SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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【トップ講演】企業競争力を生み出す「変化への対応力」~企業環境が激変する今、正しいIT投資とは?~--牧野正幸氏 ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者
日本生まれのERPパッケージが必要に
欧州の著名なビジネススクールであるIMDの「世界競争力年鑑」によると、日本の国際競争力はバブルの絶頂期である1989年から93年にかけて世界一だった。しかし、2006年の年鑑によると日本は17位に転落し、1位は米国である。なぜ日本と米国では国際競争力に差がついてしまったのだろうか。
日本の強さは、現場の従業員の判断能力の高さに見られるように、現場が考えられるところにある。現場の生産効率、業務効率は世界でも例を見ないほど高い。それに対し、米国はITによる競争力が高いからだといわれている。実際、私自身、ワークスアプリケーションズを設立する前にコンサルタントの仕事をし、日欧米の大企業を比較調査したところ、欧米の企業はITの活用によって業務効率を向上させ、企業収益を増大させている一方で、日本企業はITの恩恵をほとんど受けられなかった。
IT投資を判断するべースはROI
シンクタンクや大学の調査によると、日本企業のIT投資の50%は不良資産化しているといわれている。不良資産とは、まったく使い物にならないシステムがあるということではない。システムを維持しようとすれば、日々のデータの更新をはじめ、ハードウエアの入れ替え、ソフトウエアの手直しなどいろいろなコストが要る。こうしたシステムの維持に必要なコストと、システムの導入によって得ているメリットを比べ、メリットのほうがコストを上回っていなければ不良資産化していると欧米の企業は判断する。
IT投資を決める際に欧米企業が最も重視するのはROI(投下資本利益率)だ。例えば、システムに5億円かけるとしたら、その5億円を何年かけて回収できるのか、欧米の企業は運用コストも含めて算出する。もちろん、その試算通りにいかないことはあるが、欧米の企業はROIが高いものにしか投資をしない。たとえシステムが問題なく稼働し、納期までに予定通りの金額で納入されても、期待通りのROIが得られなかった場合は失敗だと考える。
欧米の企業がこれほどまでにROIを重視するのは、IT投資の大きな目的はコスト削減にあるという考え方が浸透しているからだ。バックオフィスのコスト削減はその象徴といえる。もともと給与計算などを人手に頼っていては大変だということで、集計処理からスタートしたものだ。システムを利用すれば人手も時間も大幅に削減でき、しかもデータさえあれば一度集計した結果を違う角度から集計することも不可能ではない。今から25~30年前に登場してからシステムの中身は複雑化しているが、目的は変わっていない。
その一方で、バックオフィスのコスト削減とは違ったIT投資もある。ネット証券のトレーディングシステムに代表される、いわゆるコアコンピタンスを強化するためのシステムである。システムそのものが競争力の源泉といえる。
図●2つのシステムの区分け
では、「当社は顧客サービスを重要視している。これこそが自社のコアコンピタンス」という会社は、顧客サービスのシステムそのものもコアコンピタンスと思ってよいのだろうか。それは違う。というのも、その会社のコアコンピタンスは顧客サービスであって、顧客サービスのためのシステムではないからだ。
次に「当社は、当社の製品価格や在庫状況といった営業情報を顧客がインターネットですべて見られるような方法に変更した。取引もBtoBのシステムでやり取りする」というケースを考えてみよう。今のところ、こんなパッケージソフトは世の中にないし、そんな仕組みを実行している会社もないので、このシステムはコアコンピタンスの1つである。しかし、10年後に同じことを数多くの会社が実行していたら、このシステムもコアコンピタンスではなくなる。
イノベーションを支えるERP
イノベーションを起こすための内部改革には多大な労力が要るが、業務面での内部改革をしてからシステムをそれに対応させるのに2年もかけているようでは、イノベーションではなくなってしまう。その短縮は今日の大きな課題である。
イノベーションへの取り組みを難しくしているのはそれだけではない。イノベーションは企業の外的環境の変化に伴って起こさなければならない。外的環境の変化は3つに分けることができ、それに伴ってシステムにも変化が求められている。
