリケーション サーバー層は、マイクロソフトの Windows 2000 Server と IIS 5.0、および .NET Framework 1.0 (現在はIIS 6.0 と .NET Framework 1.1 の利用も可能)から構成されており、このプラットフォーム上で稼働するサーバー アプリケーション(業務システム)は、ASP.NET と ADO.NET をサポートする Visual C# .NET によって構築されています。また、外部システムなどとの間でデータをやり取りする仕組みとしては、Web サービスが採用されており、標準化データベースのサーバーとしてはマイクロソフトの SQL Server 2000 が使用されています。
もっとも、NEC では当初、GAUSS のシステムを J2EE 対応の開発環境とアプリケーション サーバーによって構築する計画でした。そのため、データベース サーバーに SQL Server 2000 を使用することも正式には決定していませんでした。
そうした中で、2001 年 10 月、業務アプリケーションに種々のサービス機能を提供する GAUSS コアの開発が本格的にスタートしたのです。
その際、データベース サーバーの候補としては、BACKS で利用されていた SQL Server のほかに、もう 1 社のデータベース製品も挙げられていました。BACKS と同じ構造のデータベースで両者のパフォーマンスを比較した結果、SQL Server 2000 の採用が決定されたのです。
一方、J2EE 対応のアプリケーション サーバー上で動作する GAUSS コアを開発する過程で、開発進捗が予想以上に芳しくないという問題が発生しました。
「ちょうどそのとき、『近く .NET Framework がリリースされる』との情報をマイクロソフトから得ました。それが状況を打開するきっかけとなったのです」と、我有氏は述懐し、こう話を続けます。
「開発チームのスキル不足もあり、GAUSS コアのリリース時期(2002 年 4 月)の 2 か月前になってもスケジュールを挽回する兆しが見られませんでした。.NET Framework の有効性についての確信は持てませんでしたが、事態は急を要していました。そこで、マイクロソフトに .NET Framework のワークショップを催してもらい、早速、GAUSS コアのモックアップ(試作品)を MCS のコンサルタントとともに作成することにしたのです。MCS のコンサルタントの協力でわれわれのスキル不足を補え、その試作品は 2 週間ほどで出来上がり、動作上の問題も特にありませんでした。そこで、開発プラットフォームを .NET Framework に切り替える決断を下したのです」
また、.NET Framework の場合、開発環境に標準で添付されているソフトウェア部品の種類も多く、データセットと呼ばれる機能も使用できます。この辺りも、GUASS 開発チームによる高い評価につながったようです。
1 日 33 万件の
トランザクションをスムーズに処理
.NET Framework 版の GAUSS コアは 2002 年 4 月末にリリースされ、同年 5 月からは各事業部の開発チームによる業務システム開発がスタートを切りました。続く 8 月には、最初の業務システムが GAUSS 上で稼働し、その他の業務システムについても順次 GAUSS への移行作業が進められました。これにより、最初のサービス インから 1 年半程度が経過した 2004 年初めの段階で、GAUSS 上で稼働ないし開発中の業務システムは、NEC 社内(旧 NEC ネットワークス内)の 5 事業本部と生産会社(工場)、および、2 つの関連会社、さらには、NEC グループ外を含む 3 社の計 13 システムに達しました。
また、.NET Framework と SQL Server のコンビネーションは、基幹システムである GAUSS の要件も十分に満たしているようです。実際、我有氏は、「工場では部品単位でデマンドとサプライの両データが発生するため、GAUSS のシステム上では 1 日当たり約 33 万件のトランザクションが処理されています。また、その他の事業本部のGAUSS 上でも、1 日 10 万件、1 か月に換算すると 250 万件というトランザクションが処理されるケースは珍しくありません」と説明します。こうしたトランザクションを安定して処理する GAUSS のインフラとして、.NET Framework と SQL Server は 1 年半近くの安定稼動を続けているのです。
