SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
お歳暮はどうやって届くか~末端物流トラックの実態 2007/01/02
--------------------------------------------------------------------------------
年末のある日、配達トラックのドライバーが、コンビニ弁当を食べながら運転しているのを見かけた。さすがにY社やS社のような有名ブランド業者ではなかったが、我々はこうした配達サービスの恩恵を受けて暮らしている。こうした人々の労働実態はどうなっているだろうか。
昨年、神澤和敬記者により、主に長距離トラックドライバーの労働実態を聞き取り調査した記事が掲載された。
関連記事:
日本が広くなる?~高速を降りて下を走る運転手
トラック運ちゃん残酷物語:飲酒や覚せい剤の問題
これらの記事は主に長距離系の物流についての調査だが、それだけでは我々の暮らしを支える物流は成り立たず、末端系の物流が不可欠である。一般に前述のY社やS社のような有名ブランド業者が知られているが、さらにそれを下請けする「軽貨物運送自営業者」というシステムがある。当然ながら、有名ブランド業者よりも労働条件は良くない。この実態について、交通の研究者がドライバーと行動を共にして調査した実態報告(*)を紹介したい。夜も私室の押入れに泊めてもらって密着取材したという。
図1は、ある日の勤務パターンであるが、睡眠時間=4時間55分、出勤~退勤までの拘束時間=13時間44分という結果である。私自身も時折り要求してしまい気にしているが、「再配達」「再々配達」などというサービスが含まれる。サラリーマンでも、忙しければこの程度のパターンは普通だと考える人もいるかもしれないが、一瞬の緊張の緩みが人命にかかわる「運転」という仕事に対して、睡眠が5時間を切る状況は不安である。ただし長距離系のように徹夜運転がなく、かろうじて普通人の生活時間範囲に納まっている点はまだ良いかもしれない。
さらに大変なのは、図2に示す月間休日の実態である。いわゆるお中元の時期7月には休日ゼロ、お歳暮シーズンの12月には休日1日である。年間を平均しても5.3日/月であった。図1のパターンでも、1週間や2週間なら何とか緊張を保つことができるかもしれないが、これが月間休日ゼロとなるとどうだろうか。勤務実態の他に、収入・社会保険・健康管理など多くの問題もあるが、紙面の制約があるので、引用した報告を参照していただきたい。
折りしも2006年末に法務省は、交通事故に関して、飲酒などを対象にした危険運転罪に加えて、脇見運転、速度超過など「ドライバーに重い過失」がある人身事故についても重罰化の法改正をする方針を発表した。そもそも、処罰によって過失を防止することはできないという安全工学上の常識を無視した、お座なりの対策にすぎないが、末端の物流を、過酷な労働環境で支えるドライバーにも「重罰」を適用するつもりなのか。そして我々は、サービスを受ける側としてこれを見過ごして良いのだろうか。
(*)川村雅則「軽貨物運送自営業者の就業・生活・安全衛生」『交通権』No.20,p.80, 2003年。
--------------------------------------------------------------------------------
年末のある日、配達トラックのドライバーが、コンビニ弁当を食べながら運転しているのを見かけた。さすがにY社やS社のような有名ブランド業者ではなかったが、我々はこうした配達サービスの恩恵を受けて暮らしている。こうした人々の労働実態はどうなっているだろうか。
昨年、神澤和敬記者により、主に長距離トラックドライバーの労働実態を聞き取り調査した記事が掲載された。
関連記事:
日本が広くなる?~高速を降りて下を走る運転手
トラック運ちゃん残酷物語:飲酒や覚せい剤の問題
これらの記事は主に長距離系の物流についての調査だが、それだけでは我々の暮らしを支える物流は成り立たず、末端系の物流が不可欠である。一般に前述のY社やS社のような有名ブランド業者が知られているが、さらにそれを下請けする「軽貨物運送自営業者」というシステムがある。当然ながら、有名ブランド業者よりも労働条件は良くない。この実態について、交通の研究者がドライバーと行動を共にして調査した実態報告(*)を紹介したい。夜も私室の押入れに泊めてもらって密着取材したという。
図1は、ある日の勤務パターンであるが、睡眠時間=4時間55分、出勤~退勤までの拘束時間=13時間44分という結果である。私自身も時折り要求してしまい気にしているが、「再配達」「再々配達」などというサービスが含まれる。サラリーマンでも、忙しければこの程度のパターンは普通だと考える人もいるかもしれないが、一瞬の緊張の緩みが人命にかかわる「運転」という仕事に対して、睡眠が5時間を切る状況は不安である。ただし長距離系のように徹夜運転がなく、かろうじて普通人の生活時間範囲に納まっている点はまだ良いかもしれない。
さらに大変なのは、図2に示す月間休日の実態である。いわゆるお中元の時期7月には休日ゼロ、お歳暮シーズンの12月には休日1日である。年間を平均しても5.3日/月であった。図1のパターンでも、1週間や2週間なら何とか緊張を保つことができるかもしれないが、これが月間休日ゼロとなるとどうだろうか。勤務実態の他に、収入・社会保険・健康管理など多くの問題もあるが、紙面の制約があるので、引用した報告を参照していただきたい。
折りしも2006年末に法務省は、交通事故に関して、飲酒などを対象にした危険運転罪に加えて、脇見運転、速度超過など「ドライバーに重い過失」がある人身事故についても重罰化の法改正をする方針を発表した。そもそも、処罰によって過失を防止することはできないという安全工学上の常識を無視した、お座なりの対策にすぎないが、末端の物流を、過酷な労働環境で支えるドライバーにも「重罰」を適用するつもりなのか。そして我々は、サービスを受ける側としてこれを見過ごして良いのだろうか。
(*)川村雅則「軽貨物運送自営業者の就業・生活・安全衛生」『交通権』No.20,p.80, 2003年。
PR
この記事にコメントする