その1つがテクノロジの変化である。テクノロジが進化すると、長期的にはプラスに働くが、古いテクノロジに基づいて開発したシステムは破棄しなければならなくなる。2つ目が在宅勤務やCSR(企業の社会的責任)などに代表される社会トレンドの変化だ。そして、3つ目が法制度の改正である。
現在、数多くの企業は日本版SOX法に対応できるように業務プロセスの見直しに取り組んでいるが、そうした企業のIT部門はテクノロジ、社会トレンド、法制度といった3つの変化にシステムが対応できるようにするのはもちろん、イノベーションにも取り組まなければならない状況に置かれている。これらすべての変化に対応するために、ERP(統合基幹業務)パッケージが最も優れているといわれている。
その理由は、IT内部統制に対応しやすい点にある。ERPには正確性、網羅性、職務分掌というIT業務統制機能があらかじめ含まれている。また、IT全般統制に求められるソフトウエアの信頼性、プロダクトライフサイクル管理、運用管理に優れていることもIT内部統制への対応には有利である。
理由はそれだけではない。たくさんのユーザーに利用されているという高い信頼性がERPシステムにはある。また、ERPパッケージのメーカーが責任を持ってテクノロジの変化、社会トレンドの変化、法改正の変化に対して適切な措置を講じているので、パッケージを使う企業がいちいち対応を考える必要がない。さらに、ERPパッケージには業務イノベーションのための機能があらかじめ盛り込まれているので、イノベーションを進めるスピードを上げることができる。
ただし、ERPパッケージの効果を最大限に享受するには2つの条件が必要になる。1つは、プログラムの修正をせず、すべて標準機能で運用することである。欧米の企業では標準機能で使うのが当たり前で、それでも何ら問題は生じていない。もう1つの条件は、社会トレンドやイノベーションの中身は各国の文化や商習慣によって異なるということを考慮に入れておくことだ。それぞれの国の文化や商習慣にあったERPパッケージがあり、顧客の業務ニーズをすべて標準装備しているERPパッケージは間違いなく企業経営にプラスに働く。
カスタマイズしないでERPパッケージを使えば、最小限の時間とコストでイノベーションに取り組め、事業環境の変化にも対応できる。我々パッケージソフトのメーカーは、そうした製品の開発に努力を惜しむべきではない。
日本生まれのERPパッケージが必要に
欧州の著名なビジネススクールであるIMDの「世界競争力年鑑」によると、日本の国際競争力はバブルの絶頂期である1989年から93年にかけて世界一だった。しかし、2006年の年鑑によると日本は17位に転落し、1位は米国である。なぜ日本と米国では国際競争力に差がついてしまったのだろうか。
日本の強さは、現場の従業員の判断能力の高さに見られるように、現場が考えられるところにある。現場の生産効率、業務効率は世界でも例を見ないほど高い。それに対し、米国はITによる競争力が高いからだといわれている。実際、私自身、ワークスアプリケーションズを設立する前にコンサルタントの仕事をし、日欧米の大企業を比較調査したところ、欧米の企業はITの活用によって業務効率を向上させ、企業収益を増大させている一方で、日本企業はITの恩恵をほとんど受けられなかった。
IT投資を判断するべースはROI
シンクタンクや大学の調査によると、日本企業のIT投資の50%は不良資産化しているといわれている。不良資産とは、まったく使い物にならないシステムがあるということではない。システムを維持しようとすれば、日々のデータの更新をはじめ、ハードウエアの入れ替え、ソフトウエアの手直しなどいろいろなコストが要る。こうしたシステムの維持に必要なコストと、システムの導入によって得ているメリットを比べ、メリットのほうがコストを上回っていなければ不良資産化していると欧米の企業は判断する。
IT投資を決める際に欧米企業が最も重視するのはROI(投下資本利益率)だ。例えば、システムに5億円かけるとしたら、その5億円を何年かけて回収できるのか、欧米の企業は運用コストも含めて算出する。もちろん、その試算通りにいかないことはあるが、欧米の企業はROIが高いものにしか投資をしない。たとえシステムが問題なく稼働し、納期までに予定通りの金額で納入されても、期待通りのROIが得られなかった場合は失敗だと考える。
