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三河インテリア 三河産地のカーテン 受注減深刻 次の一手は? 周辺商品戦略重要に
住空間やホームファニシング分野の家庭内繊維品も衣料品と同様に、海外品が大勢を占め始めており、それが産地受注の絶対量不足につながってきている。住空間商品の一翼を担うカーテンもその例に漏れない。産地は大手カーテンブランドメーカー(カーテン専業ブランドメーカー)のOEM(相手先ブランドによる生産)を主力に、どちらかと言えば受身産地として育ってきた。それだけに受注減への対策は容易でない。最近はカーテン単体では商いにつながりにくくなった。それだけにカーテンとしての新提案だけでなく、周辺商品とのセットアップなどを考慮した戦略が重要となる。2月から5月にかけてはカーテンクロス生産の最盛期を迎えるが、産元各社は次の一手を編み出そうと工夫を凝らしているのが現況だ。産地のカーテンクロスの現況を見るとともに明日の展望を試みた。
産元の企業価値向上へ 基本から再点検の機運
カーテンだけでなく、産地の主要商品の一つである産業資材分野でも糸高を吸収できず、糸高は産元の収益性を低下させている。これをどう解決するかが当面の課題になっている。
インテリア産元によると、ポリエステル長繊維の糸値は05年後半から06年にかけて数次にわたって値上げが行われた。原油高騰によってナフサ価格が上がり、糸値に転嫁されたものである。
ポリエステル100%長繊維糸だけでなく、産資に使われるポリエステル・レーヨン混糸もしかりである。カーテンの場合、専業のブック(見本帳)に採用され、小売価格(参考上代)が一度明示されると、それが更新または廃番になるまで価格変更は不可能に近い。
糸値や諸加工賃が上がったからという理由でブックに掲載した価格の修正を申し入れても、原則的には認められない。そこに、産元の深刻な悩みがある。供給をストップさせてでも価格修正を実現させるべきという声があるが、ブックに採用されて、継続的に売れる商品の供給をストップさせることは、次のビジネスを失う行為に等しい。
産資にしても、合皮メーカーやスポーツメーカー、カバン、靴業界――などへのルートがある程度確立されているだけに難しい。例えば、合皮は自動車関連業種に納入されるケースが多いという具合だ。
継続品の値上げは極めて難しい。それでは、産元としてどう対応していくのか。新商品に切り替えて、新価格体系でのビジネスを模索することも考えられる。しかし、継続品があって、そこに新商品がプラスされるのであって、すべて新商品にすることは、現実的には無理がある。
当産地の産元では今、それだけに、継続品の価格修正をいかに取引相手先に求めていくかが大命題となっている。「集中と選択」で、利益の出ないもの、損益分岐点を下回るものは受注しないというのでは、商量が大きく落ち込んでいく。粘り強く取引先とのネゴを重ねていくとか、そうした商品を廃番にして、新しい商品を組み込んでいくことなどが考えられる手法だろう。
利益率(荒利率)に対する産元各社の声を集約すると、06年1年間で、糸値、加工賃などを含めた産元総コストは、05年に比べて、2%前後上昇した。その2%を産地元売り価格に転嫁できていないことが、06年の産元の収益を圧迫したと言える。
A産元の場合、荒利率は20~25%必要なのに対して、最近は19%見当という。この“差”が、収益を圧迫しているわけだ。また、B産元では、年間取扱高(売上高)が05年の横ばいであるにもかかわらず、収益が上がらなかった。糸高や、その他加工賃上昇分がマイナスに働き、売り上げ横ばい、利益減となった。
この辺りの問題を、具体的にどう解決していくのか。それは、産元個々の戦略・戦術にかかってくる問題なので、なかなか明らかにはされない。しかし、各産元の意見を集約すると、次のような案が浮かび上がる。
(1)カーテン依存度を低くする(2)素材メーカーとの素材開発、ルート開発などでのより一層のコラボレーション(3)インテリア周辺商品のテーブルセンター、テーブルクロス、いす張りなどの拡大(4)品質第一主義の徹底(5)売り上げ減に歯止めをかけ売り上げ増大へシフトする体制作り(6)回転率の向上と徹底した在庫管理(7)新規ユーザーの開拓(8)自販ビジネスの模索――などである。
これらの幾つかを組み合わせることによって、産元の企業価値を高め、収益性の改善を図っていこうという考え方だ。いずれも、産元としての基本、原点をもう一度再点検することの重要性を意識したものと言えよう。
織布 若手台頭に期待 発注者へメリット供与を
織布業界では今、「生き残り」、「夢のある織布企業の構築」などが課題となっている。織布企業は「織る」だけでは絶対に生き残れない。準備―染色など、関連川中業種との連携がなければ生き残れない。
それだけに準備のサイジングや経通し、あるいはテキスタイルを加工する染色とのコラボレーションは欠くことができない。さらに、織布企業の有機的な結合、他産地との連携など、生き残るために、幾つかの手法が考えられる。
そうしたなかで、三河(蒲郡)産地にある機業の若手(2世・3世)は織布事業をどう守り、育てていこうとしているのか。20代後半、30代、40代前半といった若手が今、何らかの「仕掛け」をしていかなくては、次のビジョンを生み出せないのではないか。三河(蒲郡)産地の若手は、ジャカード(生地含む)をベースにした織布企業に多い。
また、三河(蒲郡)産地の青年部の活躍にも期待が集まっている。第42回綿工連青年部全国大会(大阪)に出席した、永山織布、中瀬織布、石川織布、丸奈、ヤママキ織布の若手メンバーは、次世代に織布を引き継ぐ夢を持っている。今回は出席しなかったが、市川織布、丸東繊維工業にも、次代の産地リーダーになる資質を有した若手がいる
ジャカード機屋、生地機屋ともに、「産元」依存度が高い体質は、西脇、遠州、福田天竜社地区などと同様だ。しかし、どの産地の産元も自産地の織布スペースを守り、維持運営していくのは、なかなか難しい状況にある。“脱産元”では決してなく、産元からの受注減をどうリカバリーしていくかを模索していく必要があるだろう。
これは、三河(蒲郡)産地だけの問題ではない。三河(蒲郡)のメーン商品は、インテリア・カーテンである。インテリア・カーテンクロスといえども、海外品の流入が激しく、すでに産地の一定部分は席けんされてしまったのではないか、との声も耳にする。
すでにジャカードの並吊(つ)りレギュラー品については、産地回帰は考えられない状況にある。この分野をどう補完するのか、ジャカードで産資分野を目指すのか、あるいは衣料に挑戦するのか、さらには全く新しい発想で商品作りを行うのか。様々な仕掛けは思い付くが、どれをとっても織布単独では決してできないことだ。
誰とコラボレーションして、どう仕掛けていくかが問題である。産地内での、織布、染色、二次製品産元のコラボが一つのヒントになりそうである。
西尾地区の染色加工場、蒲郡地区の織布、生地テキスタイル商、同地の二次製品産元の組み合わせはユニークである。蒲郡の織布と生地テキスタイル商は一人のオーナーが運営する。この3社の経営者は30代前半~30代後半の30代トリオだ。商材などコラボの詳細は明らかにできないが、そうした取り組み手法は参考になる。
