忍者ブログ
SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。 SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ヤマハ発動機株式会社
グローバル事業戦略を支える部門ポータルの活用



掲載日 2004年02月05日

ヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ発動機)は、昭和30年(1955年)にヤマハ株式会社(旧日本楽器)から分離独立した会社で、モーターサイクルや、マリンワールド関係の製品などの製造・販売を中心に事業を展開しています。製品は、世界の隅々にまで輸出されているばかりでなく、海外45カ国・60工場でヤマハ・ブランドの製品が生み出されています。

1997年後半に始まったアジア経済危機は、ヤマハ発動機の海外生産体制に大きなインパクトを与えました。各海外工場は、為替の大幅な変動に対処するために、日本を経由しない全世界への輸出(クロストレード=CT)を急速に拡大していきました。また、この時期はインターネットの急速な普及など、IT技術面でも大きな革新が進んでおり、海外生産体制の変化と複合して、ビジネスに大きな影響を与え始めました。同社では、このような環境変化に対応するため、「ITガバナンス強化」の戦略を打ち出し、ITガバナンスを同社独自の定義で「現地会社の環境を考慮しつつ、『標準化・統合化・均質化』を戦略的なステップで進める」と定めて、各種の戦略展開を実行しています。



お客様ニーズ ソリューション 導入効果

将来の展望 お客様の声 お客様情報

用語の説明 製品・技術情報

お客様ニーズ




ITセンター
センター長 大江 一義 氏


人間系情報の共有化

ヤマハ発動機では、十数年の歳月を費やして、「部品事業長期戦略SCM@100」を推進してきました。これは、同社のグローバルビジネス変革への対応戦略の一環であり、世界6極の地域センターを核としたグローバルサプライチェーン構築を目的としたものです。

部品事業とは、ヤマハ発動機グループで生産される本体製品に対する補修部品とウェア、ヘルメット、オイルなどの用品を指します。部品事業部は、これらの部品と用品を束ねて全世界に供給・販売する、また全世界から調達することをビジネスにしています。その部品事業を対象とした“SCM@100”の狙いは、全世界を6つの地域に分けたエリアマネジメント体制を整備し、さまざまな形で造られる製品(部品・用品)をいかに素早くマーケットに供給し全世界連結在庫を削減するか、全体の物流プロセスをさまざまな手法・システムを使っていかにカットしコスト・ダウンにつなげていくか、ということでした。しかしその改革を全世界でスムーズに運営していくためには、基幹システムだけでは不十分だったと、同社、ITセンター長の大江一義氏(大江氏)は言います。

「例えば『今後は基幹システムで全世界の在庫管理をすることになった』と言えば、ヨーロッパの現地社員は『ヨーロッパのデマンド情報や販売状況が分からないのに、なぜ日本人がその在庫を管理できるのか』と言うわけです。この“SCM@100”を効率的に実行していく以前の段階で、まず彼らを説得するのに非常に苦労しました。こうしたことを通じて、マーケット情報の共有化を目指すには、それを担う人間の情報も共有しなければならないのだと気付きました」(大江氏)

そのためには機械的な構築、サポートだけでなく人的な交流も持てる共有化ツールが必要となります。そこで同社ではIBMのWebSphere®を採用し、ポータルの最適化を目指し、“Parts Web Information Navigator”(p-WiN)部門ポータルを構築することになったのです。


上に戻る


ソリューション

情報共通化ツール“p-WiN”の導入

さまざまな事業が実行されている中で、“p-WiN”は事業戦略をサポートする「人間系情報共有化ツール」として位置付けられました。“p-WiN”が全世界の部品事業部門で活用されるまでには、4つのステップをたどってきたと言います。

1つ目は「調査・コンセプト立案」、2つ目は「導入」、3つ目は「定着」、そして4つ目は「戦略的活用」です。

図:p-WiNの戦略的活用(クリックで拡大)



最初の段階で、最低限満足させたいポイントを整理した結果、使用者に別の仕組みであることを感じさせず、使用者ごとのルートアクセスに応じて情報提供できること。基幹系業務システムのリリースに合わせて、ポータルもリリースできること。社内の情報共有とメールにLotus Notes®を使用しているため、それと連携しやすいこと――がポイントに挙げられました。