業務プロセスと経営数値の見通しの良さで
経営サイドも高評価
こうした現状を踏まえながら、横井氏は、GAUSS の導入効果をこう指摘します。
「GAUSS の数値的な投資対効果はまだ測定していません。ただし、このシステムをすでに導入している部門からは、サプライ チェーンを構成する各業務プロセスが一気通貫の格好で見通せるようになったとの評価をもらっています。また、GAUSS のシステムからは経営判断に必要なデータも簡単に取り出せます。そのため、経営サイドの評価も上々です」
GAUSS の標準化データベースの構造はシンプルである上に、SCM におけるすべてのビジネス プロセスを一気通貫で見通すことを可能とします。そのため、GAUSS 上であれば、データの分析の仕組み、すなわちビジネス インテリジェンス(BI)用の仕組みも(Access などのクライアント ソフトウェアを用いることで)極めて簡単に構築できます。つまり、GAUSS は、経営層が求めるリアルタイムの経営指標を、日々の業務で発生する生データから直接導出できるインフラともなるのです。NEC では、約 1 年半にわたる社内利用を通じて GAUSS の有用性を確認しました。そこで GAUSS 推進チームは、「GdFrame」という名称で、GAUSS の外販も計画しています。横井氏は、GAUSS の外販についてこう説明を加えます。
「GAUSS は、業務プロセスをデマンドとサプライという概念によってモデル化している点が大きなポイントであり、それはまたオブジェクト指向の業務分析、設計の手法を全面的に採用したシステムでもあります。そこで当社では、GdFrame を基盤のソフトウェアのみならず、それをベースにした業務分析、設計の方法論も併せたトータル ソリューションとして提供していくつもりです」
NEC の SCM ノウハウと
マイクロソフト製品サービスのシナジー効果
ここまで見てきた通り、GAUSS の成功は、BACKS から継承された SCM のノウハウ「デマンド、サプライ」と「統一データ構造を持つ標準化データベース」によってもたらされたものです。そして、その成功には、マイクロソフト製品群の高い生産性と信頼性も寄与しています。つまり、「あらゆる業務プロセスへの柔軟な対応」と「業務プロセス変更への迅速な対応」を実現する GAUSS という革新的な基幹業務システムは、NEC のノウハウとマイクロソフト製品、サービスの 2 つが両輪となり、成功へと導いた仕組みとも言えるのです。
特に、.NET Framework についてはこれまで、開発の生産性の高さや Web サービスへの対応といった先進性が強調されるケースはあっても、「基幹システムに適用した場合の実力」についてはあまり語られてきませんでした。そのため、.NET Framework ベースのアプリケーションが基幹システムとしての運用に耐えうる信頼性を発揮するかどうかは比較的不明瞭だったかもしれません。しかし、NEC のGAUSS が 1 年半にわたって安定稼働を続けたことで、その辺りの不明瞭さも一掃されています。つまり、GAUSS の完成と発展により、.NET Framework が基幹システム用のミドルウェアとして十分に有効であることが実証されたのです。
横井氏は、GAUSS のこれまでを振り返りながら、その将来展望を次のように語ります。
「マイクロソフトのコンサルタントの協力もあり、サプライ チェーンを支える新たな仕組みを予定どおりに完成させることができました。GAUSS は、ビジネス環境の変更に柔軟に対応できるほか、業務の流れを一気通貫で見通せ、また、経営数値の取り出しも容易に行えることから、社内各部門の現場やトップから高い評価を得ています。2004 年度には、『GdFrame』という名称で、GAUSS の外販も計画中ですので、他の企業の方にもぜひそのメリットを享受していただきたいと考えています」
優れた業務ノウハウとマイクロソフト製品サービスとの融和が生んだ NEC の GAUSS ――同システムは企業の基幹システムの進化と発展を担う革新プラットフォームとして大きく期待されています。
基幹の SCM プラットフォームを実現
Microsoft® .NET Framework で構築された