また、織布が自分で作ったものを自分で販売していくリテイラービジネスの組み立てもある。賃織では、自産地受注が減った分を他産地から受注して補完するというスタイルの機業もある。
機屋は単なる緯糸通し屋では存続し得えず、納期・品質の確保も今では当たり前のことである。発注者にメリットを供与できる機業、それが「生き残れる最大のポイント」と言えるだろう。
住空間やホームファニシング分野の家庭内繊維品も衣料品と同様に、海外品が大勢を占め始めており、それが産地受注の絶対量不足につながってきている。住空間商品の一翼を担うカーテンもその例に漏れない。産地は大手カーテンブランドメーカー(カーテン専業ブランドメーカー)のOEM(相手先ブランドによる生産)を主力に、どちらかと言えば受身産地として育ってきた。それだけに受注減への対策は容易でない。最近はカーテン単体では商いにつながりにくくなった。それだけにカーテンとしての新提案だけでなく、周辺商品とのセットアップなどを考慮した戦略が重要となる。2月から5月にかけてはカーテンクロス生産の最盛期を迎えるが、産元各社は次の一手を編み出そうと工夫を凝らしているのが現況だ。産地のカーテンクロスの現況を見るとともに明日の展望を試みた。
産元の企業価値向上へ 基本から再点検の機運
カーテンだけでなく、産地の主要商品の一つである産業資材分野でも糸高を吸収できず、糸高は産元の収益性を低下させている。これをどう解決するかが当面の課題になっている。
インテリア産元によると、ポリエステル長繊維の糸値は05年後半から06年にかけて数次にわたって値上げが行われた。原油高騰によってナフサ価格が上がり、糸値に転嫁されたものである。
ポリエステル100%長繊維糸だけでなく、産資に使われるポリエステル・レーヨン混糸もしかりである。カーテンの場合、専業のブック(見本帳)に採用され、小売価格(参考上代)が一度明示されると、それが更新または廃番になるまで価格変更は不可能に近い。
糸値や諸加工賃が上がったからという理由でブックに掲載した価格の修正を申し入れても、原則的には認められない。そこに、産元の深刻な悩みがある。供給をストップさせてでも価格修正を実現させるべきという声があるが、ブックに採用されて、継続的に売れる商品の供給をストップさせることは、次のビジネスを失う行為に等しい。
産資にしても、合皮メーカーやスポーツメーカー、カバン、靴業界――などへのルートがある程度確立されているだけに難しい。例えば、合皮は自動車関連業種に納入されるケースが多いという具合だ。
継続品の値上げは極めて難しい。それでは、産元としてどう対応していくのか。新商品に切り替えて、新価格体系でのビジネスを模索することも考えられる。しかし、継続品があって、そこに新商品がプラスされるのであって、すべて新商品にすることは、現実的には無理がある。
当産地の産元では今、それだけに、継続品の価格修正をいかに取引相手先に求めていくかが大命題となっている。「集中と選択」で、利益の出ないもの、損益分岐点を下回るものは受注しないというのでは、商量が大きく落ち込んでいく。粘り強く取引先とのネゴを重ねていくとか、そうした商品を廃番にして、新しい商品を組み込んでいくことなどが考えられる手法だろう。
利益率(荒利率)に対する産元各社の声を集約すると、06年1年間で、糸値、加工賃などを含めた産元総コストは、05年に比べて、2%前後上昇した。その2%を産地元売り価格に転嫁できていないことが、06年の産元の収益を圧迫したと言える。
A産元の場合、荒利率は20~25%必要なのに対して、最近は19%見当という。この“差”が、収益を圧迫しているわけだ。また、B産元では、年間取扱高(売上高)が05年の横ばいであるにもかかわらず、収益が上がらなかった。糸高や、その他加工賃上昇分がマイナスに働き、売り上げ横ばい、利益減となった。
この辺りの問題を、具体的にどう解決していくのか。それは、産元個々の戦略・戦術にかかってくる問題なので、なかなか明らかにはされない。しかし、各産元の意見を集約すると、次のような案が浮かび上がる。
(1)カーテン依存度を低くする(2)素材メーカーとの素材開発、ルート開発などでのより一層のコラボレーション(3)インテリア周辺商品のテーブルセンター、テーブルクロス、いす張りなどの拡大(4)品質第一主義の徹底(5)売り上げ減に歯止めをかけ売り上げ増大へシフトする体制作り(6)回転率の向上と徹底した在庫管理(7)新規ユーザーの開拓(8)自販ビジネスの模索――などである。
これらの幾つかを組み合わせることによって、産元の企業価値を高め、収益性の改善を図っていこうという考え方だ。いずれも、産元としての基本、原点をもう一度再点検することの重要性を意識したものと言えよう。
織布 若手台頭に期待 発注者へメリット供与を
織布業界では今、「生き残り」、「夢のある織布企業の構築」などが課題となっている。織布企業は「織る」だけでは絶対に生き残れない。準備―染色など、関連川中業種との連携がなければ生き残れない。
それだけに準備のサイジングや経通し、あるいはテキスタイルを加工する染色とのコラボレーションは欠くことができない。さらに、織布企業の有機的な結合、他産地との連携など、生き残るために、幾つかの手法が考えられる。
そうしたなかで、三河(蒲郡)産地にある機業の若手(2世・3世)は織布事業をどう守り、育てていこうとしているのか。20代後半、30代、40代前半といった若手が今、何らかの「仕掛け」をしていかなくては、次のビジョンを生み出せないのではないか。三河(蒲郡)産地の若手は、ジャカード(生地含む)をベースにした織布企業に多い。
また、三河(蒲郡)産地の青年部の活躍にも期待が集まっている。第42回綿工連青年部全国大会(大阪)に出席した、永山織布、中瀬織布、石川織布、丸奈、ヤママキ織布の若手メンバーは、次世代に織布を引き継ぐ夢を持っている。今回は出席しなかったが、市川織布、丸東繊維工業にも、次代の産地リーダーになる資質を有した若手がいる
ジャカード機屋、生地機屋ともに、「産元」依存度が高い体質は、西脇、遠州、福田天竜社地区などと同様だ。しかし、どの産地の産元も自産地の織布スペースを守り、維持運営していくのは、なかなか難しい状況にある。“脱産元”では決してなく、産元からの受注減をどうリカバリーしていくかを模索していく必要があるだろう。
これは、三河(蒲郡)産地だけの問題ではない。三河(蒲郡)のメーン商品は、インテリア・カーテンである。インテリア・カーテンクロスといえども、海外品の流入が激しく、すでに産地の一定部分は席けんされてしまったのではないか、との声も耳にする。
すでにジャカードの並吊(つ)りレギュラー品については、産地回帰は考えられない状況にある。この分野をどう補完するのか、ジャカードで産資分野を目指すのか、あるいは衣料に挑戦するのか、さらには全く新しい発想で商品作りを行うのか。様々な仕掛けは思い付くが、どれをとっても織布単独では決してできないことだ。
誰とコラボレーションして、どう仕掛けていくかが問題である。産地内での、織布、染色、二次製品産元のコラボが一つのヒントになりそうである。