欧米の企業がこれほどまでにROIを重視するのは、IT投資の大きな目的はコスト削減にあるという考え方が浸透しているからだ。バックオフィスのコスト削減はその象徴といえる。もともと給与計算などを人手に頼っていては大変だということで、集計処理からスタートしたものだ。システムを利用すれば人手も時間も大幅に削減でき、しかもデータさえあれば一度集計した結果を違う角度から集計することも不可能ではない。今から25~30年前に登場してからシステムの中身は複雑化しているが、目的は変わっていない。
その一方で、バックオフィスのコスト削減とは違ったIT投資もある。ネット証券のトレーディングシステムに代表される、いわゆるコアコンピタンスを強化するためのシステムである。システムそのものが競争力の源泉といえる。
図●2つのシステムの区分け
では、「当社は顧客サービスを重要視している。これこそが自社のコアコンピタンス」という会社は、顧客サービスのシステムそのものもコアコンピタンスと思ってよいのだろうか。それは違う。というのも、その会社のコアコンピタンスは顧客サービスであって、顧客サービスのためのシステムではないからだ。
次に「当社は、当社の製品価格や在庫状況といった営業情報を顧客がインターネットですべて見られるような方法に変更した。取引もBtoBのシステムでやり取りする」というケースを考えてみよう。今のところ、こんなパッケージソフトは世の中にないし、そんな仕組みを実行している会社もないので、このシステムはコアコンピタンスの1つである。しかし、10年後に同じことを数多くの会社が実行していたら、このシステムもコアコンピタンスではなくなる。
イノベーションを支えるERP
イノベーションを起こすための内部改革には多大な労力が要るが、業務面での内部改革をしてからシステムをそれに対応させるのに2年もかけているようでは、イノベーションではなくなってしまう。その短縮は今日の大きな課題である。
イノベーションへの取り組みを難しくしているのはそれだけではない。イノベーションは企業の外的環境の変化に伴って起こさなければならない。外的環境の変化は3つに分けることができ、それに伴ってシステムにも変化が求められている。
その1つがテクノロジの変化である。テクノロジが進化すると、長期的にはプラスに働くが、古いテクノロジに基づいて開発したシステムは破棄しなければならなくなる。2つ目が在宅勤務やCSR(企業の社会的責任)などに代表される社会トレンドの変化だ。そして、3つ目が法制度の改正である。
現在、数多くの企業は日本版SOX法に対応できるように業務プロセスの見直しに取り組んでいるが、そうした企業のIT部門はテクノロジ、社会トレンド、法制度といった3つの変化にシステムが対応できるようにするのはもちろん、イノベーションにも取り組まなければならない状況に置かれている。これらすべての変化に対応するために、ERP(統合基幹業務)パッケージが最も優れているといわれている。
その理由は、IT内部統制に対応しやすい点にある。ERPには正確性、網羅性、職務分掌というIT業務統制機能があらかじめ含まれている。また、IT全般統制に求められるソフトウエアの信頼性、プロダクトライフサイクル管理、運用管理に優れていることもIT内部統制への対応には有利である。
理由はそれだけではない。たくさんのユーザーに利用されているという高い信頼性がERPシステムにはある。また、ERPパッケージのメーカーが責任を持ってテクノロジの変化、社会トレンドの変化、法改正の変化に対して適切な措置を講じているので、パッケージを使う企業がいちいち対応を考える必要がない。さらに、ERPパッケージには業務イノベーションのための機能があらかじめ盛り込まれているので、イノベーションを進めるスピードを上げることができる。
ただし、ERPパッケージの効果を最大限に享受するには2つの条件が必要になる。1つは、プログラムの修正をせず、すべて標準機能で運用することである。欧米の企業では標準機能で使うのが当たり前で、それでも何ら問題は生じていない。もう1つの条件は、社会トレンドやイノベーションの中身は各国の文化や商習慣によって異なるということを考慮に入れておくことだ。それぞれの国の文化や商習慣にあったERPパッケージがあり、顧客の業務ニーズをすべて標準装備しているERPパッケージは間違いなく企業経営にプラスに働く。
カスタマイズしないでERPパッケージを使えば、最小限の時間とコストでイノベーションに取り組め、事業環境の変化にも対応できる。我々パッケージソフトのメーカーは、そうした製品の開発に努力を惜しむべきではない。
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