新発想のシステム「GAUSS」を追う
2004 年度マイクロソフト認定パートナーアワード受賞事例:
日本電気株式会社
Summary
ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるシステムを築くため、社内の各業務システムで共有できる革新的な情報基盤を確立。NEC のノウハウとマイクロソフトの製品が、基幹業務システムを支える新たなしくみの実現へと導いた。
経営課題・ビジネス背景
事業部制からカンパニー制に移行し、またその 2 年後には事業ライン制への切り替えを控える中、組織再編や業務プロセスの変化に迅速に対応できる、統一的な情報システム基盤を構築する必要が生じた。
導入目的
「汎用的な業務モデル」と「統一的なデータ構造」を備えた全社共通の業務アプリケーション基盤を構築し、その基盤の上に事業部ごとのシステムを構築していく。それにより、再設計やデータ移行を最小限に抑え、各事業部の既存業務システムを新しいシステムへ組み入れることができるようにする。
導入プロセス
「要求」と「応答」から成る業務モデルを確立。このモデルを基に、各業務アプリケーションの基盤となるデータベース層およびアプリケーション サーバー層を .NET と Microsoft SQL Server™ 2000 によって構築。
導入効果
当初、開発プラットフォームは J2EE だったが、開発の進捗が思わしくなかったため、工期半ばで .NET プラットフォームに切り替え。マイクロソフト コンサルティング サービスの支援の下、予定どおりシステムをリリースすることに成功。1 日 33 万件に及ぶトランザクションを低コストでスムーズに処理できるシステムを、当初開発期間の半分で構築できた。
※日本電気株式会社の社内システム用基盤を製品化した「GdFrame」が、2004 年度 ISV アワードを受賞しました。下記は、NEC 社内で展開した「GAUSS(NEC プロジェクト名称)」のご紹介です。
NEC
日本電気株式会社 (以下、NEC) は現在、業務プロセスや組織の変更や変化に柔軟に対応するサプライ チェーン マネジメント (SCM) のプラットフォーム「GAUSS」を開発し、主にネットワーク系事業の基幹業務システムで運用しています。GAUSS は、特定の業務ニーズを起点に設計、開発された一般的なアプリケーションではありません。あらゆる業務プロセスに対応可能なデータベース基盤と、迅速なアプリケーション リリースを実現する開発環境から構成されるフレームワークであり、業務プロセスと組織の変化に即応できるシステム環境を具体化させた仕組みです。ビジネスの変化に強いシステムである上に、経営数値の取り出しなども容易に行えることから、社内各部門の現場やトップから高い評価を得ております。ここでは、GAUSS に流れる設計思想や IT 戦略、および、その効果を明らかにします。またそれと併せて、.NET Framework や SQL Server をはじめとするマイクロソフトの製品サービスが GAUSS 構築用に選定された理由や背景要因も解き明かしていきます。
開発のコンセプトは変化へのスピーディな対応
100 年余の歴史を持つ事業部制からカンパニー制に移行し、またその 2 年後には事業ライン制へと切り替える――重点分野の選択と集中に取り組む NEC では、組織の変更もダイナミックに行われています。このような組織再編や業務プロセスの変化に迅速に対応できる統合的なサプライ チェーン管理(SCM)システムを実現することが、NEC の「GAUSS (Global Applications with Unified Supply Chain BaSe)」に流れる設計コンセプトです。
言うまでもなく、多種多様な製品を開発製造している企業では、大抵の場合、部門や部署ごとに異なるシステムが構築されています。それは、NEC についても例外ではなく、とりわけ、SCM システムなどの基幹業務システムは、各事業部および生産拠点の個別ニーズや事情に応じて独自に開発されてきたのです。そして、それらのシステムと営業システムなどの全社的な基幹システムとの間では、EAI の仕組みを介したデータ交換などが行われてきたわけです。