西尾地区の染色加工場、蒲郡地区の織布、生地テキスタイル商、同地の二次製品産元の組み合わせはユニークである。蒲郡の織布と生地テキスタイル商は一人のオーナーが運営する。この3社の経営者は30代前半~30代後半の30代トリオだ。商材などコラボの詳細は明らかにできないが、そうした取り組み手法は参考になる。
また、織布が自分で作ったものを自分で販売していくリテイラービジネスの組み立てもある。賃織では、自産地受注が減った分を他産地から受注して補完するというスタイルの機業もある。
機屋は単なる緯糸通し屋では存続し得えず、納期・品質の確保も今では当たり前のことである。発注者にメリットを供与できる機業、それが「生き残れる最大のポイント」と言えるだろう。
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「Dell 2.0」への道のり-大改革に取り組むDell
高成長を誇ってきた米Dellが大きな曲がり角を迎えている。直販モデルの強さを世界に証明し、PC業界の雄を自負してきた同社だが、ここ数年の間に表面化した陰りで、大きな戦略転換を迫られている。Dellは新年早々にCEO更迭、創業者の再登板という“荒療治”を行い、急ピッチで改革に取り組んでいる。
昨年はDellにとって散々な年だった。顧客サービスへの不満が噴出し、第3四半期には約3年ぶりにPC市場のシェア首位から転落、米Hewlett-Packardに逆転された。Dellはこうした事態に対応するため、サポートの強化や新興市場への進出、AMDプロセッサのPCへの採用などを内容とする「Dell 2.0」構想を9月に発表。Kevin Rollins CEOの下で改革に着手した。Rollins氏は創業者Michael Dell氏の10年来のパートナーで、2004年にDell氏からCEO職を引き継いだあと、2人は「Two-in-a-box」と呼ばれた分業体制を敷いてきた。
しかし、Dell氏は1月末、Rollins氏のCEO・取締役辞任を発表、自らCEOに復帰して改革を進めることを明らかにした。米Business Week誌によると、今回のDell氏の復職の背景には、軌道修正を人まかせにできないと判断したDell氏の強い意向があるという。
Dell氏は就任の2日後、従業員に電子メールを送って、大規模な刷新を行っていく決意を表明している。AP通信などが伝えたメールの内容を見ると、当面の改革の柱は、1)外部からの人材起用によるリフレッシュ、2)経営の合理化、の2つとなるようだ。
新しい経営陣を見てみよう。2月14日、Dellはグローバル・オペレーションの責任者に米SolectronのCEO、Michael Cannon氏が就任することを発表した。16日には米Motorolaの携帯電話事業部トップのRon Garriques氏をグローバル・コンシューマの責任者に招いている。いずれも新設部門で、Dell氏はこのほか、最高マーケティング責任者(CMO)というポストを新設する方針を明らかにしている。
このメールは、Dell氏が外部からの起用にこだわる理由も明らかにしている。「Dellには優秀な人材がいるが、新しい敵も生まれている。それは、官僚主義だ。この官僚主義はわれわれの資金を浪費し、スピードを鈍化させている」というのだ。Dell氏は、新しい風を吹き込んで、官僚主義を一掃することを狙っているのである。
合理化では、一連の組織改革により、現在22人いる経営幹部数を12人に減らすなど、経営をスリム化する。Dell氏はメールで従業員のボーナスをカットすることも明言しており、今後はリストラもあるかもしれない。
事業面では、オペレーションの合理化、コンシューマへのフォーカス、地域の拡大などが改革のキーワードとなりそうだ。製造・調達を統括するグローバル・オペレーションを率いることになるCannon氏は、電子機器の製造受託サービス会社であるSolectronの経験でサプライチェーンを熟知している。Solectronの前には米MaxtorのCEOを務め、両社の経営を好転させた。今回の抜擢は、サプライチェーンの知識と経営手腕を買われてのことだ。
コンシューマ分野は、Dellにとって大きなチャレンジとなる。Dellは法人分野に強く、現在、コンシューマ分野は売上高の15%程度を占めるに過ぎない。この市場を担当することになったGarriques氏は、Motorolaで薄型携帯電話「RAZR」ラインを送り出し、同社の携帯電話シェアを2位に引き戻した実績がある。
地域的な拡大は、両者それぞれに与えられた使命となる。Dellは本拠地の北米市場では強いが、PCの需要は新興市場に拡大・移行している。Dell氏が新事業部に「グローバル」の名を冠したことは、北米市場以外の比率を高くしようとする同氏の狙いを表しているといえる。
このように人事発表を立て続けに行いながら、2月16日には、顧客向けサービスとして「Dell IdeaStorm」と「StudioDell」も発表した。これらのサービスは、ネットを利用して、顧客同士が情報を交換したり、顧客の声を製品設計に反映させるためのもので、以前から課題とされてきたサービス改善の対策である。
Dellは次々と改革を実行に移しているが、それがすぐに軌道に乗るかどうかは不透明だ。同社は昨年噴出した不正会計疑惑で米証券取引委員会(SEC)の調査を受けており、NASDAQからは上場廃止勧告も受けている。これらの問題はまだ未解決だ。また、Dell 2.0の成功には、合理化、グローバル化以外の決め手も必要となるだろう。
もちろん、Dell 2.0への道のりが険しいことは、Dell氏自身も承知している。Dell氏は先の電子メールで、「今後数四半期は、楽ではないだろう」と記し、従業員に長期戦の覚悟を呼びかけている。「一夜にしてこうした状況に陥ったのではない。一夜にしてこれを修復することもできない」。この言葉を最も強くかみ締めているのはDell氏自身かもしれない。
高成長を誇ってきた米Dellが大きな曲がり角を迎えている。直販モデルの強さを世界に証明し、PC業界の雄を自負してきた同社だが、ここ数年の間に表面化した陰りで、大きな戦略転換を迫られている。Dellは新年早々にCEO更迭、創業者の再登板という“荒療治”を行い、急ピッチで改革に取り組んでいる。
昨年はDellにとって散々な年だった。顧客サービスへの不満が噴出し、第3四半期には約3年ぶりにPC市場のシェア首位から転落、米Hewlett-Packardに逆転された。Dellはこうした事態に対応するため、サポートの強化や新興市場への進出、AMDプロセッサのPCへの採用などを内容とする「Dell 2.0」構想を9月に発表。Kevin Rollins CEOの下で改革に着手した。Rollins氏は創業者Michael Dell氏の10年来のパートナーで、2004年にDell氏からCEO職を引き継いだあと、2人は「Two-in-a-box」と呼ばれた分業体制を敷いてきた。
