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次世代へ進化するカギは「統合」と「基盤」
注意すべきは,すべてのプロセスが改革されていく一方で,プロセスを結び付ける動きも進行していることだ。プロセスの融合,インテグレーション(統合)が進んでいる。これはCEO(最高経営責任者)にとってきわめて重要かつ困難な問題である。企業の基本的な構成やガバナンス(統治)・モデルはこの課題に直面している。
従来,多くの企業では,これらのビジネス・プロセスのすべてが互いに独立していた。しかし,スピード,サイクル・タイムの改善,お客様への迅速な対応といったe-businessの真の利益を得るために,これらの社内プロセスおよびアプリケーションを統合しなければならない。統合なくして,お客様のデータ,価格情報,在庫量といった,e-businessの血液は企業全体を循環できない。
完全に統合された企業への進化
統合の技術自体は比較的簡単と言える。統合を実現するミドルウェアは現在手に入る。より難しいのは,経営トップが,「当社の経営の仕組みと組織体制を再編成する」とコミットすることだ。経営者である私は,「改革へのコミットは困難な仕事である」と保証できる。
したがって,次世代e-businessに対するCEOをはじめとする経営陣の目標は,電子商取引から次の段階へ行くことだ。次の目標とは,完全に統合された企業,すなわち完全に実現されたe-businessである。
統合されたe-businessの一例を紹介する。家庭電器製品の販売を手がけるウィールプール(Whirlpool)社の事例である。同社は,45もあったさまざまなフルフィルメントおよび財務のプロセスとシステムを統廃合し,社内の仕事の多くをe-business対応にした。
さらに,サプライ・チェーンのためのポータル・サイトを構築,これを使って,取引先,販売業者,流通業者,と同社のバック・オフィス業務を結び付けた。そして同社の顧客である消費者が同じポータル・サイトにアクセスできるようにし,消費者がサイトから小さな機器や付属品を注文できるようにした。
最後に,同社が扱う冷蔵庫,洗濯機,乾燥機に小さなインテリジェンスを持たせ,Webと接続できる機能を取り付けた。一連の製品の第1号は2001年に市場に投入される。これこそ,統合されたe-business,すなわちエンド・トゥ・エンドであり,すべてのリレーションが統合されている状態と言える。
エンド・トゥ・エンドのビジネス・モデルは,「権力分散は善,集中化は悪」という現在花盛りの組織論のお題目を真っ向から攻撃するものだ。私はここで断言しておく。「ネットワークの世界では,完全な分散モードで業務を遂行することは絶対にできない」。ネットワークは統合のための媒体である。この数十年間において,ほとんどの組織が分散化へまい進した結果,業務プロセスは分断され,情報は拡散してしまった。ネットワークこそが,プロセスと情報の統合を可能にする。
次世代e-businessのカギ(2):インフラストラクチャ(基盤)
次世代e-businessの第2のカギは,インフラストラクチャ(基盤)である。e-businessのワークロードは,トランザクション・サーバー上で,Webサーバー上で,ミドルウェア上で,ストレージ機器上で,管理し,処理されるようになる。パソコンでは処理しきれない。
興味深いことに,ワークロードはネットワークそのものの中で管理できるようになる。つまり,トランザクションが発生するエンドユーザーと,従来のデータセンター内のすべての機器との間,そのどこかで処理される。
ただし,e-businessのインフラストラクチャがどういう形になるのかについて,どう構築すべきかについて,またその要件は何かについて,業界全体の意見が一致しているわけではない。以下では私が非常に重要と思うe-businessインフラストラクチャの二つの面について触れる。
エンド・トゥ・エンドが重要
第一に,e-businessのインフラストラクチャは,「エンド・トゥ・エンド」であるべきだ。今まで,「エンド・トゥ・エンド・コンピューティング」というと,同一企業内で,一端にデスクトップ機器があり,他端にサーバーがあることを意味していた。
