SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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人口減少化時代にドライバーなど物流労働力をどう確保するか
検討委員会を設けてまず実態分析、07年度に具体策づくりへ国交省
わが国の総人口は05年(平成17年)から減少に転じた。生産年齢人口(15~64歳)の人口はすでに10年前の95年を境に急激な減少傾向にあり、高齢化が進展しているとされている。こうした中であらゆる業種で労働力不足が問題となっているが、特に労働集約産業であるトラック運送業界では深刻な影響が懸念され、トラック輸送が主力を占める国内物流体系への影響が心配されている。
このため、国土交通省はこのほど、全日本トラック協会と連携して労働力の実態を調査し対策づくりのための検討委員会を設置し、トラックドライバーの育成、確保対策の検討に着手した。少子高齢化、人口減少時代の物流労働力はどのようにして確保するのか、その対策づくりをみてみた。
●国交省による対策づくりの前に全ト協で実態把握へ
1月22日に発足した全ト協の「トラック運送事業における労働力実態調査検討委員会」(委員長・斉藤実神奈川大学教授)は、トラックドライバーの予測、トラック事業者ヒアリング、ドライバーアンケート、中・高校や大学生に対するアンケート、学校の就職担当者や学生の保護者に対するアンケートなどを基に、3月までに(1)運送事業を取り巻く環境(2)トラックドライバーの需給状況(3)トラック運送業の労働力問題の実態と課題についての調査結果を分析する。
その上で、07年度に国交省が設置する検討委員会が引き継ぐ形で、(1)有効なトラックドライバーの育成、確保対策(2)トラック事業者が行う労働力確保対策(3)経済界、荷主産業界がドライバー確保のための環境整備としての協力事項(4)優良トラックドライバーへのインセンティブのあり方(5)悪質ドライバーの排除方策などを検討する。
●「カギは、いかに魅力ある職場にするかだ」と斉藤委員長
検討委員会の初会合で斉藤委員長は「バブル期にもトラック業の労働力不足がいわれ、それまでの荷主とトラック業界の力関係が逆転したともいわれたが、その後、一般の関心から隠れてしまった。アメリカのトラック業の規制緩和は日本より10年ほど早く行われたが、その結果、競争が激化し、優秀なドライバーが早めに辞め、新規に入ってきたドライバーは経験が浅く、あるいは未経験の人が多く、ドライバーの質が大幅に下がったとされている。日本の場合はどうなのか、検証の必要があるが、その後、労働条件が緩和され、雇用形態も大きく変わっている。深刻化する労働力不足に対応するには、いかに魅力ある職場にするかだ。様々な分野の専門家の活発な議論でいい方向を導き出していきたい」と難題のカジ取りを語っていた。
トラックドライバーの現状は、厳しい経営環境から労働条件が悪影響を及ぼさないか、3Kイメージによる応募不足はないのか、若年層を中心とする就業意欲の低下にどう対応するか、業界のイメージアップにつながる対策が待たれているが…。
検討委員会を設けてまず実態分析、07年度に具体策づくりへ国交省
わが国の総人口は05年(平成17年)から減少に転じた。生産年齢人口(15~64歳)の人口はすでに10年前の95年を境に急激な減少傾向にあり、高齢化が進展しているとされている。こうした中であらゆる業種で労働力不足が問題となっているが、特に労働集約産業であるトラック運送業界では深刻な影響が懸念され、トラック輸送が主力を占める国内物流体系への影響が心配されている。
このため、国土交通省はこのほど、全日本トラック協会と連携して労働力の実態を調査し対策づくりのための検討委員会を設置し、トラックドライバーの育成、確保対策の検討に着手した。少子高齢化、人口減少時代の物流労働力はどのようにして確保するのか、その対策づくりをみてみた。
●国交省による対策づくりの前に全ト協で実態把握へ
1月22日に発足した全ト協の「トラック運送事業における労働力実態調査検討委員会」(委員長・斉藤実神奈川大学教授)は、トラックドライバーの予測、トラック事業者ヒアリング、ドライバーアンケート、中・高校や大学生に対するアンケート、学校の就職担当者や学生の保護者に対するアンケートなどを基に、3月までに(1)運送事業を取り巻く環境(2)トラックドライバーの需給状況(3)トラック運送業の労働力問題の実態と課題についての調査結果を分析する。
その上で、07年度に国交省が設置する検討委員会が引き継ぐ形で、(1)有効なトラックドライバーの育成、確保対策(2)トラック事業者が行う労働力確保対策(3)経済界、荷主産業界がドライバー確保のための環境整備としての協力事項(4)優良トラックドライバーへのインセンティブのあり方(5)悪質ドライバーの排除方策などを検討する。
●「カギは、いかに魅力ある職場にするかだ」と斉藤委員長
検討委員会の初会合で斉藤委員長は「バブル期にもトラック業の労働力不足がいわれ、それまでの荷主とトラック業界の力関係が逆転したともいわれたが、その後、一般の関心から隠れてしまった。アメリカのトラック業の規制緩和は日本より10年ほど早く行われたが、その結果、競争が激化し、優秀なドライバーが早めに辞め、新規に入ってきたドライバーは経験が浅く、あるいは未経験の人が多く、ドライバーの質が大幅に下がったとされている。日本の場合はどうなのか、検証の必要があるが、その後、労働条件が緩和され、雇用形態も大きく変わっている。深刻化する労働力不足に対応するには、いかに魅力ある職場にするかだ。様々な分野の専門家の活発な議論でいい方向を導き出していきたい」と難題のカジ取りを語っていた。
トラックドライバーの現状は、厳しい経営環境から労働条件が悪影響を及ぼさないか、3Kイメージによる応募不足はないのか、若年層を中心とする就業意欲の低下にどう対応するか、業界のイメージアップにつながる対策が待たれているが…。
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SCM、物流分野におけるRFIDシステム
小野田 久視
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