しかし、Dell氏は1月末、Rollins氏のCEO・取締役辞任を発表、自らCEOに復帰して改革を進めることを明らかにした。米Business Week誌によると、今回のDell氏の復職の背景には、軌道修正を人まかせにできないと判断したDell氏の強い意向があるという。
Dell氏は就任の2日後、従業員に電子メールを送って、大規模な刷新を行っていく決意を表明している。AP通信などが伝えたメールの内容を見ると、当面の改革の柱は、1)外部からの人材起用によるリフレッシュ、2)経営の合理化、の2つとなるようだ。
新しい経営陣を見てみよう。2月14日、Dellはグローバル・オペレーションの責任者に米SolectronのCEO、Michael Cannon氏が就任することを発表した。16日には米Motorolaの携帯電話事業部トップのRon Garriques氏をグローバル・コンシューマの責任者に招いている。いずれも新設部門で、Dell氏はこのほか、最高マーケティング責任者(CMO)というポストを新設する方針を明らかにしている。
このメールは、Dell氏が外部からの起用にこだわる理由も明らかにしている。「Dellには優秀な人材がいるが、新しい敵も生まれている。それは、官僚主義だ。この官僚主義はわれわれの資金を浪費し、スピードを鈍化させている」というのだ。Dell氏は、新しい風を吹き込んで、官僚主義を一掃することを狙っているのである。
合理化では、一連の組織改革により、現在22人いる経営幹部数を12人に減らすなど、経営をスリム化する。Dell氏はメールで従業員のボーナスをカットすることも明言しており、今後はリストラもあるかもしれない。
事業面では、オペレーションの合理化、コンシューマへのフォーカス、地域の拡大などが改革のキーワードとなりそうだ。製造・調達を統括するグローバル・オペレーションを率いることになるCannon氏は、電子機器の製造受託サービス会社であるSolectronの経験でサプライチェーンを熟知している。Solectronの前には米MaxtorのCEOを務め、両社の経営を好転させた。今回の抜擢は、サプライチェーンの知識と経営手腕を買われてのことだ。
コンシューマ分野は、Dellにとって大きなチャレンジとなる。Dellは法人分野に強く、現在、コンシューマ分野は売上高の15%程度を占めるに過ぎない。この市場を担当することになったGarriques氏は、Motorolaで薄型携帯電話「RAZR」ラインを送り出し、同社の携帯電話シェアを2位に引き戻した実績がある。
地域的な拡大は、両者それぞれに与えられた使命となる。Dellは本拠地の北米市場では強いが、PCの需要は新興市場に拡大・移行している。Dell氏が新事業部に「グローバル」の名を冠したことは、北米市場以外の比率を高くしようとする同氏の狙いを表しているといえる。
このように人事発表を立て続けに行いながら、2月16日には、顧客向けサービスとして「Dell IdeaStorm」と「StudioDell」も発表した。これらのサービスは、ネットを利用して、顧客同士が情報を交換したり、顧客の声を製品設計に反映させるためのもので、以前から課題とされてきたサービス改善の対策である。
Dellは次々と改革を実行に移しているが、それがすぐに軌道に乗るかどうかは不透明だ。同社は昨年噴出した不正会計疑惑で米証券取引委員会(SEC)の調査を受けており、NASDAQからは上場廃止勧告も受けている。これらの問題はまだ未解決だ。また、Dell 2.0の成功には、合理化、グローバル化以外の決め手も必要となるだろう。
もちろん、Dell 2.0への道のりが険しいことは、Dell氏自身も承知している。Dell氏は先の電子メールで、「今後数四半期は、楽ではないだろう」と記し、従業員に長期戦の覚悟を呼びかけている。「一夜にしてこうした状況に陥ったのではない。一夜にしてこれを修復することもできない」。この言葉を最も強くかみ締めているのはDell氏自身かもしれない。
ERP、SCM、CRMの次に打つべき“一手” -データ活用がビジネスを変える-
ERPやSCM、CRMなどのビジネスアプリケーション導入は一巡した。ただし、これらのアプリケーションを導入しただけでは経営は変わらない。次の一手として来るビジネスITは何か? 情報マネージャに次の道しるべを示す。(→記事要約へ)
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ERP、SCMやCRMなどのビジネスプロセスを施行するためのシステムは、企業が業務を遂行する上で当然必要となるインフラである。あって当たり前である。ところが、これらのシステムから発生するデータの活用について考える企業は意外に少ない。
「ITを経営に生かす」ということは、単にビジネスプロセスをシステムによって自動化するだけではない。そこからいかに経営に必要な“知恵”を獲得するかということだ。経営に必要な“知恵”、すなわちインテリジェンスを獲得するためのヒントがここにある。
基幹系システムの再構築によるプロセス変革
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多くの大手企業では、基幹系システムの再構築プロジェクトを通じて、ビジネスプロセスの変革を推進している。この潮流は今や中堅企業にも及んできている。
そして、この基幹系システム再構築プロジェクトが採用しているシステム構築方法の多くは、オープン系のアプリケーション・パッケージの採用である。国内におけるERP(Enterprise Resource Planning)パッケージの導入は、1990年代前半のメインフレームからオープンシステム化への流れ、1990年代後半のY2K問題対策の追い風に乗って急速に普及した。
片やSCM(Supply Chain Management)パッケージは、資材の所要量を計画するMRP(Material Requirement Planning)に代わるスケジューリングによって工場内物流をシステム化することからスタートした。そしてインバウンドの資材調達から、アウトバウンドの製品物流における輸・配送を最適化するスケジューリング、さらには需要予測(SCP:Supply Chain Planning)までをカバーしている。また、一企業内のサプライチェーンの最適化のみならず、バリューチェーンを構成する企業間のサプライチェーンの最適化までを視野に入れている。
そして、顧客との直接の接点を持つフロントオフィスアプリケーションであるCRM(Customer Relationship Management)パッケージが、営業支援システムであるSFA(Sales Force Automation)から顧客サポートのためのコールセンター、フィールドサービスまでをシステム化し、さらにはセグメンテーションやパーソナライゼーションによるOne to Oneマーケティングを実現するに至っている。
このERP、SCM、CRMの各パッケージを組み合わせて、計画→調達→生産→販売→物流→アフターフォローといった企業のすべての業務プロセスをカバーできるようになった(図1参照)。
図1 業務プロセスの自動化とデータの活用
何がERPで何がSCMか?