しかし,これからおとずれる次世代e-businessの世界では,「エンド・トゥ・エンド」の範囲が飛躍的に広がる。一方には,あらゆるサプライヤ,あらゆる販売・流通業者,規制当局(認可機関,税務当局)がある。これらはすべてファイアウオールの外側にある。他方では爆発的な勢いでネットワークに接続できる機器が普及していく。
2003年までにパソコンの出荷台数は7億台になろう。しかし,パソコンの台数は,他のネットワーク接続機器,例えばPDA(携帯情報端末),インターネット対応の携帯電話,ゲーム機に比べるとたいしたことはない。今後数年以内にネットワーク接続機器の台数は10億台になり,モバイル式の電子商取引は2003年までに1000億ドル規模の市場になるだろう。
いわゆる「パーベイシブ(浸透する)e-business」は以上のような新しい種類のエンド・ユーザー・アクセス機器の統合で終わるわけではない。さらに,1兆台以上のネットワーク型の「もの(things)」が登場する。コンピュータとしてはこれまで考えることのなかった「もの」である。これらは,多少のコンピュータ機能と,多少のストレージ機能を備える。
パーベイシブの世界は,すでに始まっている。ペースメーカーや自動車もインターネット・アドレスを持つようになる。これらすべてが私たちにとって,「エンド・トゥ・エンドのインフラストラクチャ」となる。
スタンダードの順守は必須
e-businessのインフラストラクチャで重要となる第2の点は「スタンダード(標準)」である。「エンド・トゥ・エンド」が真に意味することを理解すれば,標準に基づくコンピューティングの必要性はすぐにわかる。インフラストラクチャはオープンで,業界横断的な標準に基づくものでなければならない。これにより,あらゆる場所にいる数百万の人や,あらゆる位置にある数百万の企業と接続でき,あらゆる種類の何十億という機器を接続できる。
だからこそ,オープンな標準を巡る闘いは,闘う価値がある。それがIBMの将来の大きな部分をLinuxにかける理由である。インターネットがネットワーキングや通信に対して果たしてきた役割を,Linuxがビジネス・アプリケーションに対して果たすことができる,と私は確信している。
今後数年,Linuxの出荷の伸びは他のいかなるサーバーのOSをも上回ると予想されている。LinuxはWindows NTの2倍のペースで伸び,ある調査によれば,2004年までに普及率でもNTを上回る,という推計がある。
これはすべてのサーバー・メーカーにとって大問題である。今から3~4年後に独自のUNIXやOSを持つ企業が業界で意義ある位置を保っているかどうかを予想するのは面白い。まだ先のことであろうが,サン・マイクロシステムズ,EMC,マイクロソフトといった企業がプロプライエタリな製品を持つ最後の大手ベンダーとなる,と私は見ている。
注意すべきは,すべてのプロセスが改革されていく一方で,プロセスを結び付ける動きも進行していることだ。プロセスの融合,インテグレーション(統合)が進んでいる。これはCEO(最高経営責任者)にとってきわめて重要かつ困難な問題である。企業の基本的な構成やガバナンス(統治)・モデルはこの課題に直面している。
従来,多くの企業では,これらのビジネス・プロセスのすべてが互いに独立していた。しかし,スピード,サイクル・タイムの改善,お客様への迅速な対応といったe-businessの真の利益を得るために,これらの社内プロセスおよびアプリケーションを統合しなければならない。統合なくして,お客様のデータ,価格情報,在庫量といった,e-businessの血液は企業全体を循環できない。
完全に統合された企業への進化
統合の技術自体は比較的簡単と言える。統合を実現するミドルウェアは現在手に入る。より難しいのは,経営トップが,「当社の経営の仕組みと組織体制を再編成する」とコミットすることだ。経営者である私は,「改革へのコミットは困難な仕事である」と保証できる。
したがって,次世代e-businessに対するCEOをはじめとする経営陣の目標は,電子商取引から次の段階へ行くことだ。次の目標とは,完全に統合された企業,すなわち完全に実現されたe-businessである。
統合されたe-businessの一例を紹介する。家庭電器製品の販売を手がけるウィールプール(Whirlpool)社の事例である。同社は,45もあったさまざまなフルフィルメントおよび財務のプロセスとシステムを統廃合し,社内の仕事の多くをe-business対応にした。