ヤマハ発動機では、EIP(Enterprise Information Portal:企業情報ポータル)ツールとして3商品を比較検討した結果、IBMのWebSphere Portal Serverなら、すべての課題をクリアできるということと、すでにWebSphere Application Serverを導入済みということから採用することになったと言います。しかしいざ導入してみると、「階層が多くて操作が面倒」、「魅力的なコンテンツがない」、「情報共有の必要性は感じない」などの不満が寄せられ、ユーザーの理解や協力が得られず、一時“p-WiN”は消滅の危機にまで陥ったこともありました。

図:ポータルツール検討(クリックで拡大)



そこで、導入後の問題点を改善し、定着させるため、更なる改良が求められたのです。まずは操作性を向上させるため、ポートレットの配置替えをしたり、階層を圧縮したり、シングル操作を増やしました。次に、ログイン前にもかなりの情報を表示した上で、価値のある情報を毎日更新していきました。


上に戻る


導入効果

“p-WiN”からすべての業務がスタートする

「現在は朝、自分のデスクから“p-WiN”を立ち上げて1日の業務が始まります」と話す部品事業部 事業企画室 事業企画グループ 主事の高橋氏は、 ログインを済ませるとLotus Notesの受信BOXを取り込み、“What's new”で全世界の部品拠点から上がってくるさまざまなニュースに目を通す、と言います。世界を結ぶ在庫管理センターである基幹システムへもシングル・サインオンが可能なため、すぐに世界の在庫情報や最新の事業戦略、グローバル・マーケティングなどの情報が入手できるようになりました。また、部品事業部のマネージャーのメッセージが掲載され、リアルタイムで全世界へ政策浸透が図られています。さらにp-WiNには、これまでのさまざまな改革で得られたオフィス業務のノウハウすべてがマニュアルとして可視化され共有されています。社内共通の人事システムへも直接アクセスできるため、社内の人事情報なども把握することができるのです。今後はこれらのノウハウをさらに改革・改善しながら蓄積・継承していくことを目指しています。

このように、業務に関する情報発信がすべて“p-WiN”から始まるようになったのです。




上に戻る


将来の展望


戦略的活用と全社への普及を目指して

ヤマハ発動機では、このような過程を経て導入された“p-WiN”を今後活用していくために、更なるステップアップを図っています。

「現在、事業戦略と密接に結び付いたIT戦略が進む中で、次のステップとしては、第一に、p-WiNを通じて事業連結規模でのノウハウの蓄積と検証をしていくこと。第二に、p-WiNを通じて、事業連結規模での業務のスピードアップを目指すこと。第三に、p-WiNを通じて事業連結でのベクトル合わせをしていくこと。第四に、p-WiNを通じて拠点間の業務の均質化を図っていくこと。これらを目指して、更なる情報共有化による事業連結力の拡大強化に向かっています」(高橋氏)

図:p-WiN今後の展開(クリックで拡大)


事業戦略をサポートする部門ポータルとして導入された“p-WiN”、今後は事業戦略の中で大きな活躍が期待できるでしょう。


上に戻る


お客様の声


ITをおもちゃにしないために

“p-WiN”の導入から今後の展開までを、ITセンター長の大江氏はこうまとめます。

「p-WiNそのものの導入に対しては、あまりお金はかかっていません。とはいっても、事業戦略に活用しなければ、リターンは得られません。今回の場合は、事業戦略に対してきっちりとしたサポートをするというコンセプトが明確になっていたので、成功したと言えるでしょう。ただ単に情報提供、情報共有、もしくはさまざまな情報に対するエントランスということだけのために作ると、ITがおもちゃになってしまいます。この部品事業の特徴は、事業戦略を明確にし、事業戦略の推進に必要な人間系の情報を全世界で共有するという明確なコンセプトの下に、ポータルを作り上げたところにあったのではないかと考えます」


上に戻る


お客様情報

お客様名: ヤマハ発動機株式会社
本社所在地: 〒438-0025静岡県磐田市新貝2500
URL: http://www.yamaha-motor.co.jp/
企業概要: 創立: 1955年7月1日
資本金: 41,288百万円(2003年9月末現在)
代表取締役: 長谷川 至
従業員数: 8,168人(2003年3月末現在)
事業内容: モーターサイクル、スクーター、ボート、ヨットなどの製造および販売など


上に戻る


用語の説明

EIP
Enterprise Information Portal:企業情報ポータル

PR
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
+カウンター

アクセスランキング
フリーエリア
アクセス解析
フィードメータ
人気ブログランキング - SCMパッケージソフト 開発勉強日記
現在の訪問者
忍者ブログ [PR]