ERPはバックオフィスの業務を守備範囲とし、CRMはフロントオフィス業務をカバーしていることから、ERPとCRMの違いは分かりやすい。
ところが、ERPとSCMの違いとなると、何がどう違うのか混乱している人も多い。どちらも、生産・販売・物流といったバックオフィス系アプリケーションを守備範囲としているからである。その違いを一言でいうと、SCMが「計画系」でERPが「実施系」といえる。
計画系と実施系という性格の違いから、本社サイドではSCMプロジェクトを推進し、事業部サイド(工場サイド)ではERPプロジェクトの推進を担当するケースが多い。そして各プロジェクトは、その業務範囲の広さやパッケージソフトの膨大さから、2~3年間にわたり数百人がかかわる大プロジェクトになり、IT予算の大半が費やされているといっても過言ではない。
これらのプロジェクトが始まったきっかけは、各社まちまちであろう。しかしその共通の目的はビジネスプロセスの見直しと業務の再構築である。在庫を減らし、サイクルタイムを短縮し、顧客に価値を提供するためには、プロセスを簡素化し、自動化し、供給パイプラインを短くしなければならない。
プロセス変革の次に来るものはBIの活用
ERPやSCMのパッケージは、ビジネスプロセスの自動化や最適化には向いている。しかし各プロセスで発生するデータを、情報やナレッジとして活用することは守備範囲外だ。またERPやSCMのプロジェクトにかかわる人々は、長期にわたる導入作業に疲弊し、もはやデータを情報として活用することを考える余裕すらない。データ活用のためのシステム化に新たな人材や予算が付かないケースも多い。だが、情報化時代のエクセレント・カンパニーとして勝ち組になるためには、プロセスの自動化や最適化だけでは不十分だ。各ビジネスプロセスで発生し、蓄積されたデータを情報やインテリジェンスとして活用することが大変重要なキーとなる。
過去の労働集約的な企業の経営管理では、従業員を「労働力」としてマネジメントしてきた。今日の企業の経営管理では「知力」としてマネジメントしなければならない。
「労働力」のマネジメントを重要な経営課題として論じたテーラーの「科学的管理法」が発表されたのは100年も前のことである。いまや従業員の頭数で企業力を測ることはできない(表1参照)。
工業化社会 情報化社会
マーケット ベンダ主導 カスタマーエコノミー
経営管理項目 労働力 知力
システム化対象 業務プロセス自動化 データ活用
システム
OLTP BI
表1 IT活用領域の変化
ものを作ったり、売ったり、運んだりはどこの会社でもやっている。休眠会社でない限り、作ったり、売ったり、運んだりする企業活動を通じて付加価値を付け、利益を上げている。問題は「どうしたらもっと良いものを安く作れるか」「どうしたらもっとたくさん売れるか」「どうしたらもっと早く運べるか」「どうしたらもっと顧客満足を得られるか」――この「どうしたら」を考えることが「知力」であり、競争優位のポイントでもある。
ビジネスプロセス再構築と
ナレッジプロセスの構築
「どうしたら」は知ることから始まる。
提供する製品やサービスの評価を知る
自社の顧客を知る
再構築した内部プロセスのパフォーマンスと改善点を知る
業務プロセス遂行の結果としての財務的業績を知る
「知ること」はデータから始まる。データは企業内のどこかにたくさんある。データは活用しなければ、ただのデータのままだ。データは活用されて初めて企業活動全体を可視化する「情報」となり、情報は分析されて「ナレッジ」になり、ナレッジは「どうしたら」を教えてくれる。
このデータの蓄積からナレッジ獲得までのプロセスを「ナレッジプロセス」と呼ぶことにする。一般的にはナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)という概念があるが、KMでは経験とか知識の共有が中心のテーマとなる。ここでは、この知識を獲得するプロセスを問題にしたい。
基幹系業務プロセスのシステム化の次に必要なものは、情報系のナレッジプロセスのシステム化だ。この重要なナレッジプロセスのシステム化のためには、ビジネス・インテリジェンス(BI:Business Intelligence)ツールが必要となる。BIツールにはETL(Extract Transformation&Load)、データマート(DM:Data Mart)、データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)、クエリ/レポーティング/多次元分析ツールなどが含まれる(図2参照)。
図2 BIの構成要素
だが、「無料だから」「OSを買ったら箱に入っていたから」という理由で、基幹系パッケージやOSのユーザライセンスに含まれるBIツールを採用している企業が多いのには驚かされる。もっともこのような企業では、これらのツールがナレッジプロセスとしてではなく、単なる定型のレポーティング・ツールとしてしか生かされていないのも事実だ。
情報系システム導入検討チームの挫折
いま、ナレッジプロセスを構築するためにBIツールの役割や機能を調査・検討すると、代表的適用例や機能としてまず浮かび上がるのが、「意思決定支援システム」(DSS:Decision Support System)と「データマイニング」だ。
ところが、こうした理想的かつ高度なナレッジ活用方法から情報系システムの導入を検討していくと、必ずぶつかる壁がある。「果たして、当社の経営者はデータを活用した意思決定を行うのであろうか?」という疑問や、「社内にはデータマイニングできるような高度な数学モデルを理解できる人間はいない」といった壁だ。この壁を突破しない限り、BIツール導入の予算化もあり得ないことに思い当たる。
既存の基幹系システムでも、そこそこの問い合わせはできるし、ほとんどの場合は基幹系システムから定期的に出力されるレポート類で事足りる。共有すべき情報があれば、新たにレポートの作成を基幹系システムに要求すれば済む。大抵のビジネス上の疑問に対する答えは基幹系システムから得られそうだし、BIツールを駆使してしか答えが得られないようなビジネス・クエッションはなかなか思い付かない。
ましてや基幹系とは異なり、在庫の削減やリードタイムの短縮といった定量的効果を表現しにくい情報系への新たな投資は上申し難いのが通例である。そして情報系システムの必要性を漠然とは感じながらも、論理的に説明できない担当チームは、導入に挫折してしまう。チームが挫折するのは勝手だが、大変な迷惑を被るのは企業そのものであり、その責任は重いことを自覚すべきである。
基幹系システムと情報系システムの役割分担
システムは、高度な使い方から理解しようとするよりも、シンプルに考える方が分かりやすい。そこで、基幹系システムから情報系システムが分離独立していった歴史を考えてみよう。
●役割分担その(1)-クエリ-
基幹系システムでトランザクションを処理していくと、データが記録として残される。このデータを集計したレポート類がバッチ処理で出力される。さらに、「ある製品の在庫残高は?」「ある顧客からの受注は出荷されたのか?」「今月の売り上げ実績は?」といったリアルタイムな単純クエリが基幹系システムによって効率よく処理される。
次に、この基幹系システムのユーザーが要求するものは、「ある製品の1週間後の在庫残高は?」「出荷プライオリティーが1番高い受注残は?」「過去5年分の全支店の製品別売り上げ実績は?」といった高度で複雑な問い合わせである。これらの質問に答えるには、予測や全件検索や複数システムにまたがる履歴データの検索が必要となる。
基幹系システムにとっては高度で複雑な問い合わせでも、これらは何も特別に特殊なビジネス・クエッションではない。DSSやデータマイニングほどでなくても、このくらいの問い合わせは日常業務の中でよく発生する。
また企業の中には、レベルの異なる2種類の意思決定がある。1つは経営陣が下す戦略的で重大な判断。もう1つは、通常の従業員が日常業務の中で行う無数の判断である。後者は戦略的判断というよりも「戦術的判断」であるが、これらの細かな戦術的判断の積み重ねが企業の業績を大きく左右する。