さらに,サプライ・チェーンのためのポータル・サイトを構築,これを使って,取引先,販売業者,流通業者,と同社のバック・オフィス業務を結び付けた。そして同社の顧客である消費者が同じポータル・サイトにアクセスできるようにし,消費者がサイトから小さな機器や付属品を注文できるようにした。
最後に,同社が扱う冷蔵庫,洗濯機,乾燥機に小さなインテリジェンスを持たせ,Webと接続できる機能を取り付けた。一連の製品の第1号は2001年に市場に投入される。これこそ,統合されたe-business,すなわちエンド・トゥ・エンドであり,すべてのリレーションが統合されている状態と言える。
エンド・トゥ・エンドのビジネス・モデルは,「権力分散は善,集中化は悪」という現在花盛りの組織論のお題目を真っ向から攻撃するものだ。私はここで断言しておく。「ネットワークの世界では,完全な分散モードで業務を遂行することは絶対にできない」。ネットワークは統合のための媒体である。この数十年間において,ほとんどの組織が分散化へまい進した結果,業務プロセスは分断され,情報は拡散してしまった。ネットワークこそが,プロセスと情報の統合を可能にする。
次世代e-businessのカギ(2):インフラストラクチャ(基盤)
次世代e-businessの第2のカギは,インフラストラクチャ(基盤)である。e-businessのワークロードは,トランザクション・サーバー上で,Webサーバー上で,ミドルウェア上で,ストレージ機器上で,管理し,処理されるようになる。パソコンでは処理しきれない。
興味深いことに,ワークロードはネットワークそのものの中で管理できるようになる。つまり,トランザクションが発生するエンドユーザーと,従来のデータセンター内のすべての機器との間,そのどこかで処理される。
ただし,e-businessのインフラストラクチャがどういう形になるのかについて,どう構築すべきかについて,またその要件は何かについて,業界全体の意見が一致しているわけではない。以下では私が非常に重要と思うe-businessインフラストラクチャの二つの面について触れる。
エンド・トゥ・エンドが重要
第一に,e-businessのインフラストラクチャは,「エンド・トゥ・エンド」であるべきだ。今まで,「エンド・トゥ・エンド・コンピューティング」というと,同一企業内で,一端にデスクトップ機器があり,他端にサーバーがあることを意味していた。
しかし,これからおとずれる次世代e-businessの世界では,「エンド・トゥ・エンド」の範囲が飛躍的に広がる。一方には,あらゆるサプライヤ,あらゆる販売・流通業者,規制当局(認可機関,税務当局)がある。これらはすべてファイアウオールの外側にある。他方では爆発的な勢いでネットワークに接続できる機器が普及していく。
2003年までにパソコンの出荷台数は7億台になろう。しかし,パソコンの台数は,他のネットワーク接続機器,例えばPDA(携帯情報端末),インターネット対応の携帯電話,ゲーム機に比べるとたいしたことはない。今後数年以内にネットワーク接続機器の台数は10億台になり,モバイル式の電子商取引は2003年までに1000億ドル規模の市場になるだろう。
いわゆる「パーベイシブ(浸透する)e-business」は以上のような新しい種類のエンド・ユーザー・アクセス機器の統合で終わるわけではない。さらに,1兆台以上のネットワーク型の「もの(things)」が登場する。コンピュータとしてはこれまで考えることのなかった「もの」である。これらは,多少のコンピュータ機能と,多少のストレージ機能を備える。
パーベイシブの世界は,すでに始まっている。ペースメーカーや自動車もインターネット・アドレスを持つようになる。これらすべてが私たちにとって,「エンド・トゥ・エンドのインフラストラクチャ」となる。
スタンダードの順守は必須
e-businessのインフラストラクチャで重要となる第2の点は「スタンダード(標準)」である。「エンド・トゥ・エンド」が真に意味することを理解すれば,標準に基づくコンピューティングの必要性はすぐにわかる。インフラストラクチャはオープンで,業界横断的な標準に基づくものでなければならない。これにより,あらゆる場所にいる数百万の人や,あらゆる位置にある数百万の企業と接続でき,あらゆる種類の何十億という機器を接続できる。
だからこそ,オープンな標準を巡る闘いは,闘う価値がある。それがIBMの将来の大きな部分をLinuxにかける理由である。インターネットがネットワーキングや通信に対して果たしてきた役割を,Linuxがビジネス・アプリケーションに対して果たすことができる,と私は確信している。