アドバンストソリューション本部
RFIDビジネス推進部
担当マネジャー
2006年12月14日
RFIDの技術的な理解は進んだ。これからは、RFIDを使ってどのようなシステムを構築していくべきがが問われる。RFIDシステム構築エンジニアに必要なスキルと知識を解説する(編集部)
前回は生産現場でROI(投資対効果)が出る事例をいくつか紹介しました。今回はSCM(サプライチェーンマネジメント)、物流分野でのケーススタディを取り上げます。
もともと、SCMや物流は、RFIDを活用して業務改善を進めていくことに非常に積極的な分野で、世界中の多くの場所で情報収集が行われ、さまざまな実験が試みられています。国際標準化団体であるEPCglobalでは、RFIDをSCMで活用するためのタグデータの標準化や、EPC IS(EPC Information Services)、リーダ・プロトコルなどのグローバル標準技術の成熟などを行っています。また、ISOでもエアーインターフェイスの標準化が進められています。
サプライチェーンの6階層におけるRFID需要
ISOではサプライチェーンの管理モデルを6つに定義し、それぞれの管理方法について議論しています。この6つの階層において、RFIDを活用して効率的に管理することに注目が集まっています。
まだまだ技術面、コスト面でハードルが高いものもありますが、レイヤー2と3の領域(プラコン、パレット)において、RFID(UHF帯のGen2タグ)を使って管理することに高いニーズがあります。
プラコンやパレットは1つ当たりの単価が比較的安いということもあり、資産として個別の資産管理番号を振って管理されていません。また、経費で購入されることが多く、トラッキングの仕組みもまだまだ整っていない企業がほとんどです。
一方、レイヤー4や5に当たるコンテナや輸送物は単価も高いことから、1つ1つ厳密に管理されています。そのため、RFIDを使って管理しても高いROIを出すことはなかなか難しく、あえてこの領域からRFIDの活用を進めていく企業は少ないようです。
返却可能な物流容器(RTI)の管理
プラコンやパレットなどの返却可能な物流容器をRTI(Returnable Transporting Item)と呼びます。RTIのような1つ1つのアイテムが正しく管理できていない領域において、RFIDを活用して人手を掛けずに管理することは、紛失の防止やトラッキングによるメリットが非常に大きくなります。
具体的なペインには、
紛失する
現在どこに存在するのかが把握できない
使用者や所有者がサプライチェーンの中で不明確になる
サプライチェーンの中で総量が管理できない
というものがあり、かなりの無駄が発生しています。この無駄を改善するために下記のような施策を行いました。
それぞれのプラコン、パレットにGRAI(Global Returnable Asset Identifier)というグローバルでユニークになるIDを発行し、RFIDタグを張り付けてSCMの流れの中での資産管理をする
プラコン、パレットの出庫、入庫時にタグデータを読み取り、その情報をEPC ISと社内の管理システムに所在地情報として書き込む
一定の量のプラコン、パレットが集まった段階で回収を行う
このような施策によって、プラコンやパレット単位の管理が厳密にできるようになり、無駄の削減が実現できました。
このような仕組みを実現するためには、SCM内に存在する複数の拠点や社外の企業による協力が必要になるので、1社の判断だけで進めることは難しいのが現状です。しかし、UHF Gen2タグやGRAIなどの標準的なデータを利用することで、システム構成は汎用的になりました。その結果、複数の企業の合意を得るための障壁が下がってきています。
さらに、パレットやプラコンの管理を実現していることで、将来的にはそれに載せられる商品を個品レベルで管理するところまで拡張することも容易になるというメリットがあり、RFIDの最初の導入部分として始められたという経緯もあります。
プラコン、パレットの管理で効率化を図ることができる業務、業界としては、
メーカーのパレット、通い箱の管理
製造業での通い箱の管理
小売業の流通過程
などが挙げられます。まだ具体的に数値化された効果は確認できていませんが、業務効率化は図れており、コストの圧縮にも成功しつつあります。
SCM全体の見直しの中でのRFIDの活用
もう少し視点を広くした事例を紹介します。サプライチェーン全体の改善を望む企業は非常に多いと思いますが、現実的には成功事例に出合う機会は少ないといってもいいでしょう。
ここで取り上げる企業では、SCM全体を見渡すと下記のような業務構成で運用しています。全体の流れとしては、
顧客や小売店からメーカー側に、商品の発注が電子的に行われる
メーカーは海外の自社工場に生産指示を出し、物流センターに配送指示を出す
工場では生産指示を受け取って、生産を開始し、納期の連絡を物流センターに対して送信する
製品完成後、工場から出荷し、日本に向けて輸出を行う
日本に輸入し、物流センターに納品する
物流センターでは顧客・小売店からの発注情報にひも付く周辺機器をVMI(Vendor Managed Inventory)からピッキングし、パッキングし直して出荷する
というものです。一般的な流れのようではありますが、これを一気通貫で連携させ、なおかつ在庫の最適化を行うのは非常に難しいです。
この企業ではすべての情報を受注番号にひも付け、それぞれの業務プロセスを細かく分けて、実績データを各プロセスの最初と最後に取得しています。実績データの取得方法は業務プロセスごとにもちろん異なります。実際の商品が流れる部分では、検品やピッキングの業務が発生するので、そこでRFIDやバーコードを活用しデータを効率的に取得します。もちろん現場での作業内容は検品ですので、1つの業務に割く時間を短縮することで全体のサイクルを回す時間を短縮することを目指しています。
取り扱うデータは非常に大量となり、複数の国をまたぐことになります。そこで、SGTIN、SSCCなどのグローバルで完全にユニークになるEPCコードを積極的に活用するメリットが出てきます。コスト面での問題もあり、バーコードとRFIDを拠点ごとに使い分けていますが、データとしてはRFIDでもバーコードでも同じユニークな番号を利用しています。
