SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
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小売チェーンとサプライヤーの相互依存関係
中国の小売チェーンの収益構造(3)-陳志偉(NRI上海)
前回は、小売チェーンの「資金調達モデル」を紹介した。小売業者は、返済資金を新規開店費用に充てることでチャネルを増強する一方、サプライヤーは資金の回収が遅れて、経営が破綻するケースも出ている。しかし、このような小売業界での滞納現象は大手サプライヤーとの取引には少なく、大手サプライヤーは逆に小売への供給シェアを拡大している。
大手小売チェーンである「聯華スーパー」のサプライヤー供給額をみると、サプライヤー上位5社の供給シェアは2002年の7%から04年の17%に上がった。一方、下位サプライヤーの数は02年の6000社から04年の9000社にのぼったものの、供給シェアは93%から82%に下がった(聯華スーパーアニュアルレポートより)。
大手サプライヤー(ここで言う大手サプライヤーというカテゴリにはコカ・コーラやネスレのような大手メーカーもあるし、南浦、美峰のような地場大手卸売業者も含まれる)の交渉力が高まっていくのに対し、中小サプライヤーの交渉力が弱くなっていることが分かる。
【聯華スーパーのサプライヤー供給額】(画像をクリックしてください)
サプライヤー間における供給シェアの差が拡大している原因は二つあると考えられる。
聯華の例をみると、まず、聯華スーパーは99年にEDIシステムを導入し、01年にB2B プラットフォームも構築した。サプライヤーはこうした取引システムを通して、商品の売れ行きや在庫状況を把握し、物流コストを削減できる。しかし、聯華グループは、取引システム導入費の大半を、取引システムを使用するサプライヤーから徴収する形になっている。そのため、取引システムを利用できたのは一部大手サプライヤーのみであり、中小サプライヤーは高い情報料を支払えないため、利用が進まなかったという状況がある。
また、聯華スーパーは全国約4000店の店舗に商品を大量に仕入れる。店舗は多数展開されているが、商品の管理リソースが追いついていない。聯華と取引するサプライヤーには、商品の品揃え、売れ行き管理、在庫管理及び一部物流の役割も求められている。例えば、商品の陳列・補充は聯華自身がやらなくて、サプライヤーに直接依頼している。ネスレらは販促部隊を各店舗に送り、売場の商品管理もしている。一方、中小メーカーはそのような人員部隊を維持することができない。
大手サプライヤーは商品管理の力があるからこそ、聯華への供給シェアが増加し、聯華にとっての存在が大きくなる。さらに、大手サプライヤーは聯華以外の小売とも取引できるので、いざ聯華に不利な交渉をされたら取引を拒否することもできる。したがって、彼らは支払い期限や「進場費」の交渉には、勿論平等な立場に立っている。聯華の仕入担当によると、「小売業者がいくら力をつけても、大手サプライヤーとの間には、むしろ共存共栄の関係にある」ということである。
中小サプライヤーと大手サプライヤーの小売業者に対する交渉力の差は、商品管理の力以外に、ブランド力にもある。例えば、コカ・コーラのような商品はほとんどの小売業者にとって品揃えに必要不可欠の商品である。また、サプライヤーが卸売業である場合、より多くの小売業者と取引できるようなパイプラインの構築には、自らチャネル力を増強し、交渉力を増すことになる。
このように、小売業者とサプライヤーの取引関係は、小売業者が一方的に圧倒しているのではなく、小売業者にとって、大手サプライヤーは欠かせない存在であるし、交渉においても平等である。一方、中小サプライヤーは、引き続き不利な取引条件を強いられ、中長期的に淘汰されていく局面も考えられる。したがって、小売チェーンの再編・統合に伴い、今後サプライヤー間の統合・集約も必然的行われるのであろうと筆者は考えている。
中国の小売チェーンの収益構造(3)-陳志偉(NRI上海)
前回は、小売チェーンの「資金調達モデル」を紹介した。小売業者は、返済資金を新規開店費用に充てることでチャネルを増強する一方、サプライヤーは資金の回収が遅れて、経営が破綻するケースも出ている。しかし、このような小売業界での滞納現象は大手サプライヤーとの取引には少なく、大手サプライヤーは逆に小売への供給シェアを拡大している。
大手小売チェーンである「聯華スーパー」のサプライヤー供給額をみると、サプライヤー上位5社の供給シェアは2002年の7%から04年の17%に上がった。一方、下位サプライヤーの数は02年の6000社から04年の9000社にのぼったものの、供給シェアは93%から82%に下がった(聯華スーパーアニュアルレポートより)。
大手サプライヤー(ここで言う大手サプライヤーというカテゴリにはコカ・コーラやネスレのような大手メーカーもあるし、南浦、美峰のような地場大手卸売業者も含まれる)の交渉力が高まっていくのに対し、中小サプライヤーの交渉力が弱くなっていることが分かる。
【聯華スーパーのサプライヤー供給額】(画像をクリックしてください)
サプライヤー間における供給シェアの差が拡大している原因は二つあると考えられる。
聯華の例をみると、まず、聯華スーパーは99年にEDIシステムを導入し、01年にB2B プラットフォームも構築した。サプライヤーはこうした取引システムを通して、商品の売れ行きや在庫状況を把握し、物流コストを削減できる。しかし、聯華グループは、取引システム導入費の大半を、取引システムを使用するサプライヤーから徴収する形になっている。そのため、取引システムを利用できたのは一部大手サプライヤーのみであり、中小サプライヤーは高い情報料を支払えないため、利用が進まなかったという状況がある。
また、聯華スーパーは全国約4000店の店舗に商品を大量に仕入れる。店舗は多数展開されているが、商品の管理リソースが追いついていない。聯華と取引するサプライヤーには、商品の品揃え、売れ行き管理、在庫管理及び一部物流の役割も求められている。例えば、商品の陳列・補充は聯華自身がやらなくて、サプライヤーに直接依頼している。ネスレらは販促部隊を各店舗に送り、売場の商品管理もしている。一方、中小メーカーはそのような人員部隊を維持することができない。
大手サプライヤーは商品管理の力があるからこそ、聯華への供給シェアが増加し、聯華にとっての存在が大きくなる。さらに、大手サプライヤーは聯華以外の小売とも取引できるので、いざ聯華に不利な交渉をされたら取引を拒否することもできる。したがって、彼らは支払い期限や「進場費」の交渉には、勿論平等な立場に立っている。聯華の仕入担当によると、「小売業者がいくら力をつけても、大手サプライヤーとの間には、むしろ共存共栄の関係にある」ということである。
中小サプライヤーと大手サプライヤーの小売業者に対する交渉力の差は、商品管理の力以外に、ブランド力にもある。例えば、コカ・コーラのような商品はほとんどの小売業者にとって品揃えに必要不可欠の商品である。また、サプライヤーが卸売業である場合、より多くの小売業者と取引できるようなパイプラインの構築には、自らチャネル力を増強し、交渉力を増すことになる。
このように、小売業者とサプライヤーの取引関係は、小売業者が一方的に圧倒しているのではなく、小売業者にとって、大手サプライヤーは欠かせない存在であるし、交渉においても平等である。一方、中小サプライヤーは、引き続き不利な取引条件を強いられ、中長期的に淘汰されていく局面も考えられる。したがって、小売チェーンの再編・統合に伴い、今後サプライヤー間の統合・集約も必然的行われるのであろうと筆者は考えている。
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