今後数年,Linuxの出荷の伸びは他のいかなるサーバーのOSをも上回ると予想されている。LinuxはWindows NTの2倍のペースで伸び,ある調査によれば,2004年までに普及率でもNTを上回る,という推計がある。
これはすべてのサーバー・メーカーにとって大問題である。今から3~4年後に独自のUNIXやOSを持つ企業が業界で意義ある位置を保っているかどうかを予想するのは面白い。まだ先のことであろうが,サン・マイクロシステムズ,EMC,マイクロソフトといった企業がプロプライエタリな製品を持つ最後の大手ベンダーとなる,と私は見ている。
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「e-business」は幻想だったのか
次世代へ進化するカギは「統合」と「基盤」
e-businessに関して,幻滅と懐疑の声が高まっている。しかし,一時の熱狂とその反動である幻滅を経て,e-businessはリアルなビジネスになりつつある。すなわち,ITを社会やビジネスのインフラストラクチャ(基盤)として持ち込み,業務プロセスをインテグレーション(統合)する動きである。ただし,自律性のある基盤作りと,プライバシ保護といった課題も残っている。
ルイス V. ガースナー
本記事は日経コンピュータの連載をほぼそのまま再掲したものです。初出から数年が経過しており現在とは状況が異なりますが、この記事で焦点を当てたITマネジメントの本質は今でも変わりません。
米国において2000年は,いわゆるドット・コム株が後退した年として,メディアや重役の確信が覆った年として,記憶されるだろう。我々はまた,電子的なマーケットプレイスに魅入られた。もっとも,マーケットプレイスの多くは依然としてプレス・リリースの中にしか存在していない。2000年12月に『ニューヨーク・タイムズ』は,「ニュー・エコノミーは本当に存在したのか」と疑問を投げかけた。
このように,多くのねじれや転換があり,富が作られ,失われた。これまでなら何年,何十年とかけて演じられてきたある種の大掛かりなビジネス・ドラマが,数カ月や数四半期に圧縮されて上演された。
そして今,IT産業に従事していない人々の多くが疑問を感じている。「失礼だが,e-businessは一時は金塊に見えたが,実はただの石ころだったのではないか」と。IT産業で仕事をしている一部の人でさえ,こう考え始めている。e-businessやインターネットは,製品を拡販したいIT業界と,部数を伸ばしたいメディアとの共謀だったのであろうか。
楽観論から幻滅,そして現実論へ
私は,「ネットワークが世界を変ぼうさせた偉大な技術として,電気や有人飛行と並び称されるようになる」といち早く語った者の一人だった。私は今,e-businessによって起こった出来事は,過去の革命的な技術によって起こったことと重なると考えている。
まず,すさまじい熱狂の期間があった。新技術が競争や経済の法則を書き替え,まったく新しい富を創造し,古い産業を一掃し,新しい産業を生み出す,という楽観論への陶酔である。続いて,フィーバは過ぎ去り,大きな幻滅が取って替わった。人々は目を覚ました。新しい産業や,根本的に新しいビジネス・ライフの形態などどこにも見えない。人々は「もう忘れよう」と言うようになる。
しかし,幻滅の段階を過ぎ去ると,世界は結局,社会やビジネスのインフラストラクチャ(基盤)や組織の中に技術を持ち込み,インテグレーション(統合)するという,極めて重要な仕事に本腰を入れて取り組むようになる。これがe-businessの今日の状況である。
熱狂する第1段階で,インターネットの将来について数々の混乱があった。たとえば,コンテンツに関する騒動である。「コンテンツが何より重要だ。自分のコンテンツを持たねばならない。コンテンツを手に入れるためにパートナ企業が必要だ」。なぜこのような大騒ぎになったのか。人々が,インターネットのことをオンライン・マガジンやスポーツ・ニュース,デジタル・アートだと思っていたからだ。
その後,最初の本格的なキラー・アプリケーションが登場した。消費者向けの電子商取引である。インターネットで書籍,食料品,航空チケット,玩具,ビデオ,ペットフードなど,何でも売る競争が始まった。だれもがインターネットの小売業に陶酔した後,我々は次の熱狂的な騒動へと進んだ。企業対企業の電子商取引である。