また、RFIDにより自動的に実績データをすべて取得することで倉庫内、工場内の在庫だけでなくSCM内を移動する物流在庫の完全な把握もすることができるようになるということも大きなメリットです。
所得した実績データは一元的に管理し、そのデータからあらかじめ設定しておいたKPI(重要業績評価指標)と照らし合わせます。各プロセスのKPIは下記のようにカテゴライズして定義しています。
サイクルタイム
コスト
紛失、ミス、破損
それぞれの項目に対して、目標、現状、差分の3つの尺度でKPIを分析していきます。データを投入し、職責に合わせてダッシュボードを作成し、各業務プロセスの改善を実施していきます。全体を取りまとめるのはBPI(ビジネスプロセス改善)、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の業務部門が中心となって個別最適に陥らないように全体を見渡して、各業務部門と連携しながら業務改善を行います。
RFIDによって変化するサプライチェーン
企業は常に成長が求められますが、コストの増加は求められません。できるだけ低コストで、無人化できるところは無人化して全体のサイクルを短縮化していく必要があります。
すべて人手を介していた各拠点での検品の一部を、RFIDを活用した検品に切り替えることで、企業の成長に伴う物流量の増加が起こった場合でも物流量に応じてコスト増とならない仕組みが構築できます。これは、SCMにかかわるさまざまな企業にとって必要なことといえるでしょう。
現在、こういったサプライチェーンの中でのRFIDの活用が進んでいます。EPCglobalが標準化を進めるさまざまな技術を活用することによって、多くの企業のサプライチェーンが大きく変わっていくことが予想されます。上記のように大きなサプライチェーン全体を改善する中で、RFIDの技術を活用するメリットを感じる企業も増えてきました。
今回は、1つの企業内で閉じている事例を紹介しましたが、1つの企業内のサプライチェーンを別の企業のサプライチェーンと連携させる事が現実的に普及しつつあります。米国ではWal-MartやBestBuyをはじめとした多くの企業で、サプライヤーに対してRFIDを付けて納品するように要求しています。日本でも家電量販店で同様のことが始まりました。今後この流れはさらに広がっていくことが見込まれています。
このような要求に対応するためにSlap&Shipと呼ばれるパッケージが登場しています。次回は、Slap&Shipについて紹介します。
小野田 久視
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
アドバンストソリューション本部
RFIDビジネス推進部
担当マネジャー
2006年12月14日
RFIDの技術的な理解は進んだ。これからは、RFIDを使ってどのようなシステムを構築していくべきがが問われる。RFIDシステム構築エンジニアに必要なスキルと知識を解説する(編集部)
前回は生産現場でROI(投資対効果)が出る事例をいくつか紹介しました。今回はSCM(サプライチェーンマネジメント)、物流分野でのケーススタディを取り上げます。
もともと、SCMや物流は、RFIDを活用して業務改善を進めていくことに非常に積極的な分野で、世界中の多くの場所で情報収集が行われ、さまざまな実験が試みられています。国際標準化団体であるEPCglobalでは、RFIDをSCMで活用するためのタグデータの標準化や、EPC IS(EPC Information Services)、リーダ・プロトコルなどのグローバル標準技術の成熟などを行っています。また、ISOでもエアーインターフェイスの標準化が進められています。
サプライチェーンの6階層におけるRFID需要
ISOではサプライチェーンの管理モデルを6つに定義し、それぞれの管理方法について議論しています。この6つの階層において、RFIDを活用して効率的に管理することに注目が集まっています。
まだまだ技術面、コスト面でハードルが高いものもありますが、レイヤー2と3の領域(プラコン、パレット)において、RFID(UHF帯のGen2タグ)を使って管理することに高いニーズがあります。
プラコンやパレットは1つ当たりの単価が比較的安いということもあり、資産として個別の資産管理番号を振って管理されていません。また、経費で購入されることが多く、トラッキングの仕組みもまだまだ整っていない企業がほとんどです。
一方、レイヤー4や5に当たるコンテナや輸送物は単価も高いことから、1つ1つ厳密に管理されています。そのため、RFIDを使って管理しても高いROIを出すことはなかなか難しく、あえてこの領域からRFIDの活用を進めていく企業は少ないようです。
返却可能な物流容器(RTI)の管理
プラコンやパレットなどの返却可能な物流容器をRTI(Returnable Transporting Item)と呼びます。RTIのような1つ1つのアイテムが正しく管理できていない領域において、RFIDを活用して人手を掛けずに管理することは、紛失の防止やトラッキングによるメリットが非常に大きくなります。
具体的なペインには、
紛失する
現在どこに存在するのかが把握できない
使用者や所有者がサプライチェーンの中で不明確になる
サプライチェーンの中で総量が管理できない
というものがあり、かなりの無駄が発生しています。この無駄を改善するために下記のような施策を行いました。
それぞれのプラコン、パレットにGRAI(Global Returnable Asset Identifier)というグローバルでユニークになるIDを発行し、RFIDタグを張り付けてSCMの流れの中での資産管理をする
プラコン、パレットの出庫、入庫時にタグデータを読み取り、その情報をEPC ISと社内の管理システムに所在地情報として書き込む
一定の量のプラコン、パレットが集まった段階で回収を行う
このような施策によって、プラコンやパレット単位の管理が厳密にできるようになり、無駄の削減が実現できました。
このような仕組みを実現するためには、SCM内に存在する複数の拠点や社外の企業による協力が必要になるので、1社の判断だけで進めることは難しいのが現状です。しかし、UHF Gen2タグやGRAIなどの標準的なデータを利用することで、システム構成は汎用的になりました。その結果、複数の企業の合意を得るための障壁が下がってきています。