こうした状況を変化させるきっかけを作ったのは、NEC が 2000 年 4 月に実施したカンパニー制の導入です。当時のカンパニーの 1 つであるNEC ネットワークスは、「カンパニーの IT 武装化によって競争力を高める」との方針を打ち出し、2001 年 5 月、カンパニー情報システムの実現に向けたプロジェクト(カンパニー内のシステムを刷新、統合するプロジェクト)を設置し、カンパニーの副社長や経営企画部のメンバーによる検討が開始しました。
ここで焦点となったのは、出来合いの ERP パッケージを導入し、それによるシステム統合を図るのか、それとも、従来からの仕組みを生かした格好でシステム統合を行うのかという点です。この 2 つを巡る議論の末に最終的に導き出した結論が、後者の手法を採用すること、すなわち、従来からの仕組みを生かしたシステム統合を行うことでした。
旧 NEC ネットワークスにおいて、システム検討のプロジェクトに参加した横井秀志氏(現 NEC IT 戦略部 統括マネージャー)は、こう振り返ります。
NEC
IT 戦略部 統括マネージャー
横井秀志氏
「私たちには、NEC のカンパニーとして、各事業部のシステムに共通の“ユニフォーム”を着せたいという思いが強くありました。それを実現するには、ERP パッケージを全面的に導入し、それに合わせて業務プロセスを改変してしまうのが最もシンプルな方法です。ただしそれは、各事業部が長い歴史の中で培ってきた業務ノウハウを否定することにつながります。システムの改変によってそのような事態に陥るのは避けなければならない――それが、検討プロジェクトとカンパニーのトップの結論だったのです。そこで、システムの土台(プラットフォーム)だけを統一的な仕組みに作り替え、その上で事業部ごとのシステムを構築していくといった GAUSS 開発につながる発想が生まれたのです。要するに、独自性の強いシステムも統一的なプラットフォーム上に乗せておけば、将来的な統合が容易に行えると考えたわけです」
原型は生産工場の SCM システム「BACKS」
NEC ネットワークスの検討プロジェクトが上記結論を導出した背景には、もう 1 つの理由があります。それは、NEC (NEC ネットワークス)のある工場において、GAUSS の原型となった SCM システム「BACKS」がすでに稼働していたことにほかなりません。つまり、BACKS は、「あらゆる業務プロセスに柔軟に対応できる上に、業務プロセス変更に対して迅速に対応できる」という、まさに NEC ネットワークスが求める SCM システムの要件を満たしたシステムだったのです。
その工場では、1997 年から Y2K (西暦 2000 年問題)対策の一環として情報システムの刷新プロジェクトを始動させ、1999 年にマイクロソフトの Access と SQL Server をベースにした BACKS を完成させていました。
BACKS は、工場における生産革新活動の中で、業務プロセスやそれを取り巻く環境の変化にすばやく対応することを目的に開発されたシステムです。同システムの利点を、生産拠点の情報システム開発で豊富な経験を持つ NEC の木村浩人氏(情報システム部 シニアマネージャー)はこう説きます。
NEC
情報システム部 シニアマネージャー
木村浩人氏
「例えば、工場では、4 つの部門に属する 4 人の担当者が行っていた作業を 1 部門の 1 人に集約してしまうといった業務改善が日々行われています。ところが、多くの場合、そうした新しい業務プロセスに合わせてシステムを改変しようとすると、かなりの時間がかかります。そして、結果的に、システムが生産革新の足を引っ張る格好になるわけです。BACKS は業務とシステムを巡るこうした根本的な問題を解決する画期的な仕組みを備えていたのです」
こうして NEC ネットワークスは 2001 年 7 月、BACKS のコンセプトをベースに、より大量のデータを高速に処理しうる SCM プラットフォームを構築するという決定を下しました。その結果として、GAUSS の開発プロジェクトが始動したのです。
ちなみに、GAUSS の正式名称、すなわち「Global Applications with Unified Supply Chain BaSe」には、「統一的なサプライ チェーンの基盤上で多様なアプリケーションを動作させる」という意味が込められています。
GAUSS は、木村氏の言う「画期的な仕組み」を実現するために、以下の 2 つの特徴的なアプローチを採用しています。
(1) あらゆる業務に対応できる汎用的な業務モデリング手法の確立