一連の熱狂の推進力となったのは,「ニュー・エコノミーを築くリーダーと見られたい」という切実な欲望だった。ニュー・エコノミーとは何か。e手形とかe通貨と呼ばれる新しい通貨の誕生。収入や利益のような古い尺度に換えて,Webサイトの見た目や集客力で企業の力を測るようになる。誠実なお客様や純粋なロイヤリティではなく,ヒット数,ページ・ビュー,ダウンロード回数という言葉を用いる。なんと素晴らしい世界! 本当にこう信じ込んだ人たちがいた。
インターネットはツールにすぎない
もはや,ほとんどの人々がビジネスの世界はそのように展開しないことを悟った。当初,あまりにも多くの人々がインターネットがテクノロジであり,ツールに過ぎないことを忘れてしまった。インターネットは確かにとても強力なツールである。しかし,製品を実際に見た上で買うかどうかを決めたい,買いたくなければ製品を返却したい,といった消費者の基本的な行動や願望はインターネットによって変わることはなかった。
多くのインターネット小売業者がまったく新しいビジネス・モデルを打ち出して台頭した。しかし,実はそれらは数世紀前のビジネス・モデル,すなわち低価格戦術に基づいており,利益を上げながら低価格を維持できるモデルではなかった。資金調達が簡単でなくなったとき,単純なインターネット小売業者の存続は難しくなった。
熱狂と幻滅を経て,今日のe-businessはまさに「リアル・ビジネス」になりつつある。本当のビジネスは真剣な仕事である。インターネット・ブームの後,株式公開の錬金術師たちが15分間程度いろいろやった後,我々は本当のビジネスを真剣にやるという厳しい段階を迎えた。私は我々が取り組む仕事を,「次世代e-business」と呼びたい。そして,次世代のe-businessにおいては,「インテグレーション(統合)」と「インフラストラクチャ(基盤)」がすべてのカギを握ると考えている。
次世代e-businessのカギ(1):インテグレーション(統合)
企業や団体,社会においては,さまざまなトランザクションがあり,リレーションがある。私はこれらすべての変革にネットワークがかかわってくることを非常に早い段階から確信していた。「すべて」であり,一つではない。単なる電子商取引だけであったなら,私はe-businessと命名した事業分野を育てるために10億ドルも投資しなかった。
では,どんなトランザクション,どんなリレーション(関係)が企業や団体にとって重要になっているのか。まず企業の表側に見える双方向な関係がある。企業とお客様との相互関係,企業と投資家や就職希望者との相互関係がある。関係がある者の間でトランザクションが発生する。
企業の裏側には,企業と市場や業界を結ぶ相互関係がある。こうしたサプライ・チェーン全体にわたって,トランザクション・データが飛び交う。さらに,きわめて重要な社内トランザクションもある。受注処理,フルフィルメント(オーダー履行),ロジスティックス,製造,社員向け業務などだ。
5年前,私は,「企業や個人間のプロセスとリレーションはネットワークによって変わる」と主張した。しかし,これまでのところ,たった一つのビジネス・プロセスが変わったのを目撃したにすぎない。企業と消費者の間の商取引である。
しかし,今や多くの企業は,Webサイトを通じた受注活動は,成功をもたらす新たな販売体制を完成するために必要なことの,ごくごく一部にすぎないと気付いた。そして,消費者からの注文を受け付ける電子商取引プロセスが,企業の残りのビジネス・プロセスすべてに対して,改革の連鎖反応を引き起こしている。すなわち,価格設定,在庫,ロジスティックス,信用,流通,すべてのサプライ・チェーン全体に関して改革が求められている。
e-businessのリーダーは,これらのコア・ビジネス・プロセスすべてにわたって,変革を進める必要があることを理解している。そして,サプライ・チェーン・マネジメント,電子購買,カスタマ・リレーションシップ・マネジメント,ナレッジ・マネジメントといった領域のアプリケーションに対して巨額の投資を推進している。
次世代へ進化するカギは「統合」と「基盤」
e-businessに関して,幻滅と懐疑の声が高まっている。しかし,一時の熱狂とその反動である幻滅を経て,e-businessはリアルなビジネスになりつつある。すなわち,ITを社会やビジネスのインフラストラクチャ(基盤)として持ち込み,業務プロセスをインテグレーション(統合)する動きである。ただし,自律性のある基盤作りと,プライバシ保護といった課題も残っている。