さらに、パレットやプラコンの管理を実現していることで、将来的にはそれに載せられる商品を個品レベルで管理するところまで拡張することも容易になるというメリットがあり、RFIDの最初の導入部分として始められたという経緯もあります。
プラコン、パレットの管理で効率化を図ることができる業務、業界としては、
メーカーのパレット、通い箱の管理
製造業での通い箱の管理
小売業の流通過程
などが挙げられます。まだ具体的に数値化された効果は確認できていませんが、業務効率化は図れており、コストの圧縮にも成功しつつあります。
SCM全体の見直しの中でのRFIDの活用
もう少し視点を広くした事例を紹介します。サプライチェーン全体の改善を望む企業は非常に多いと思いますが、現実的には成功事例に出合う機会は少ないといってもいいでしょう。
ここで取り上げる企業では、SCM全体を見渡すと下記のような業務構成で運用しています。全体の流れとしては、
顧客や小売店からメーカー側に、商品の発注が電子的に行われる
メーカーは海外の自社工場に生産指示を出し、物流センターに配送指示を出す
工場では生産指示を受け取って、生産を開始し、納期の連絡を物流センターに対して送信する
製品完成後、工場から出荷し、日本に向けて輸出を行う
日本に輸入し、物流センターに納品する
物流センターでは顧客・小売店からの発注情報にひも付く周辺機器をVMI(Vendor Managed Inventory)からピッキングし、パッキングし直して出荷する
というものです。一般的な流れのようではありますが、これを一気通貫で連携させ、なおかつ在庫の最適化を行うのは非常に難しいです。
この企業ではすべての情報を受注番号にひも付け、それぞれの業務プロセスを細かく分けて、実績データを各プロセスの最初と最後に取得しています。実績データの取得方法は業務プロセスごとにもちろん異なります。実際の商品が流れる部分では、検品やピッキングの業務が発生するので、そこでRFIDやバーコードを活用しデータを効率的に取得します。もちろん現場での作業内容は検品ですので、1つの業務に割く時間を短縮することで全体のサイクルを回す時間を短縮することを目指しています。
取り扱うデータは非常に大量となり、複数の国をまたぐことになります。そこで、SGTIN、SSCCなどのグローバルで完全にユニークになるEPCコードを積極的に活用するメリットが出てきます。コスト面での問題もあり、バーコードとRFIDを拠点ごとに使い分けていますが、データとしてはRFIDでもバーコードでも同じユニークな番号を利用しています。
また、RFIDにより自動的に実績データをすべて取得することで倉庫内、工場内の在庫だけでなくSCM内を移動する物流在庫の完全な把握もすることができるようになるということも大きなメリットです。
所得した実績データは一元的に管理し、そのデータからあらかじめ設定しておいたKPI(重要業績評価指標)と照らし合わせます。各プロセスのKPIは下記のようにカテゴライズして定義しています。
サイクルタイム
コスト
紛失、ミス、破損
それぞれの項目に対して、目標、現状、差分の3つの尺度でKPIを分析していきます。データを投入し、職責に合わせてダッシュボードを作成し、各業務プロセスの改善を実施していきます。全体を取りまとめるのはBPI(ビジネスプロセス改善)、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の業務部門が中心となって個別最適に陥らないように全体を見渡して、各業務部門と連携しながら業務改善を行います。
RFIDによって変化するサプライチェーン
企業は常に成長が求められますが、コストの増加は求められません。できるだけ低コストで、無人化できるところは無人化して全体のサイクルを短縮化していく必要があります。
すべて人手を介していた各拠点での検品の一部を、RFIDを活用した検品に切り替えることで、企業の成長に伴う物流量の増加が起こった場合でも物流量に応じてコスト増とならない仕組みが構築できます。これは、SCMにかかわるさまざまな企業にとって必要なことといえるでしょう。
現在、こういったサプライチェーンの中でのRFIDの活用が進んでいます。EPCglobalが標準化を進めるさまざまな技術を活用することによって、多くの企業のサプライチェーンが大きく変わっていくことが予想されます。上記のように大きなサプライチェーン全体を改善する中で、RFIDの技術を活用するメリットを感じる企業も増えてきました。
今回は、1つの企業内で閉じている事例を紹介しましたが、1つの企業内のサプライチェーンを別の企業のサプライチェーンと連携させる事が現実的に普及しつつあります。米国ではWal-MartやBestBuyをはじめとした多くの企業で、サプライヤーに対してRFIDを付けて納品するように要求しています。日本でも家電量販店で同様のことが始まりました。今後この流れはさらに広がっていくことが見込まれています。
このような要求に対応するためにSlap&Shipと呼ばれるパッケージが登場しています。次回は、Slap&Shipについて紹介します。
スラップ&シップでRFID張り付け要求に対応する
伊東 英輝
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
Fusion Middleware技術部
RFID&EDAグループ
シニアマネージャー
2006年2月2日
RFIDの技術的な理解は進んだ。これからは、RFIDを使ってどのようなシステムを構築していくべきがが問われる。RFIDシステム構築エンジニアに必要なスキルと知識を解説する(編集部)
近年、日用品、医薬、家電の物流分野において、輸送物にRFIDタグを張り付けることが盛んにトライされています。欧米ではウォルマート(Wal*Mart)など小売業者が先導し、RFIDタグを張り付けて商品を納めるサプライヤ(納入業者)が増えているのが事実です。そのため、コストを掛けずにRFID張り付け要求に対応するソリューションとしてスラップ&シップ(Slap & Ship)が盛んに行われています。