(2) 統一データ構造を持つ標準化データベースの採用
まず、(1) のモデリング手法は、すべてのビジネス活動を「要求(デマンド)」と「応答(サプライ)」の対で捉えるというものです。
一般に、業務の流れはスタートからエンドまでの一連の流れとして捉えられます。しかし、GAUSS では、そうした捉え方を改め、すべてのビジネス活動を「要求」と、それに対する「応答」の組み合わせとして見なしました。例えば、GAUSS が対象とするサプライ チェーン(という業務領域)の場合、「お客様」→「受注」→「営業」→「出荷指示」→「メーカー」という情報の流れが「要求」となり、対する「応答」の流れは「メーカー」→「出荷完了」→「営業」→「納品」→「お客様」といった具合になります。そして、GAUSS では、「下り」に相当する「要求」の情報の流れを「デマンド(要求、指示)」、「上り」に相当する「応答」の情報の流れを「サプライ(実績報告)」として位置づけたのです。これにより、すべてのビジネス活動は、「デマンド」と「サプライ」から成る実にシンプルな構造としてモデリングすることが可能になるのです。
さらに、GAUSS では「デマンド」と「サプライ」を構成する情報を、「誰が」「いつまでに」「何を」といった標準化されたデータ構造に統一しました。これらのコンセプトに基づき、GAUSS は、すべてのビジネス活動を同一の形式でモデリングする、極めて汎用的な業務モデリング手法を確立したのです(図1)。
図1:GAUSS における業務モデリングの手法
一方、(2) の「統一データ構造を持つ標準化データベースの採用」は、あらゆる業務システムへの対応が可能な統一データベースを実現すべく考案されたものです(図2)。
図2:GAUSS のデータベースの構造
通常の業務システム改変では、何らかのデータベースの構造を変更する必要が生じます。ただし、このようなデータベースの構造変更は、厄介な再設計作業やデータ移行作業を伴うため、業務システムの改変を困難にする根本原因ともなります。
しかし、「デマンド、サプライ」と「統一データ構造を持つ標準化データベース」に基づいて設計された GAUSS は、このような問題を一切発生させません。なぜならば、いかなるプロセスに基づく業務であっても、同じデータベースによって一括して管理することが可能だからです。
以上の 2 つのアプローチによって、GAUSS のシステムは、あらゆる業務プロセスへの柔軟な対応と変化への即応性を実現しています。そのアプローチの有効性を、横井氏は改めてこう指摘します。
「従来の業務システム開発では、まず初めに機能要件を定義し、それを起点にアプリケーションやデータベースを設計していました。しかし、変化が激しい今日では、業務で必要とされる機能自体が半年もしないうちにガラリと変容します。となれば、あらゆるビジネス・モデルの展開が可能なプラットフォームを作り、その上に機能要件ごとのアプリケーション(コンポーネント)を乗せていくといったアプローチが適切であるとの結論に自ずと至るのです」
高速性と生産性で
SQL Server と .NET Framework を選択
GAUSS の開発には、.NET Framework をはじめとするマイクロソフトのソフトウェア製品群とマイクロソフト コンサルティング サービス(Microsoft Consulting Services:MCS)が使われています。そのシステム全体は、図3にあるとおりクライアントとアプリケーション サーバー、およびデータベース サーバーの 3 層から成ります。この中のクライアントは、もちろん、業務現場のユーザーが利用する環境であり、GAUSS の場合、Web ブラウザと Access ベースのリッチ クライアントの 2 つが用意されています。
図3:GAUSS のシステム構成(NEC で稼動しているシステムの事例)
Access ベースのリッチ クライアントは、GAUSS にエンド ユーザー コンピューティングの機能を提供するために採用されたものです。その採用理由を、NEC の情報システム部でシニアマネージャーを務める我有幹寛氏は以下のように説きます。
NEC
情報システム部 シニアマネージャー
我有幹寛氏
「最近は、ユーザー自身が自分の仕事を効率よく進めるために、業務システムから引き出したデータを自ら加工したり、それ用のクライアント アプリケーションを作成したりする場合が少なくないからです」