ルイス V. ガースナー
本記事は日経コンピュータの連載をほぼそのまま再掲したものです。初出から数年が経過しており現在とは状況が異なりますが、この記事で焦点を当てたITマネジメントの本質は今でも変わりません。
米国において2000年は,いわゆるドット・コム株が後退した年として,メディアや重役の確信が覆った年として,記憶されるだろう。我々はまた,電子的なマーケットプレイスに魅入られた。もっとも,マーケットプレイスの多くは依然としてプレス・リリースの中にしか存在していない。2000年12月に『ニューヨーク・タイムズ』は,「ニュー・エコノミーは本当に存在したのか」と疑問を投げかけた。
このように,多くのねじれや転換があり,富が作られ,失われた。これまでなら何年,何十年とかけて演じられてきたある種の大掛かりなビジネス・ドラマが,数カ月や数四半期に圧縮されて上演された。
そして今,IT産業に従事していない人々の多くが疑問を感じている。「失礼だが,e-businessは一時は金塊に見えたが,実はただの石ころだったのではないか」と。IT産業で仕事をしている一部の人でさえ,こう考え始めている。e-businessやインターネットは,製品を拡販したいIT業界と,部数を伸ばしたいメディアとの共謀だったのであろうか。
楽観論から幻滅,そして現実論へ
私は,「ネットワークが世界を変ぼうさせた偉大な技術として,電気や有人飛行と並び称されるようになる」といち早く語った者の一人だった。私は今,e-businessによって起こった出来事は,過去の革命的な技術によって起こったことと重なると考えている。
まず,すさまじい熱狂の期間があった。新技術が競争や経済の法則を書き替え,まったく新しい富を創造し,古い産業を一掃し,新しい産業を生み出す,という楽観論への陶酔である。続いて,フィーバは過ぎ去り,大きな幻滅が取って替わった。人々は目を覚ました。新しい産業や,根本的に新しいビジネス・ライフの形態などどこにも見えない。人々は「もう忘れよう」と言うようになる。
しかし,幻滅の段階を過ぎ去ると,世界は結局,社会やビジネスのインフラストラクチャ(基盤)や組織の中に技術を持ち込み,インテグレーション(統合)するという,極めて重要な仕事に本腰を入れて取り組むようになる。これがe-businessの今日の状況である。
熱狂する第1段階で,インターネットの将来について数々の混乱があった。たとえば,コンテンツに関する騒動である。「コンテンツが何より重要だ。自分のコンテンツを持たねばならない。コンテンツを手に入れるためにパートナ企業が必要だ」。なぜこのような大騒ぎになったのか。人々が,インターネットのことをオンライン・マガジンやスポーツ・ニュース,デジタル・アートだと思っていたからだ。
その後,最初の本格的なキラー・アプリケーションが登場した。消費者向けの電子商取引である。インターネットで書籍,食料品,航空チケット,玩具,ビデオ,ペットフードなど,何でも売る競争が始まった。だれもがインターネットの小売業に陶酔した後,我々は次の熱狂的な騒動へと進んだ。企業対企業の電子商取引である。
一連の熱狂の推進力となったのは,「ニュー・エコノミーを築くリーダーと見られたい」という切実な欲望だった。ニュー・エコノミーとは何か。e手形とかe通貨と呼ばれる新しい通貨の誕生。収入や利益のような古い尺度に換えて,Webサイトの見た目や集客力で企業の力を測るようになる。誠実なお客様や純粋なロイヤリティではなく,ヒット数,ページ・ビュー,ダウンロード回数という言葉を用いる。なんと素晴らしい世界! 本当にこう信じ込んだ人たちがいた。
インターネットはツールにすぎない
もはや,ほとんどの人々がビジネスの世界はそのように展開しないことを悟った。当初,あまりにも多くの人々がインターネットがテクノロジであり,ツールに過ぎないことを忘れてしまった。インターネットは確かにとても強力なツールである。しかし,製品を実際に見た上で買うかどうかを決めたい,買いたくなければ製品を返却したい,といった消費者の基本的な行動や願望はインターネットによって変わることはなかった。