グローバル化が進んだ現在、海外で事業を展開する日本企業も小売業者のRFID張り付け要求に応えなければならないケースが増加しています。そして、この流れは日本の小売業界にもいずれ来るでしょう。そのときに対応できるよう、本稿では小売業者からのRFID張り付け要求を実現するスラップ&シップを説明します。
RFID張り付け要求がある背景
スラップ&シップの説明をする前に、小売業者とサプライヤが行うべき課題の中でスラップ&シップがどの段階のソリューションであるかを理解する必要があります。実際は複数の次元に分類されますが、簡単に考えるために3つのレベルに小売業者とサプライヤの課題を分類します。
レベル1は、小売業者がすぐにROI(投資対効果)を出せるもので、小売業者内物流業務の効率化や流通過程での紛失物削減が含まれます。ここではサプライヤ側のメリットは少なく、サプライヤとしてはできるだけコストを抑えてRFID張り付け要求に応えたいと考えます。ここに今回説明するスラップ&シップのソリューションを適用します。
レベル2は、サプライヤもメリットを得られる段階です。ここでは、サプライヤを含んだ物流の効率化や小売業者との情報交換によって生じるさまざまな価値を見いだすことができます。例えば、小売業者ときめ細かな商品売上データを共有するなど、製造から販売に至るまでの物流改革によって在庫の可視化と適正在庫の管理を行うことができます。その結果、欠品率削減による売上機会損失の最少化だけでなく需要に応じた製造計画が可能になります。
このレベルでは、サプライヤの物流をRFIDに対応させるために、既存システムをRFIDミドルウェアと連携する必要があります。小売業者とリアルタイムに情報を共有するためには、既存システムをイベント駆動型アーキテクチャ(EDA)に移行する必要も出てきます。
レベル3は、小売業者とサプライヤが「1:1」の関係ではなく「N:N」の関係を構築し、業界全体でメリットが得られる段階です。例えば、EPCglobalネットワークを利用したシステムを構築して商品のトレーサビリティを行うことや、GDS(Global Data Synchronization)のような単一なデータレポジトリを複数の企業が活用して商品の同期化を行うことです。このレベルでは業界標準技術を採用することが重要であり、EPCglobal規格ではEPC ISとの連携が重要になります。
将来的には、RFIDタグの利用が商品を販売で終了せず、販売後にも応用されると思われます。例えば、製品に安全上の瑕疵(かし)があっても流通経路を特定して消費者の安全を確保することや、修理、リサイクル分野にも適用することにより環境に優しい循環型社会に貢献できます。
例えば、家電業界では、小売業者との相乗効果も視野に入れながら、家電電子タグコンソーシアムを設立しました。この団体は、電子タグのユースケースの標準モデルを作成し、積極的に国際標準化に関与し国際競争力を高めることを目指しています。
【関連リンク】
家電電子タグコンソーシアム
レベル3まで考えると、検討ばかりで時間が経過するだけで終わってしまいます。そこで、コストをできるだけ抑えスモールスタートで始めて、前に進むという考え方が重要です。スラップ&シップは、スモールスタートで始めて大きく育てるのに最適なソリューションです。
スラップ&シップの意味
スラップ&シップはなじみがない言葉だと思います。そこで、英和辞典で調べてみました。
Slap ‐ 平手打ち
Ship ‐ 船
平手打ちと船? 船を平手打ち? 全く意味不明ですね。名詞ではなく動詞で調べてみましょう。
Slap ‐ (平手で)ぴしゃりと打つ
Ship ‐ (トラック、列車などで)送る、輸送する、出荷する
どうやらスラップ&シップとは「ぴしゃりと打ち、輸送する」ことだと分かりました。「ぴしゃりと打つ」をさらに理解するために英英辞典で調べてみました。
Slap ‐ to put or stretch something quickly onto a surface:
slapとは「表面上にすばやく何かを置くことや伸ばす」という意味です。何か(Something)をRFIDラベル(RFIDタグを含んだシール)、表面(Surface)を梱包箱や輸送パレット、かご車の表面と理解すると、スラップ&シップは「RFIDラベルをすばやく梱包箱やパレットに張る&出荷する」となります。
つまり、スラップ&シップとは、本格的にRFIDシステムを導入するのではなく、RFID対応を求めている納入先向けに、倉庫や配送センター内で、RFIDタグが埋め込まれたラベルシートを張って出荷することです。RFIDタグは、バーコードラベルの中に含まれていて製品を運ぶパレット、ケースや商品箱に張られます。
タグの張り付けは、業務上、製造過程で自動化すると効率的ですが、製造システム側の変更が求められます。そのため、コスト、スピード、リスクの観点から、多くの企業は出荷段階で対応できるスラップ&シップを採用しています。
以下の図は、商品物流の中におけるスラップ&シップの適用範囲を図で示したものです。RFID張り付けを要求している小売業者向けに配送する販売物流センターなどで実施します。
業界標準のEPCコードを使う
RFIDに書き込むIDには、小売業者の指示によりEPC(Electronic Product Code)を使うことが多いようです。EPCは、EPCglobalが定めた国際標準規格であり、参加企業ごとにシリアル管理できるコードとして使用できます。
EPCは目的に応じてコード体系が定められており、SSCC、SGTIN、GRAIなどがあります。例えば、SGTINは個品に、SSCCはパレットに、GRAIは再利用可能な資産に付けます。EPCには各企業に割り当てられるマネージャ番号があり、EPCを使ってシリアル管理したい企業はEPCglobalに加入する必要があります。日本では、(財)流通開発センターが窓口になります。
【関連リンク】
財団法人流通開発センター
国際標準規格であるEPCを使うことによって、サプライヤとリテール間のクローズシステムではなく、他システムでも応用できる可能性が広がります。
スラップ&シップを実現するためのポイント
スラップ&シップはRFIDタグを張ることが目的ですが、それ以外にも次の機能が必要です。
マスターデータ管理
EPC発行
RFIDラベル印刷
タグ情報関連付け
出荷確認
