SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
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『ザ・ゴール』の著者ゴールドラット博士に聞く
トヨタのオペレーションは尊敬すべきものだが、マネジメントはベストと言えない
トヨタ生産方式 TOC バイアブルビジョン
TOC(制約条件の理論)の創始者であり、ベストセラーとなったビジネス書『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者としても知られるエリヤフ・ゴールドラット博士が来日し、日経情報ストラテジーのインタビューに答えた。
ゴールドラット博士が来日した目的は、生産管理のDBR(ドラム・バッファー・ロープ)、プロジェクト管理のCCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)などに続くTOCの応用分野の1つである営業強化手法「バイアブルビジョン」について講演するためである。
バイアブルビジョンとは、営業部門と製造部門が市場での競争優位を確立するための全体最適のフレームワーク。営業部門は顧客の抱える問題を思考プロセスを用いて分析し、顧客の利益を伸ばすための制約条件を把握する。一方、製造部門はDBRやCCPMなどを駆使しつつ製品開発や生産業務を改革して、顧客を満足させるような提案を目指すものとなっている。
従来のTOCは、製造や調達・物流部門など特定部門のための全体最適手法ととらえられがちだったのに対して今回のフレームワークは、より戦略的に事業全般の全体最適化を図る仕組みとなっている。同氏は講演の中で、バイアブルビジョンを実践中の事例としてサムソナイト欧州部門や日立ツールなどの事例を紹介した。
――日本の製造現場は、トヨタ自動車に倣って、トヨタ生産方式を取り入れる企業が多い。日本を深く研究してきた博士はどのように考えているのか。
(トヨタ生産方式の生みの親でもある)故・大野耐一氏とも数時間にわたって議論したこともあり、私は非常に尊敬している。JIT(ジャスト・イン・タイム)はトヨタ自動車にとっては、ベストな手法だと思う。それはトヨタ自身が自社のために開発して取り組んできたものだからだ。オペレーション(業務遂行)のカテゴリーでは世界でもベストな事例であることは疑いのない事実だろう。他社がまねしたいと考えるのも理解できる。
だが、トヨタ自身も組織マネジメントの全体最適化ができているとは思っていないのではないか。私の目から見てもマネジメントには改革の余地がある。例えば、トヨタは新しいデザインの自動車を開発して市場に出すことにかけては世界一と言えるだろうか。
実際、『ザ・ゴール』を日本で発売する5年前に、当時の社長だった張富士夫氏(現会長)と議論する機会があった。その際にも張社長は、「部分最適となっている組織が一番の問題だ」と語り、私の本を部長に読ませたいと語っていた。会社全般を全体最適化するための解決手法をトヨタも探し求めているはずだ。
「あうんの呼吸」にもロジックは存在する
――日本には「あうんの呼吸」に代表されるように経営陣と現場との間で情緒や信頼感をベースにした一体感を大事にする文化がある。こうした文化を重視する組織において、営業部門と製造部門が論理的思考をベースに全体最適を検討するバイアブルビジョンの考え方を浸透させるのは難しくはないか。
私は「あうんの呼吸」といった情緒的なコミュニケーションにもロジックが必ず存在すると考えている。情緒的だから言葉にできないコミュニケーションがあるという見方は誤りだ。それは「バーバライズロジック(ロジックをきちんと言葉で表現する)」の努力を欠いている状態で、本質的なことを自分自身で理解できていないだけだ。うまく言葉で説明できないままコミュニケーションをすればするほど周囲に混乱を与えることになるだろう。
言葉で表現できれば、教えることも進化させられる。TOCでは、まずDBRで適正なオペレーションは何かを言葉で表した。バイアブルビジョンは全体最適とはどういうものかを言葉にするフレームワークだとも言える。会社全体を言葉で表現する姿勢をいかに徹底できるかに、バイアブルビジョンの実践がかかっていると言えよう。
――講演の中で、マレーシアでは学校が子供たちにTOCを教えていると紹介していたが、日本でもそのように普及させたいと考えているか。
是非やりたい。無料で教材を提供する考えがある。学校側から「TOCを当校で教えたい」と申請があれば直ちに無償で提供する。
――今後の考えを教えてほしい。
TOCを導入するのが最も難しいのは営業部門だ。TOCを理解してもらうにはシミュレーションによるロールプレイングが最も効果的だと思う。このプログラムは既に開発してテストもしている。まだ時間がかかるので時期は言えないが、いずれ営業部門向けに本や教材として出すことを考えている。