多くのインターネット小売業者がまったく新しいビジネス・モデルを打ち出して台頭した。しかし,実はそれらは数世紀前のビジネス・モデル,すなわち低価格戦術に基づいており,利益を上げながら低価格を維持できるモデルではなかった。資金調達が簡単でなくなったとき,単純なインターネット小売業者の存続は難しくなった。
熱狂と幻滅を経て,今日のe-businessはまさに「リアル・ビジネス」になりつつある。本当のビジネスは真剣な仕事である。インターネット・ブームの後,株式公開の錬金術師たちが15分間程度いろいろやった後,我々は本当のビジネスを真剣にやるという厳しい段階を迎えた。私は我々が取り組む仕事を,「次世代e-business」と呼びたい。そして,次世代のe-businessにおいては,「インテグレーション(統合)」と「インフラストラクチャ(基盤)」がすべてのカギを握ると考えている。
次世代e-businessのカギ(1):インテグレーション(統合)
企業や団体,社会においては,さまざまなトランザクションがあり,リレーションがある。私はこれらすべての変革にネットワークがかかわってくることを非常に早い段階から確信していた。「すべて」であり,一つではない。単なる電子商取引だけであったなら,私はe-businessと命名した事業分野を育てるために10億ドルも投資しなかった。
では,どんなトランザクション,どんなリレーション(関係)が企業や団体にとって重要になっているのか。まず企業の表側に見える双方向な関係がある。企業とお客様との相互関係,企業と投資家や就職希望者との相互関係がある。関係がある者の間でトランザクションが発生する。
企業の裏側には,企業と市場や業界を結ぶ相互関係がある。こうしたサプライ・チェーン全体にわたって,トランザクション・データが飛び交う。さらに,きわめて重要な社内トランザクションもある。受注処理,フルフィルメント(オーダー履行),ロジスティックス,製造,社員向け業務などだ。
5年前,私は,「企業や個人間のプロセスとリレーションはネットワークによって変わる」と主張した。しかし,これまでのところ,たった一つのビジネス・プロセスが変わったのを目撃したにすぎない。企業と消費者の間の商取引である。
しかし,今や多くの企業は,Webサイトを通じた受注活動は,成功をもたらす新たな販売体制を完成するために必要なことの,ごくごく一部にすぎないと気付いた。そして,消費者からの注文を受け付ける電子商取引プロセスが,企業の残りのビジネス・プロセスすべてに対して,改革の連鎖反応を引き起こしている。すなわち,価格設定,在庫,ロジスティックス,信用,流通,すべてのサプライ・チェーン全体に関して改革が求められている。
e-businessのリーダーは,これらのコア・ビジネス・プロセスすべてにわたって,変革を進める必要があることを理解している。そして,サプライ・チェーン・マネジメント,電子購買,カスタマ・リレーションシップ・マネジメント,ナレッジ・マネジメントといった領域のアプリケーションに対して巨額の投資を推進している。
印の「産業大動脈構想」始動 25日に次官級協議
日系企業進出後押し
FujiSankei Business i. 2007/5/21 TrackBack( 1 )
建設ラッシュが続くムンバイ市内。インド政府は大動脈構想で雇用拡大や輸出拡大に期待をかけている(ブルームバーグ)
インドのデリーと最大都市ムンバイ間の1483キロに産業を集積させ、インフラを整備する「産業大動脈構想」が実現に向け動き出した。同国は年内に官民合同の運営会社と特別目的会社(SPC)を設立する考えで、日本側にも協力を打診している。25日には同構想をたたき台として、日印両国の第1回の次官級協議が東京で開催されるほか、7月には甘利明経済産業相が訪印し、協調関係について話し合う計画だ。
同構想は、日本の円借款によって建設するデリー・ムンバイ間の貨物鉄道新設を軸に、港湾や空港などを一体的に整備すると同時に、工業団地への企業誘致によって産業集積を進める広域開発プロジェクト。1960年代の日本の太平洋ベルト構想(東京-大阪間)に見たてている。州政府の力が大きいインドでは、州を越える初の総合開発となる。
現地のビジネス紙「ビジネス・スタンダード」などによると、カマル・ナート商工相は、総事業費を「2008年から15年までの8年間で、総額450億~500億ドル(5・4兆~6兆円)」と試算。5年以内に該当する地域の雇用を2倍に、工業生産量を3倍に、輸出量を4倍に増やすシナリオを描いている。