●マスターデータ管理
RFIDラベルを印刷するには、さまざまなマスターデータを管理しなければなりません。企業コード、製品コード、資産コード、シリアル管理項目、ラベルプリンタに印刷するフォーマットなどを事前に定義し、データベース上で管理します。
製品や資産に関係する情報は、既存システムの情報を活用することもあります。商品管理データベースから必要なデータを抽出し、スラップ&シップアプリケーションにインポートしてマスターデータを管理します。
●EPC発行
EPCglobalが定める「Tag Data Standard」仕様に基づきコード変換し、SSCCやSGTINなどのEPCを作成します。
データ変換は、仕様書を参照すれば理解できますが、図例に示すSGTIN-96仕様のように物流過程で使用するフィルタリング値の決定やシリアル番号の採番は各企業の判断に委ねられます。正しく運用するためには、企業ごとにEPC作成・管理のための標準規定が必要です。小売業者からガイドラインが提出されている場合は、自社のルールをそれに適合させることも必要です。
【関連リンク】
EPCタグを付けられた物品の交換に関わる技術の標準仕様
●RFIDラベル印刷
RFIDミドルウェアやプリンタベンダが提供しているソフトウェアを使用しRFIDラベルの印刷命令を出します。スタンドアロンの単体印刷アプリケーションを使うのが簡単ですが、データの一元管理や健全性を考慮するならシステム側とデータを同期させることが必要です。
また、ラベルデザインと印刷データを独立させることで管理性が向上します。プリンタベンダが提供するラベルデザインツールを活用して、ラベルをWYSIWYG(What You See Is What You Get)で確認し、そのフォーマットをプリンタに登録することができます。その後、システム側からデータを送信することでプリンタが自動的にフォーマットとデータを融合させてRFIDラベルを印刷します。
ラベルの張り付け作業は自動張り付け機器を使うことも可能ですが、実際には手動で張り付けているケースが多いようです。手動で張り付ける場合、どのタイミングでRFIDラベルを張り付けるかも議論となります。
また、事前にRFIDラベルを印刷しておいて必要なときに張り付けるケースと必要に応じて印刷して張り付けるケースがあります。事前印刷のメリットは、印刷プロセスと実運用プロセスを分離することによって印刷(速度や場所など)に縛られないオペレーションを実現できることです。
一方、必要なときに張り付けるケースのメリットは、個品に記録されているバーコード情報などと同期してコードを発行することができることです。この場合は印刷指示とプリンタ配置の最適場所や印刷時間を含んだ全体最適化も検討する必要があります。
プリンタの可用性と運用性も十分に検討し、単一障害ポイントを発生させないなど、プリンタ回りは十分に考慮して設計する必要があります。
●タグ情報関連付け
対象物と情報の関連付けはRFIDシステムを構築するうえで非常に重要です。関連付けは親子階層の組み合わせになります。
第4回では、輸送単位→コンテナ→パレット、かご車→プラコン、折コン(折り畳みコンテナ)→個装(ケース)の階層を紹介しました。例えば、パレットや折コンにはSSCCを、ケースにはSGTINを適用し、SSCCを親、SGTINを子にした階層を形成します。親子だけでなく孫までの階層もあり、これらをデータベース上で関連付けして管理することが重要です。
関連付けするタイミングも議論となります。RFID Gen2タグを使用すれば一括で読み取れると思われがちですが、実際には読み取れない場合があることや、読み取りたくないタグも読んでしまう場合があります。
自動読み取りが完ぺきでない場合はエラーハンドリングのオペレーションが必要になります。それ以外にもベルトコンベアの速度と調和してタイミングを図ったり、読み取り時間を区切るためにフォトセンサーを入れたり、フォークリフト作業者が読み取るタイミングをリモコンで指示したりするなど個々の現場に合わせたガイドラインが必要となります。
これらの課題についてはマテハン(マテリアルハンドリング)、センサー、PLCデバイスと連携できるRFIDミドルウェア層で対応することができます。
国内の配送センターや倉庫の現状を見ると、ゲート型リーダ/ライタよりもハンドヘルド型リーダ/ライタでオペレーションをするのが現実的なケースも多くなると思います。Gen2対応したハンドヘルドデバイスも市場に出てきたので今後マーケットが活性化してくると思われます。
●出荷確認
小売業者に配送する前に、張られたタグが正しく読み取れ、関連付けが正しいかを検証します。データベース内に格納されている関連付けデータと実際の読み込みデータが正しいかを確認し、正しく出荷されることを確認する機能です。
最終的には、関連付け情報を事前出荷通知(ASN:Advanced Shipping Notice)に含めて小売業者に送信します。小売業者側の受け取りではASNを基に入荷検品を行います。
スラップ&シップに必要なソフトウェア
RFIDラベルを張り付けることで効率化が注目されている一方、実際のスラップ&シップのオペレーションを考えてみると検討すべき課題は少なくないことが分かっていただけたと思います。
スラップ&シップに必要なソフトウェアをまとめると以下のとおりです。
デバイスを制御するRFIDミドルウェア
関連付けやマスターデータを管理するデータベース
オペレーションに必要なスラップ&シップアプリケーション
スモールスタートで始めた先には業界標準技術を採用したシステム間の連携が重要となります。企業間情報交換を促進するための標準化としてEPC Information Services(EPC IS)が期待されています。次回はEPC ISについて説明します。
伊東 英輝
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
Fusion Middleware技術部
RFID&EDAグループ
シニアマネージャー
2006年2月2日
RFIDの技術的な理解は進んだ。これからは、RFIDを使ってどのようなシステムを構築していくべきがが問われる。RFIDシステム構築エンジニアに必要なスキルと知識を解説する(編集部)