一方、GAUSS のアプリケーション サーバー層は、マイクロソフトの Windows 2000 Server と IIS 5.0、および .NET Framework 1.0 (現在はIIS 6.0 と .NET Framework 1.1 の利用も可能)から構成されており、このプラットフォーム上で稼働するサーバー アプリケーション(業務システム)は、ASP.NET と ADO.NET をサポートする Visual C# .NET によって構築されています。また、外部システムなどとの間でデータをやり取りする仕組みとしては、Web サービスが採用されており、標準化データベースのサーバーとしてはマイクロソフトの SQL Server 2000 が使用されています。
もっとも、NEC では当初、GAUSS のシステムを J2EE 対応の開発環境とアプリケーション サーバーによって構築する計画でした。そのため、データベース サーバーに SQL Server 2000 を使用することも正式には決定していませんでした。
そうした中で、2001 年 10 月、業務アプリケーションに種々のサービス機能を提供する GAUSS コアの開発が本格的にスタートしたのです。
その際、データベース サーバーの候補としては、BACKS で利用されていた SQL Server のほかに、もう 1 社のデータベース製品も挙げられていました。BACKS と同じ構造のデータベースで両者のパフォーマンスを比較した結果、SQL Server 2000 の採用が決定されたのです。
一方、J2EE 対応のアプリケーション サーバー上で動作する GAUSS コアを開発する過程で、開発進捗が予想以上に芳しくないという問題が発生しました。
「ちょうどそのとき、『近く .NET Framework がリリースされる』との情報をマイクロソフトから得ました。それが状況を打開するきっかけとなったのです」と、我有氏は述懐し、こう話を続けます。
「開発チームのスキル不足もあり、GAUSS コアのリリース時期(2002 年 4 月)の 2 か月前になってもスケジュールを挽回する兆しが見られませんでした。.NET Framework の有効性についての確信は持てませんでしたが、事態は急を要していました。そこで、マイクロソフトに .NET Framework のワークショップを催してもらい、早速、GAUSS コアのモックアップ(試作品)を MCS のコンサルタントとともに作成することにしたのです。MCS のコンサルタントの協力でわれわれのスキル不足を補え、その試作品は 2 週間ほどで出来上がり、動作上の問題も特にありませんでした。そこで、開発プラットフォームを .NET Framework に切り替える決断を下したのです」
また、.NET Framework の場合、開発環境に標準で添付されているソフトウェア部品の種類も多く、データセットと呼ばれる機能も使用できます。この辺りも、GUASS 開発チームによる高い評価につながったようです。
1 日 33 万件の
トランザクションをスムーズに処理
.NET Framework 版の GAUSS コアは 2002 年 4 月末にリリースされ、同年 5 月からは各事業部の開発チームによる業務システム開発がスタートを切りました。続く 8 月には、最初の業務システムが GAUSS 上で稼働し、その他の業務システムについても順次 GAUSS への移行作業が進められました。これにより、最初のサービス インから 1 年半程度が経過した 2004 年初めの段階で、GAUSS 上で稼働ないし開発中の業務システムは、NEC 社内(旧 NEC ネットワークス内)の 5 事業本部と生産会社(工場)、および、2 つの関連会社、さらには、NEC グループ外を含む 3 社の計 13 システムに達しました。
また、.NET Framework と SQL Server のコンビネーションは、基幹システムである GAUSS の要件も十分に満たしているようです。実際、我有氏は、「工場では部品単位でデマンドとサプライの両データが発生するため、GAUSS のシステム上では 1 日当たり約 33 万件のトランザクションが処理されています。また、その他の事業本部のGAUSS 上でも、1 日 10 万件、1 か月に換算すると 250 万件というトランザクションが処理されるケースは珍しくありません」と説明します。こうしたトランザクションを安定して処理する GAUSS のインフラとして、.NET Framework と SQL Server は 1 年半近くの安定稼動を続けているのです。