トヨタのオペレーションは尊敬すべきものだが、マネジメントはベストと言えない
トヨタ生産方式 TOC バイアブルビジョン
TOC(制約条件の理論)の創始者であり、ベストセラーとなったビジネス書『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者としても知られるエリヤフ・ゴールドラット博士が来日し、日経情報ストラテジーのインタビューに答えた。
ゴールドラット博士が来日した目的は、生産管理のDBR(ドラム・バッファー・ロープ)、プロジェクト管理のCCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)などに続くTOCの応用分野の1つである営業強化手法「バイアブルビジョン」について講演するためである。
バイアブルビジョンとは、営業部門と製造部門が市場での競争優位を確立するための全体最適のフレームワーク。営業部門は顧客の抱える問題を思考プロセスを用いて分析し、顧客の利益を伸ばすための制約条件を把握する。一方、製造部門はDBRやCCPMなどを駆使しつつ製品開発や生産業務を改革して、顧客を満足させるような提案を目指すものとなっている。
従来のTOCは、製造や調達・物流部門など特定部門のための全体最適手法ととらえられがちだったのに対して今回のフレームワークは、より戦略的に事業全般の全体最適化を図る仕組みとなっている。同氏は講演の中で、バイアブルビジョンを実践中の事例としてサムソナイト欧州部門や日立ツールなどの事例を紹介した。
――日本の製造現場は、トヨタ自動車に倣って、トヨタ生産方式を取り入れる企業が多い。日本を深く研究してきた博士はどのように考えているのか。
(トヨタ生産方式の生みの親でもある)故・大野耐一氏とも数時間にわたって議論したこともあり、私は非常に尊敬している。JIT(ジャスト・イン・タイム)はトヨタ自動車にとっては、ベストな手法だと思う。それはトヨタ自身が自社のために開発して取り組んできたものだからだ。オペレーション(業務遂行)のカテゴリーでは世界でもベストな事例であることは疑いのない事実だろう。他社がまねしたいと考えるのも理解できる。
だが、トヨタ自身も組織マネジメントの全体最適化ができているとは思っていないのではないか。私の目から見てもマネジメントには改革の余地がある。例えば、トヨタは新しいデザインの自動車を開発して市場に出すことにかけては世界一と言えるだろうか。
実際、『ザ・ゴール』を日本で発売する5年前に、当時の社長だった張富士夫氏(現会長)と議論する機会があった。その際にも張社長は、「部分最適となっている組織が一番の問題だ」と語り、私の本を部長に読ませたいと語っていた。会社全般を全体最適化するための解決手法をトヨタも探し求めているはずだ。
「あうんの呼吸」にもロジックは存在する
――日本には「あうんの呼吸」に代表されるように経営陣と現場との間で情緒や信頼感をベースにした一体感を大事にする文化がある。こうした文化を重視する組織において、営業部門と製造部門が論理的思考をベースに全体最適を検討するバイアブルビジョンの考え方を浸透させるのは難しくはないか。
私は「あうんの呼吸」といった情緒的なコミュニケーションにもロジックが必ず存在すると考えている。情緒的だから言葉にできないコミュニケーションがあるという見方は誤りだ。それは「バーバライズロジック(ロジックをきちんと言葉で表現する)」の努力を欠いている状態で、本質的なことを自分自身で理解できていないだけだ。うまく言葉で説明できないままコミュニケーションをすればするほど周囲に混乱を与えることになるだろう。
言葉で表現できれば、教えることも進化させられる。TOCでは、まずDBRで適正なオペレーションは何かを言葉で表した。バイアブルビジョンは全体最適とはどういうものかを言葉にするフレームワークだとも言える。会社全体を言葉で表現する姿勢をいかに徹底できるかに、バイアブルビジョンの実践がかかっていると言えよう。
――講演の中で、マレーシアでは学校が子供たちにTOCを教えていると紹介していたが、日本でもそのように普及させたいと考えているか。
是非やりたい。無料で教材を提供する考えがある。学校側から「TOCを当校で教えたい」と申請があれば直ちに無償で提供する。
――今後の考えを教えてほしい。
TOCを導入するのが最も難しいのは営業部門だ。TOCを理解してもらうにはシミュレーションによるロールプレイングが最も効果的だと思う。このプログラムは既に開発してテストもしている。まだ時間がかかるので時期は言えないが、いずれ営業部門向けに本や教材として出すことを考えている。
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