近年、日用品、医薬、家電の物流分野において、輸送物にRFIDタグを張り付けることが盛んにトライされています。欧米ではウォルマート(Wal*Mart)など小売業者が先導し、RFIDタグを張り付けて商品を納めるサプライヤ(納入業者)が増えているのが事実です。そのため、コストを掛けずにRFID張り付け要求に対応するソリューションとしてスラップ&シップ(Slap & Ship)が盛んに行われています。
グローバル化が進んだ現在、海外で事業を展開する日本企業も小売業者のRFID張り付け要求に応えなければならないケースが増加しています。そして、この流れは日本の小売業界にもいずれ来るでしょう。そのときに対応できるよう、本稿では小売業者からのRFID張り付け要求を実現するスラップ&シップを説明します。
RFID張り付け要求がある背景
スラップ&シップの説明をする前に、小売業者とサプライヤが行うべき課題の中でスラップ&シップがどの段階のソリューションであるかを理解する必要があります。実際は複数の次元に分類されますが、簡単に考えるために3つのレベルに小売業者とサプライヤの課題を分類します。
レベル1は、小売業者がすぐにROI(投資対効果)を出せるもので、小売業者内物流業務の効率化や流通過程での紛失物削減が含まれます。ここではサプライヤ側のメリットは少なく、サプライヤとしてはできるだけコストを抑えてRFID張り付け要求に応えたいと考えます。ここに今回説明するスラップ&シップのソリューションを適用します。
レベル2は、サプライヤもメリットを得られる段階です。ここでは、サプライヤを含んだ物流の効率化や小売業者との情報交換によって生じるさまざまな価値を見いだすことができます。例えば、小売業者ときめ細かな商品売上データを共有するなど、製造から販売に至るまでの物流改革によって在庫の可視化と適正在庫の管理を行うことができます。その結果、欠品率削減による売上機会損失の最少化だけでなく需要に応じた製造計画が可能になります。
このレベルでは、サプライヤの物流をRFIDに対応させるために、既存システムをRFIDミドルウェアと連携する必要があります。小売業者とリアルタイムに情報を共有するためには、既存システムをイベント駆動型アーキテクチャ(EDA)に移行する必要も出てきます。
レベル3は、小売業者とサプライヤが「1:1」の関係ではなく「N:N」の関係を構築し、業界全体でメリットが得られる段階です。例えば、EPCglobalネットワークを利用したシステムを構築して商品のトレーサビリティを行うことや、GDS(Global Data Synchronization)のような単一なデータレポジトリを複数の企業が活用して商品の同期化を行うことです。このレベルでは業界標準技術を採用することが重要であり、EPCglobal規格ではEPC ISとの連携が重要になります。
将来的には、RFIDタグの利用が商品を販売で終了せず、販売後にも応用されると思われます。例えば、製品に安全上の瑕疵(かし)があっても流通経路を特定して消費者の安全を確保することや、修理、リサイクル分野にも適用することにより環境に優しい循環型社会に貢献できます。
例えば、家電業界では、小売業者との相乗効果も視野に入れながら、家電電子タグコンソーシアムを設立しました。この団体は、電子タグのユースケースの標準モデルを作成し、積極的に国際標準化に関与し国際競争力を高めることを目指しています。
【関連リンク】
家電電子タグコンソーシアム
レベル3まで考えると、検討ばかりで時間が経過するだけで終わってしまいます。そこで、コストをできるだけ抑えスモールスタートで始めて、前に進むという考え方が重要です。スラップ&シップは、スモールスタートで始めて大きく育てるのに最適なソリューションです。
スラップ&シップの意味
スラップ&シップはなじみがない言葉だと思います。そこで、英和辞典で調べてみました。
Slap ‐ 平手打ち
Ship ‐ 船
平手打ちと船? 船を平手打ち? 全く意味不明ですね。名詞ではなく動詞で調べてみましょう。
Slap ‐ (平手で)ぴしゃりと打つ
Ship ‐ (トラック、列車などで)送る、輸送する、出荷する
どうやらスラップ&シップとは「ぴしゃりと打ち、輸送する」ことだと分かりました。「ぴしゃりと打つ」をさらに理解するために英英辞典で調べてみました。
Slap ‐ to put or stretch something quickly onto a surface:
slapとは「表面上にすばやく何かを置くことや伸ばす」という意味です。何か(Something)をRFIDラベル(RFIDタグを含んだシール)、表面(Surface)を梱包箱や輸送パレット、かご車の表面と理解すると、スラップ&シップは「RFIDラベルをすばやく梱包箱やパレットに張る&出荷する」となります。
つまり、スラップ&シップとは、本格的にRFIDシステムを導入するのではなく、RFID対応を求めている納入先向けに、倉庫や配送センター内で、RFIDタグが埋め込まれたラベルシートを張って出荷することです。RFIDタグは、バーコードラベルの中に含まれていて製品を運ぶパレット、ケースや商品箱に張られます。
タグの張り付けは、業務上、製造過程で自動化すると効率的ですが、製造システム側の変更が求められます。そのため、コスト、スピード、リスクの観点から、多くの企業は出荷段階で対応できるスラップ&シップを採用しています。
以下の図は、商品物流の中におけるスラップ&シップの適用範囲を図で示したものです。RFID張り付けを要求している小売業者向けに配送する販売物流センターなどで実施します。
業界標準のEPCコードを使う
RFIDに書き込むIDには、小売業者の指示によりEPC(Electronic Product Code)を使うことが多いようです。EPCは、EPCglobalが定めた国際標準規格であり、参加企業ごとにシリアル管理できるコードとして使用できます。
EPCは目的に応じてコード体系が定められており、SSCC、SGTIN、GRAIなどがあります。例えば、SGTINは個品に、SSCCはパレットに、GRAIは再利用可能な資産に付けます。EPCには各企業に割り当てられるマネージャ番号があり、EPCを使ってシリアル管理したい企業はEPCglobalに加入する必要があります。日本では、(財)流通開発センターが窓口になります。