●役割分担その(2)-生データの履歴での保管-
こうしたユーザーの要求に応えるために、基幹系システムに5年分の履歴データを残したり、すべてのテーブルに検索を掛けたり、多くのテーブルをジョインしたりする、高度で複雑なクエリを許すべきだろうか? 企業の全システムの効率を考えた場合、答えは「否」である。
基幹系はトランザクションの高速処理に特化させ、ここで発生したトランザクション・データは別のシステムに移す方が効率的である。データを蓄える専用システムは専用であるから、データは生のまま履歴で保持することが可能になる。生データの履歴にアクセスできる環境が整うと、ドリルダウンができるようになる。また多次元分析やOLAPのような多面的な問い合わせや、複数のテーブルをジョインする複雑クエリも、DSSやデータマイニングも可能になる。
そこで登場するのが情報系のデータウェアハウスだ。複数の基幹系システムで発生したすべてのデータを独立した情報系データベースに定期的に移し、さらに必要な年数分だけの明細データを履歴で保持する。このデータベースに、全件検索や複数テーブルのジョインが発生しても基幹系のトランザクション処理のレスポンスに影響を与えることはまったくない。基幹系システムと情報系システムの役割分担である。
とはいえ、すべてのクエリ業務が情報系のデータウェアハウスに移管されるわけではない。「現在の売り上げは?」「残高は?」といったリアルタイムなクエリは、基幹系システムの役割である。
●役割分担その(3)-レポート-
ではレポート類はどうか? もともとレポートはバッチで処理される。従って、そのデータもバッチで集計されていれば十分である。
レポート出力はシステム資源をそこそこ消費するので、システム全体のパフォーマンスを低下させる。とすれば、定期レポートであれ非定期レポートであれ、すべてのレポート出力業務は基幹系システムから外して、情報系のデータウェアハウスに移す方が得策である。ただし、定型レポート作成自体がデータウェアハウスを導入する目的であると誤解すべきではない(図3参照)。
図3 基幹系システムと情報系システムの役割分担
社内情報の民主化とインテリジェント化
さらに、データは会社のどこかに存在しているものの、それが数多くの異なるシステムにまたがって分散しているため、結局必要としている人の手に入らないのが通常である。
この場合の言い訳として登場するのは、「全情報に全社員がアクセスしてよいのか」「財務的データは一部の人だけに開放されるべき」といったような議論である。このような機密保持を理由に、社員がデータに自由にアクセスできない、あるいは欲しいデータがどこにあるのか分からない状態が放置されることがよくある。
会社の財務状況を社員に見られてしまうといった問題はセキュリティで解決すべき問題であって、こんな目先のデメリットを考えるよりは、すべてのデータを開放し、ここをアクセスすれば必要なデータは必ず見つかるといった環境を用意し、誰にでも使いやすいクエリ/レポーティング/多次元分析ツールを整備し、全従業員の「知力」を向上させる情報の民主化を考えるべきである。(了)
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統合CRMを支える情報基盤
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■要約
ERPやSCM、CRMといったビジネスプロセスを自動化するアプリケーションはもはや「あって当たり前」の時代となった。これらのアプリケーションを組み合わせれば、計画→調達→生産→販売→物流→アフターフォローといった企業の全プロセスをカバーできる。
ただしこれらのITは、あくまでプロセスを効率化させるものだ。勝ち組企業となるためには、こうしたITで処理されたデータをいかに経営に生かすかが重要となる。つまり、基幹業務のビジネスプロセスを再構築し、データを経営ナレッジとして生かすためのナレッジプロセスを確立すること――これが次に来るべきITの姿である。
ナレッジプロセスを確立するには、BIツールの導入が不可欠となる。具体的には、ETLツールやデータウェアハウス、データマート、レポーティングツールなどだ。「ERPパッケージに含まれるBIツールで事足りる」というのは間違いで、基幹系ITには基幹系の、情報系には情報系の役割分担がある。リアルタイムが要求されるような問い合わせに関しては基幹系が適しているし、複数のデータをまたがって検索・分析し、次の戦略に生かすためには専用の情報系システムが必要になる。データの機密性やセキュリティ上の問題から、全社員に情報を開示することを恐れる企業も多いが、それでは会社は変わらない。IT環境を整え、全社員の知力を向上させる「情報の民主化」を考えるべき時なのだ。
ERPやSCM、CRMなどのビジネスアプリケーション導入は一巡した。ただし、これらのアプリケーションを導入しただけでは経営は変わらない。次の一手として来るビジネスITは何か? 情報マネージャに次の道しるべを示す。(→記事要約へ)
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ERP、SCMやCRMなどのビジネスプロセスを施行するためのシステムは、企業が業務を遂行する上で当然必要となるインフラである。あって当たり前である。ところが、これらのシステムから発生するデータの活用について考える企業は意外に少ない。
「ITを経営に生かす」ということは、単にビジネスプロセスをシステムによって自動化するだけではない。そこからいかに経営に必要な“知恵”を獲得するかということだ。経営に必要な“知恵”、すなわちインテリジェンスを獲得するためのヒントがここにある。
基幹系システムの再構築によるプロセス変革
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多くの大手企業では、基幹系システムの再構築プロジェクトを通じて、ビジネスプロセスの変革を推進している。この潮流は今や中堅企業にも及んできている。
そして、この基幹系システム再構築プロジェクトが採用しているシステム構築方法の多くは、オープン系のアプリケーション・パッケージの採用である。国内におけるERP(Enterprise Resource Planning)パッケージの導入は、1990年代前半のメインフレームからオープンシステム化への流れ、1990年代後半のY2K問題対策の追い風に乗って急速に普及した。
片やSCM(Supply Chain Management)パッケージは、資材の所要量を計画するMRP(Material Requirement Planning)に代わるスケジューリングによって工場内物流をシステム化することからスタートした。そしてインバウンドの資材調達から、アウトバウンドの製品物流における輸・配送を最適化するスケジューリング、さらには需要予測(SCP:Supply Chain Planning)までをカバーしている。また、一企業内のサプライチェーンの最適化のみならず、バリューチェーンを構成する企業間のサプライチェーンの最適化までを視野に入れている。
そして、顧客との直接の接点を持つフロントオフィスアプリケーションであるCRM(Customer Relationship Management)パッケージが、営業支援システムであるSFA(Sales Force Automation)から顧客サポートのためのコールセンター、フィールドサービスまでをシステム化し、さらにはセグメンテーションやパーソナライゼーションによるOne to Oneマーケティングを実現するに至っている。
このERP、SCM、CRMの各パッケージを組み合わせて、計画→調達→生産→販売→物流→アフターフォローといった企業のすべての業務プロセスをカバーできるようになった(図1参照)。
図1 業務プロセスの自動化とデータの活用
何がERPで何がSCMか?