業務プロセスと経営数値の見通しの良さで
経営サイドも高評価
こうした現状を踏まえながら、横井氏は、GAUSS の導入効果をこう指摘します。
「GAUSS の数値的な投資対効果はまだ測定していません。ただし、このシステムをすでに導入している部門からは、サプライ チェーンを構成する各業務プロセスが一気通貫の格好で見通せるようになったとの評価をもらっています。また、GAUSS のシステムからは経営判断に必要なデータも簡単に取り出せます。そのため、経営サイドの評価も上々です」
GAUSS の標準化データベースの構造はシンプルである上に、SCM におけるすべてのビジネス プロセスを一気通貫で見通すことを可能とします。そのため、GAUSS 上であれば、データの分析の仕組み、すなわちビジネス インテリジェンス(BI)用の仕組みも(Access などのクライアント ソフトウェアを用いることで)極めて簡単に構築できます。つまり、GAUSS は、経営層が求めるリアルタイムの経営指標を、日々の業務で発生する生データから直接導出できるインフラともなるのです。NEC では、約 1 年半にわたる社内利用を通じて GAUSS の有用性を確認しました。そこで GAUSS 推進チームは、「GdFrame」という名称で、GAUSS の外販も計画しています。横井氏は、GAUSS の外販についてこう説明を加えます。
「GAUSS は、業務プロセスをデマンドとサプライという概念によってモデル化している点が大きなポイントであり、それはまたオブジェクト指向の業務分析、設計の手法を全面的に採用したシステムでもあります。そこで当社では、GdFrame を基盤のソフトウェアのみならず、それをベースにした業務分析、設計の方法論も併せたトータル ソリューションとして提供していくつもりです」
NEC の SCM ノウハウと
マイクロソフト製品サービスのシナジー効果
ここまで見てきた通り、GAUSS の成功は、BACKS から継承された SCM のノウハウ「デマンド、サプライ」と「統一データ構造を持つ標準化データベース」によってもたらされたものです。そして、その成功には、マイクロソフト製品群の高い生産性と信頼性も寄与しています。つまり、「あらゆる業務プロセスへの柔軟な対応」と「業務プロセス変更への迅速な対応」を実現する GAUSS という革新的な基幹業務システムは、NEC のノウハウとマイクロソフト製品、サービスの 2 つが両輪となり、成功へと導いた仕組みとも言えるのです。
特に、.NET Framework についてはこれまで、開発の生産性の高さや Web サービスへの対応といった先進性が強調されるケースはあっても、「基幹システムに適用した場合の実力」についてはあまり語られてきませんでした。そのため、.NET Framework ベースのアプリケーションが基幹システムとしての運用に耐えうる信頼性を発揮するかどうかは比較的不明瞭だったかもしれません。しかし、NEC のGAUSS が 1 年半にわたって安定稼働を続けたことで、その辺りの不明瞭さも一掃されています。つまり、GAUSS の完成と発展により、.NET Framework が基幹システム用のミドルウェアとして十分に有効であることが実証されたのです。
横井氏は、GAUSS のこれまでを振り返りながら、その将来展望を次のように語ります。
「マイクロソフトのコンサルタントの協力もあり、サプライ チェーンを支える新たな仕組みを予定どおりに完成させることができました。GAUSS は、ビジネス環境の変更に柔軟に対応できるほか、業務の流れを一気通貫で見通せ、また、経営数値の取り出しも容易に行えることから、社内各部門の現場やトップから高い評価を得ています。2004 年度には、『GdFrame』という名称で、GAUSS の外販も計画中ですので、他の企業の方にもぜひそのメリットを享受していただきたいと考えています」
優れた業務ノウハウとマイクロソフト製品サービスとの融和が生んだ NEC の GAUSS ――同システムは企業の基幹システムの進化と発展を担う革新プラットフォームとして大きく期待されています。
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