【関連リンク】
財団法人流通開発センター
国際標準規格であるEPCを使うことによって、サプライヤとリテール間のクローズシステムではなく、他システムでも応用できる可能性が広がります。
スラップ&シップを実現するためのポイント
スラップ&シップはRFIDタグを張ることが目的ですが、それ以外にも次の機能が必要です。
マスターデータ管理
EPC発行
RFIDラベル印刷
タグ情報関連付け
出荷確認
●マスターデータ管理
RFIDラベルを印刷するには、さまざまなマスターデータを管理しなければなりません。企業コード、製品コード、資産コード、シリアル管理項目、ラベルプリンタに印刷するフォーマットなどを事前に定義し、データベース上で管理します。
製品や資産に関係する情報は、既存システムの情報を活用することもあります。商品管理データベースから必要なデータを抽出し、スラップ&シップアプリケーションにインポートしてマスターデータを管理します。
●EPC発行
EPCglobalが定める「Tag Data Standard」仕様に基づきコード変換し、SSCCやSGTINなどのEPCを作成します。
データ変換は、仕様書を参照すれば理解できますが、図例に示すSGTIN-96仕様のように物流過程で使用するフィルタリング値の決定やシリアル番号の採番は各企業の判断に委ねられます。正しく運用するためには、企業ごとにEPC作成・管理のための標準規定が必要です。小売業者からガイドラインが提出されている場合は、自社のルールをそれに適合させることも必要です。
【関連リンク】
EPCタグを付けられた物品の交換に関わる技術の標準仕様
●RFIDラベル印刷
RFIDミドルウェアやプリンタベンダが提供しているソフトウェアを使用しRFIDラベルの印刷命令を出します。スタンドアロンの単体印刷アプリケーションを使うのが簡単ですが、データの一元管理や健全性を考慮するならシステム側とデータを同期させることが必要です。
また、ラベルデザインと印刷データを独立させることで管理性が向上します。プリンタベンダが提供するラベルデザインツールを活用して、ラベルをWYSIWYG(What You See Is What You Get)で確認し、そのフォーマットをプリンタに登録することができます。その後、システム側からデータを送信することでプリンタが自動的にフォーマットとデータを融合させてRFIDラベルを印刷します。
ラベルの張り付け作業は自動張り付け機器を使うことも可能ですが、実際には手動で張り付けているケースが多いようです。手動で張り付ける場合、どのタイミングでRFIDラベルを張り付けるかも議論となります。
また、事前にRFIDラベルを印刷しておいて必要なときに張り付けるケースと必要に応じて印刷して張り付けるケースがあります。事前印刷のメリットは、印刷プロセスと実運用プロセスを分離することによって印刷(速度や場所など)に縛られないオペレーションを実現できることです。
一方、必要なときに張り付けるケースのメリットは、個品に記録されているバーコード情報などと同期してコードを発行することができることです。この場合は印刷指示とプリンタ配置の最適場所や印刷時間を含んだ全体最適化も検討する必要があります。
プリンタの可用性と運用性も十分に検討し、単一障害ポイントを発生させないなど、プリンタ回りは十分に考慮して設計する必要があります。
●タグ情報関連付け
対象物と情報の関連付けはRFIDシステムを構築するうえで非常に重要です。関連付けは親子階層の組み合わせになります。
第4回では、輸送単位→コンテナ→パレット、かご車→プラコン、折コン(折り畳みコンテナ)→個装(ケース)の階層を紹介しました。例えば、パレットや折コンにはSSCCを、ケースにはSGTINを適用し、SSCCを親、SGTINを子にした階層を形成します。親子だけでなく孫までの階層もあり、これらをデータベース上で関連付けして管理することが重要です。
関連付けするタイミングも議論となります。RFID Gen2タグを使用すれば一括で読み取れると思われがちですが、実際には読み取れない場合があることや、読み取りたくないタグも読んでしまう場合があります。
自動読み取りが完ぺきでない場合はエラーハンドリングのオペレーションが必要になります。それ以外にもベルトコンベアの速度と調和してタイミングを図ったり、読み取り時間を区切るためにフォトセンサーを入れたり、フォークリフト作業者が読み取るタイミングをリモコンで指示したりするなど個々の現場に合わせたガイドラインが必要となります。
これらの課題についてはマテハン(マテリアルハンドリング)、センサー、PLCデバイスと連携できるRFIDミドルウェア層で対応することができます。
国内の配送センターや倉庫の現状を見ると、ゲート型リーダ/ライタよりもハンドヘルド型リーダ/ライタでオペレーションをするのが現実的なケースも多くなると思います。Gen2対応したハンドヘルドデバイスも市場に出てきたので今後マーケットが活性化してくると思われます。
●出荷確認
小売業者に配送する前に、張られたタグが正しく読み取れ、関連付けが正しいかを検証します。データベース内に格納されている関連付けデータと実際の読み込みデータが正しいかを確認し、正しく出荷されることを確認する機能です。
最終的には、関連付け情報を事前出荷通知(ASN:Advanced Shipping Notice)に含めて小売業者に送信します。小売業者側の受け取りではASNを基に入荷検品を行います。
スラップ&シップに必要なソフトウェア
RFIDラベルを張り付けることで効率化が注目されている一方、実際のスラップ&シップのオペレーションを考えてみると検討すべき課題は少なくないことが分かっていただけたと思います。
スラップ&シップに必要なソフトウェアをまとめると以下のとおりです。
デバイスを制御するRFIDミドルウェア
関連付けやマスターデータを管理するデータベース
オペレーションに必要なスラップ&シップアプリケーション
スモールスタートで始めた先には業界標準技術を採用したシステム間の連携が重要となります。企業間情報交換を促進するための標準化としてEPC Information Services(EPC IS)が期待されています。次回はEPC ISについて説明します。