ERPはバックオフィスの業務を守備範囲とし、CRMはフロントオフィス業務をカバーしていることから、ERPとCRMの違いは分かりやすい。
ところが、ERPとSCMの違いとなると、何がどう違うのか混乱している人も多い。どちらも、生産・販売・物流といったバックオフィス系アプリケーションを守備範囲としているからである。その違いを一言でいうと、SCMが「計画系」でERPが「実施系」といえる。
計画系と実施系という性格の違いから、本社サイドではSCMプロジェクトを推進し、事業部サイド(工場サイド)ではERPプロジェクトの推進を担当するケースが多い。そして各プロジェクトは、その業務範囲の広さやパッケージソフトの膨大さから、2~3年間にわたり数百人がかかわる大プロジェクトになり、IT予算の大半が費やされているといっても過言ではない。
これらのプロジェクトが始まったきっかけは、各社まちまちであろう。しかしその共通の目的はビジネスプロセスの見直しと業務の再構築である。在庫を減らし、サイクルタイムを短縮し、顧客に価値を提供するためには、プロセスを簡素化し、自動化し、供給パイプラインを短くしなければならない。
プロセス変革の次に来るものはBIの活用
ERPやSCMのパッケージは、ビジネスプロセスの自動化や最適化には向いている。しかし各プロセスで発生するデータを、情報やナレッジとして活用することは守備範囲外だ。またERPやSCMのプロジェクトにかかわる人々は、長期にわたる導入作業に疲弊し、もはやデータを情報として活用することを考える余裕すらない。データ活用のためのシステム化に新たな人材や予算が付かないケースも多い。だが、情報化時代のエクセレント・カンパニーとして勝ち組になるためには、プロセスの自動化や最適化だけでは不十分だ。各ビジネスプロセスで発生し、蓄積されたデータを情報やインテリジェンスとして活用することが大変重要なキーとなる。
過去の労働集約的な企業の経営管理では、従業員を「労働力」としてマネジメントしてきた。今日の企業の経営管理では「知力」としてマネジメントしなければならない。
「労働力」のマネジメントを重要な経営課題として論じたテーラーの「科学的管理法」が発表されたのは100年も前のことである。いまや従業員の頭数で企業力を測ることはできない(表1参照)。
工業化社会 情報化社会
マーケット ベンダ主導 カスタマーエコノミー
経営管理項目 労働力 知力
システム化対象 業務プロセス自動化 データ活用
システム
OLTP BI
表1 IT活用領域の変化
ものを作ったり、売ったり、運んだりはどこの会社でもやっている。休眠会社でない限り、作ったり、売ったり、運んだりする企業活動を通じて付加価値を付け、利益を上げている。問題は「どうしたらもっと良いものを安く作れるか」「どうしたらもっとたくさん売れるか」「どうしたらもっと早く運べるか」「どうしたらもっと顧客満足を得られるか」――この「どうしたら」を考えることが「知力」であり、競争優位のポイントでもある。
ビジネスプロセス再構築と
ナレッジプロセスの構築
「どうしたら」は知ることから始まる。
提供する製品やサービスの評価を知る
自社の顧客を知る
再構築した内部プロセスのパフォーマンスと改善点を知る
業務プロセス遂行の結果としての財務的業績を知る
「知ること」はデータから始まる。データは企業内のどこかにたくさんある。データは活用しなければ、ただのデータのままだ。データは活用されて初めて企業活動全体を可視化する「情報」となり、情報は分析されて「ナレッジ」になり、ナレッジは「どうしたら」を教えてくれる。
このデータの蓄積からナレッジ獲得までのプロセスを「ナレッジプロセス」と呼ぶことにする。一般的にはナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)という概念があるが、KMでは経験とか知識の共有が中心のテーマとなる。ここでは、この知識を獲得するプロセスを問題にしたい。
基幹系業務プロセスのシステム化の次に必要なものは、情報系のナレッジプロセスのシステム化だ。この重要なナレッジプロセスのシステム化のためには、ビジネス・インテリジェンス(BI:Business Intelligence)ツールが必要となる。BIツールにはETL(Extract Transformation&Load)、データマート(DM:Data Mart)、データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)、クエリ/レポーティング/多次元分析ツールなどが含まれる(図2参照)。
図2 BIの構成要素
だが、「無料だから」「OSを買ったら箱に入っていたから」という理由で、基幹系パッケージやOSのユーザライセンスに含まれるBIツールを採用している企業が多いのには驚かされる。もっともこのような企業では、これらのツールがナレッジプロセスとしてではなく、単なる定型のレポーティング・ツールとしてしか生かされていないのも事実だ。
情報系システム導入検討チームの挫折
いま、ナレッジプロセスを構築するためにBIツールの役割や機能を調査・検討すると、代表的適用例や機能としてまず浮かび上がるのが、「意思決定支援システム」(DSS:Decision Support System)と「データマイニング」だ。
ところが、こうした理想的かつ高度なナレッジ活用方法から情報系システムの導入を検討していくと、必ずぶつかる壁がある。「果たして、当社の経営者はデータを活用した意思決定を行うのであろうか?」という疑問や、「社内にはデータマイニングできるような高度な数学モデルを理解できる人間はいない」といった壁だ。この壁を突破しない限り、BIツール導入の予算化もあり得ないことに思い当たる。
既存の基幹系システムでも、そこそこの問い合わせはできるし、ほとんどの場合は基幹系システムから定期的に出力されるレポート類で事足りる。共有すべき情報があれば、新たにレポートの作成を基幹系システムに要求すれば済む。大抵のビジネス上の疑問に対する答えは基幹系システムから得られそうだし、BIツールを駆使してしか答えが得られないようなビジネス・クエッションはなかなか思い付かない。
ましてや基幹系とは異なり、在庫の削減やリードタイムの短縮といった定量的効果を表現しにくい情報系への新たな投資は上申し難いのが通例である。そして情報系システムの必要性を漠然とは感じながらも、論理的に説明できない担当チームは、導入に挫折してしまう。チームが挫折するのは勝手だが、大変な迷惑を被るのは企業そのものであり、その責任は重いことを自覚すべきである。
