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SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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分散化した企業の、国境を越えたナレッジ・シェアリング

 NASAの宇宙服を設計しているエンジニアが、エレベーター・メーカーのエンジニアから学べることがあるとしたら、それは何だろうか。

 「いくらでもある」と、ジーン・メイヒュー氏は言う。問題は、その2人がどうやって知り合い、会話を始めるかだけというのだ。ユナイテッド・テクノロジーズ・コープ(UTC)の研究開発部門、ユナイテッド・テクノロジーズ・リサーチ・センター(UTRC)でナレッジ・マネジメントのディレクターを務めるメイヒュー氏は、世界各地に分散している巨大組織でどうすれば一元的に知識を共有し合えるか、日夜頭を悩ませている。従業員数14万2,000人、世界各地に主な事業部だけでも5カ所を数える大企業にとって、これは途方もない仕事であることは彼女自身認めるところだ。だが、知識を共有できればどれだけの可能性が開けるかを考えれば、やる価値は十分にある。

 メイヒュー氏とUTRCのナレッジ・マネジメント・グループは、情報のさらなる有効利用を目指すというUTCの目標に応えるため、1998年11月、ナレッジ・シェアリング・イニシアチブをスタートさせた。「ナレッジ・マネジメントとは、情報を企業にとって価値ある姿に作り変えるプロセスだ。そして価値とは、コスト削減、従業員の生産性向上、製品/サービスの品質改善であると定義できる」と、メイヒュー氏はナレッジ・マネジメントを規定する。UTCがますますグローバルな成長を遂げ、吸収・合併によって新会社が生まれていく中、UTRCはナレッジ・マネジメントを情報の共有とブレーンストーミングを通して上記の価値を高めるための手段ととらえるようになった。

エンジニアを対象に数万人規模でナレッジ・シェアリング
「ナレッジ・マネジメントとは、情報を企業にとって価値ある姿に作り変えるプロセスだ」と語るジーン・メイヒュー氏(ユナイテッド・テクノロジーズ、ナレッジ・マネジメント担当ディレクター)
 一般的に、ナレッジ・マネジメント・プロジェクトの歴史はまだ浅い。UTCの場合も、1年ほどかけて目標を絞り、最近やっと導入に向けて動き出したばかりだ。メイヒュー氏は当初から、まずは基礎固めに専念し、徐々にシステムを構築していこうと決めていた。「最初に着手したのは、すでにUTCの社内で進められていたたくさんのプロジェクトから、ナレッジ・マネジメントの目標とマッチしそうな分野を探すことだった」とメイヒュー氏は語る。そこで、同グループは予備調査の結果をもとに、当面の対象をエンジニアリング分野(エンジニア)に絞ることにした。UTCのエンジニアは、ビジネス・ユニット間で知識を共有(移転)するために、1970年代にすでにユナイテッド・テクノロジー・エンジニアリング・コーディネーション・アクティビティーズ(UTECA)という、担当分野にとらわれない草の根組織を結成していた。

 UTECAは、人工知能やエンジニアリングなど18の分野ですでにそれなりの成果を挙げており、電子メールや実際の会話を介してお互いの情報を非公式にやり取りしていた。また、世界各国から1,500人のエンジニアが集まって、専門的な議題を話し合う年次会議も開催している。とはいえ、UTCの総従業員数と比較すれば、1,500人というのは微々たる人数に過ぎない。しかも、メイヒュー氏が目指すナレッジ・シェアリングは「1,000人単位でなく数万人単位」なのである。こうした状況を踏まえたうえで、彼女は、UTECAのテクノロジー・ディスカッション・プログラムをナレッジ・マネジメント・プロジェクトの第1ステップとして正式に立ち上げることを目指している(UTCにおいては、テクノロジーとは情報システムのことではなく、製品に採用する工学技術のことを指す)。

 「これまでのように、単に人が寄り集まって、何のテクノロジーを開発しているかを語り合うだけでは不十分だ。別のビジネス・ユニットと知識を共有するときは、ベスト・プラクティスをどうやって実行に移しているか、ある程度説得力をもって語れることも大事だ。そのためには、構造化してきちんと説明できなければならない」と、メイヒュー氏はUTECAをナレッジ・マネジメント・プロジェクトへと展開していくに際しての課題を指摘する。

取締役と中間管理職を巻き込んで
 そうした構造を作り上げるため、メイヒュー氏のグループは、UTCのテクノロジー担当上級副社長(つまり社内きってのエンジニア)、ジョン・キャシディ氏とともに、UTECAのナレッジ・シェアリング・プログラムを拡張して正式な手順にする作業に取り組んでいる。このグループは、全組織にわたってコミュニティを構築する方法を調査した結果、取締役と中間管理職の協力を取り付けることが不可欠だと結論づけた。そうすることで、組織内でもっと知識を身に付けたいという機運が高まり、プロジェクトに対する幅広い支持も得られるというのである。

 そもそも、専門家を最もよく知っているのは中間管理職である。「中間管理職と専門職とは接点も多く、ビジネス・プランに基づいてどの分野を学べばいいかといったことも、よく把握している」とメイヒュー氏。

 一方、UTCの各事業部を管轄している上級副社長は、事業部としてのナレッジ・マネジメント・プロジェクトへの協力(知識の貢献)を、それぞれの事業部のテクノロジー担当副社長に要請した。その結果プロジェクトにかかわることになった8人の副社長は、製品と顧客の双方にとって重要なコア・テクノロジーについて分析し、適切な専門家の選定に当たった。また、彼らはUTECAのメンバーと会合し、UTECAおよび他のビジネス・ユニットの中から有能なスタッフをピックアップしたうえで、1999年12月、メイヒュー、キャシディ両氏との会合の場で、さまざまなトピックや専門家について両氏に勧告した。現在、彼らはトピックの最終調整、ならびにターゲットとなる専門家の採用に尽力している。

 誰に何のナレッジ・シェアリングを担当させるかは副社長によって決められるものの、それをどのようにして進めるかは、メイヒュー氏のグループにゆだねられている。そして、すでに同グル-プは、「クラスはもう作ったし、これまで身に付けた標準的なベスト・プラクティスや教訓もすべてリストした」(メイヒュ -氏)と、基礎的な準備を終えた。

 ただ、メイヒュー氏は、情報テクノロジーがUTECAのナレッジ・シェアリング・プログラムにおいてどのような役割を果たすのか、まだ確信を持てないでいる。「まずは、多くのITアプリケーションが、これまで期待されたほどの成功を収められなかった理由を知ることが大切だ」

 同氏は、システムに対する発想を逆転させることで、それに対処したいとする。「アプリケーションを開発する際、まずアプリケーションを作って、あとはユーザーに使いこなすよう求めるというのが一般的だろう。だが、人々がふだんどんなふうに情報を共有しているのかを観察したうえで、その流れをサポートするシステムを構築すれば、もっと円滑にいくのではないかと思う」

 メイヒュー氏は、ナレッジ・マネジメント・プログラムはUTRCにとってぜひとも達成すべき目標だと考えている。プロジェクト・リーダーを務める彼女は、最後にこう語ってくれた。

 「有能な人たちが協力し合って、従業員がもっと幅広い知識を得られるようなカリキュラムを早急に作ることが必要だ」
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