具体的には、輸出基地となる3つの新港や空港、10カ所程度の物流基地、技術者などの人材育成センター、農業振興のための農産品加工区、冷蔵物流などを整備するほか、発電所の増設も計画にあがっている。
インド側は年内にも6つの地方自治体が参加する官民合同の運営会社を設立。プロジェクトごとにSPCを設立する構想で、日本側に参加を呼びかけている。
日本側もすでに、自動車部品や家電メーカーなどがこの地域に進出を検討しているほか、三菱商事、三井物産など大手商社や日本郵船グループなど海運会社が保税倉庫や物流サービスなどで同構想への参加を検討している。
25日の次官級協議では、インド側の提案を協議するほか、日本側の要望も伝える。また、甘利経産相に続き、8月末にも安倍晋三首相に同行する形で、御手洗冨士夫・日本経団連会長を団長にした経団連ミッションが訪印し、具体的な民間の協力態勢を協議する。日本政府としては、日系企業の同国進出を後押しし、中東、北アフリカ、欧州向けの輸出拠点に育成したい考えもある。
インドへの直接投資は、欧米企業などが2けたで伸びているのに対し、日本企業による新規投資は伸び悩んでおり、国別の投資額では06年は6位にとどまった。その理由としてインフラ未整備をあげる企業が圧倒的に多い。
日本ン関係者は、今回の大動脈構想により「産業集積とインフラ整備を進め、インド財閥とのビジネスの橋渡しなどを通じて日系企業の進出を後押ししたい」(松島大輔・日本貿易振興機構ニューデリーセンター次長)としている。
日系企業進出後押し
FujiSankei Business i. 2007/5/21 TrackBack( 1 )
建設ラッシュが続くムンバイ市内。インド政府は大動脈構想で雇用拡大や輸出拡大に期待をかけている(ブルームバーグ)
インドのデリーと最大都市ムンバイ間の1483キロに産業を集積させ、インフラを整備する「産業大動脈構想」が実現に向け動き出した。同国は年内に官民合同の運営会社と特別目的会社(SPC)を設立する考えで、日本側にも協力を打診している。25日には同構想をたたき台として、日印両国の第1回の次官級協議が東京で開催されるほか、7月には甘利明経済産業相が訪印し、協調関係について話し合う計画だ。
同構想は、日本の円借款によって建設するデリー・ムンバイ間の貨物鉄道新設を軸に、港湾や空港などを一体的に整備すると同時に、工業団地への企業誘致によって産業集積を進める広域開発プロジェクト。1960年代の日本の太平洋ベルト構想(東京-大阪間)に見たてている。州政府の力が大きいインドでは、州を越える初の総合開発となる。
現地のビジネス紙「ビジネス・スタンダード」などによると、カマル・ナート商工相は、総事業費を「2008年から15年までの8年間で、総額450億~500億ドル(5・4兆~6兆円)」と試算。5年以内に該当する地域の雇用を2倍に、工業生産量を3倍に、輸出量を4倍に増やすシナリオを描いている。
具体的には、輸出基地となる3つの新港や空港、10カ所程度の物流基地、技術者などの人材育成センター、農業振興のための農産品加工区、冷蔵物流などを整備するほか、発電所の増設も計画にあがっている。
インド側は年内にも6つの地方自治体が参加する官民合同の運営会社を設立。プロジェクトごとにSPCを設立する構想で、日本側に参加を呼びかけている。
日本側もすでに、自動車部品や家電メーカーなどがこの地域に進出を検討しているほか、三菱商事、三井物産など大手商社や日本郵船グループなど海運会社が保税倉庫や物流サービスなどで同構想への参加を検討している。
25日の次官級協議では、インド側の提案を協議するほか、日本側の要望も伝える。また、甘利経産相に続き、8月末にも安倍晋三首相に同行する形で、御手洗冨士夫・日本経団連会長を団長にした経団連ミッションが訪印し、具体的な民間の協力態勢を協議する。日本政府としては、日系企業の同国進出を後押しし、中東、北アフリカ、欧州向けの輸出拠点に育成したい考えもある。
インドへの直接投資は、欧米企業などが2けたで伸びているのに対し、日本企業による新規投資は伸び悩んでおり、国別の投資額では06年は6位にとどまった。その理由としてインフラ未整備をあげる企業が圧倒的に多い。
日本ン関係者は、今回の大動脈構想により「産業集積とインフラ整備を進め、インド財閥とのビジネスの橋渡しなどを通じて日系企業の進出を後押ししたい」(松島大輔・日本貿易振興機構ニューデリーセンター次長)としている。