基幹系システムと情報系システムの役割分担
システムは、高度な使い方から理解しようとするよりも、シンプルに考える方が分かりやすい。そこで、基幹系システムから情報系システムが分離独立していった歴史を考えてみよう。
●役割分担その(1)-クエリ-
基幹系システムでトランザクションを処理していくと、データが記録として残される。このデータを集計したレポート類がバッチ処理で出力される。さらに、「ある製品の在庫残高は?」「ある顧客からの受注は出荷されたのか?」「今月の売り上げ実績は?」といったリアルタイムな単純クエリが基幹系システムによって効率よく処理される。
次に、この基幹系システムのユーザーが要求するものは、「ある製品の1週間後の在庫残高は?」「出荷プライオリティーが1番高い受注残は?」「過去5年分の全支店の製品別売り上げ実績は?」といった高度で複雑な問い合わせである。これらの質問に答えるには、予測や全件検索や複数システムにまたがる履歴データの検索が必要となる。
基幹系システムにとっては高度で複雑な問い合わせでも、これらは何も特別に特殊なビジネス・クエッションではない。DSSやデータマイニングほどでなくても、このくらいの問い合わせは日常業務の中でよく発生する。
また企業の中には、レベルの異なる2種類の意思決定がある。1つは経営陣が下す戦略的で重大な判断。もう1つは、通常の従業員が日常業務の中で行う無数の判断である。後者は戦略的判断というよりも「戦術的判断」であるが、これらの細かな戦術的判断の積み重ねが企業の業績を大きく左右する。
●役割分担その(2)-生データの履歴での保管-
こうしたユーザーの要求に応えるために、基幹系システムに5年分の履歴データを残したり、すべてのテーブルに検索を掛けたり、多くのテーブルをジョインしたりする、高度で複雑なクエリを許すべきだろうか? 企業の全システムの効率を考えた場合、答えは「否」である。
基幹系はトランザクションの高速処理に特化させ、ここで発生したトランザクション・データは別のシステムに移す方が効率的である。データを蓄える専用システムは専用であるから、データは生のまま履歴で保持することが可能になる。生データの履歴にアクセスできる環境が整うと、ドリルダウンができるようになる。また多次元分析やOLAPのような多面的な問い合わせや、複数のテーブルをジョインする複雑クエリも、DSSやデータマイニングも可能になる。
そこで登場するのが情報系のデータウェアハウスだ。複数の基幹系システムで発生したすべてのデータを独立した情報系データベースに定期的に移し、さらに必要な年数分だけの明細データを履歴で保持する。このデータベースに、全件検索や複数テーブルのジョインが発生しても基幹系のトランザクション処理のレスポンスに影響を与えることはまったくない。基幹系システムと情報系システムの役割分担である。
とはいえ、すべてのクエリ業務が情報系のデータウェアハウスに移管されるわけではない。「現在の売り上げは?」「残高は?」といったリアルタイムなクエリは、基幹系システムの役割である。
●役割分担その(3)-レポート-
ではレポート類はどうか? もともとレポートはバッチで処理される。従って、そのデータもバッチで集計されていれば十分である。
レポート出力はシステム資源をそこそこ消費するので、システム全体のパフォーマンスを低下させる。とすれば、定期レポートであれ非定期レポートであれ、すべてのレポート出力業務は基幹系システムから外して、情報系のデータウェアハウスに移す方が得策である。ただし、定型レポート作成自体がデータウェアハウスを導入する目的であると誤解すべきではない(図3参照)。
図3 基幹系システムと情報系システムの役割分担
社内情報の民主化とインテリジェント化
さらに、データは会社のどこかに存在しているものの、それが数多くの異なるシステムにまたがって分散しているため、結局必要としている人の手に入らないのが通常である。
この場合の言い訳として登場するのは、「全情報に全社員がアクセスしてよいのか」「財務的データは一部の人だけに開放されるべき」といったような議論である。このような機密保持を理由に、社員がデータに自由にアクセスできない、あるいは欲しいデータがどこにあるのか分からない状態が放置されることがよくある。
会社の財務状況を社員に見られてしまうといった問題はセキュリティで解決すべき問題であって、こんな目先のデメリットを考えるよりは、すべてのデータを開放し、ここをアクセスすれば必要なデータは必ず見つかるといった環境を用意し、誰にでも使いやすいクエリ/レポーティング/多次元分析ツールを整備し、全従業員の「知力」を向上させる情報の民主化を考えるべきである。(了)
関連記事
統合CRMを支える情報基盤
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■要約
ERPやSCM、CRMといったビジネスプロセスを自動化するアプリケーションはもはや「あって当たり前」の時代となった。これらのアプリケーションを組み合わせれば、計画→調達→生産→販売→物流→アフターフォローといった企業の全プロセスをカバーできる。
ただしこれらのITは、あくまでプロセスを効率化させるものだ。勝ち組企業となるためには、こうしたITで処理されたデータをいかに経営に生かすかが重要となる。つまり、基幹業務のビジネスプロセスを再構築し、データを経営ナレッジとして生かすためのナレッジプロセスを確立すること――これが次に来るべきITの姿である。
ナレッジプロセスを確立するには、BIツールの導入が不可欠となる。具体的には、ETLツールやデータウェアハウス、データマート、レポーティングツールなどだ。「ERPパッケージに含まれるBIツールで事足りる」というのは間違いで、基幹系ITには基幹系の、情報系には情報系の役割分担がある。リアルタイムが要求されるような問い合わせに関しては基幹系が適しているし、複数のデータをまたがって検索・分析し、次の戦略に生かすためには専用の情報系システムが必要になる。データの機密性やセキュリティ上の問題から、全社員に情報を開示することを恐れる企業も多いが、それでは会社は変わらない。IT環境を整え、全社員の知力を向上させる「情報の民主化」を考えるべき時なのだ。