SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
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レンタル衣装にクリーニングに耐えるICタグ採用 在庫管理の精度と効率を向上
ウエディング関連衣装のレンタルを手がけるアクア・グラツィエは2006年3月、ウエディングドレスや着物、メンズスーツなど約4000着にICタグを取り付け、その使用状況を管理するシステムを本格導入した。それまで煩雑な手作業で手間がかかっていた在庫管理業務を効率化し、正確性を向上させた。ICタグはクリーニングに耐える製品を採用した。導入費用は約3000万円である。
アクア・グラツィエが扱うレンタル衣装は、動きが激しい商品である。レンタルや修理、クリーニングなどの理由で頻繁に店舗を出入りする。店舗間で商品を融通し合うことも多い。大き目のサイズなどはレンタルの頻度が低いので、複数の店舗で持ち合うことがある。地方間の流行の違いにより、特定のスタイルの商品をまるごと移すこともある。ある地方でははやらない商品を、はやっている地方の店舗に移すのである。
アクア・グラツィエはこうしたレンタル衣装の在庫管理を、台帳ベースの手作業で行っていた。創業5年で店舗数は13店(うち直営店は6店)にまで拡大し、在庫管理の煩雑さは増す一方だった。「修理やクリーニングに出している商品の所在が分からなくなって、探し回ることもあった」(アクア・グラツィエの三浦めぐみ代表取締役)。毎月実施している棚卸しの際にも、大きな手間がかかっていた。衣装の目立たないところに縫い付けているID番号を、一つずつ目視で読み取る必要があった。
ドライクリーニングの薬剤で耐久性を試験
何らかの効率化が必要なことは、創業1年目から分かっていた。しかしシステム導入よりもまずは店舗の拡大を優先し、並行して最適な管理方法を模索していた。
当初は、バーコードベースのシステムを導入する提案を受けていた。しかし「バーコードは安価だが、数十年前からある技術。できるだけ最新技術を使わないと、導入した途端に陳腐化する」(三浦氏)と考えた。そこで、3年ぐらい前に知ったICタグに着目した。「ICタグなら今後の発展性もある」(三浦氏)。しかし当時は紙ラベルやプラスチックカード型のICタグしか見当たらず、適用は難しかった。クリーニングのたびに取り外すような運用では、管理がかえって煩雑になるからである。
そうしたなか、付き合いのあったシステムインテグレータの明電舎(本社:東京都中央区、社長:片岡啓治氏)から、クリーニングにも耐えられるというICタグを紹介された。新田工業(本社:神戸市、社長:新田晴彦氏)の「アンフィニタグ」(13.56MHz帯対応)である。熱可塑性エラストマという材質を使い、ボタン型でサイズも小さかった(写真1)。
写真1 採用したICタグ 袋に入れて、ウエディングドレスに縫い付けている(円内)。
しかしICタグが、ウエディングドレスなどのクリーニングに実際に耐えられるのかは、事前に検証したかった。ドライクリーニングに使う薬剤の調合は、クリーニング事業者のノウハウであり、事業者ごとに異なる。そこで神戸市から仙台市まで広がる各店舗で取引しているクリーニング事業者4社から、ドライクリーニングの薬剤を特別に提供してもらった。明電舎の協力を得て、その薬剤にICタグを何十回もつけたり出したりした。それで耐久性に問題ないことを確認した。
ICタグの耐久性を確認し、まず2005年秋に東京の青山本店でシステムを導入した。実際に従業員に使い勝手を試してもらうためである。レンタル衣装の在庫管理システムもICタグ導入に合わせて更新し、両方の改善を続けた。そのあと、青山本店から歩いて行けるNord店にも導入し、店舗間の商品の移動も試した。こうして実用化のメドが付いたため、2006年3月に全店舗に展開した。
ウエディング関連衣装のレンタルを手がけるアクア・グラツィエは2006年3月、ウエディングドレスや着物、メンズスーツなど約4000着にICタグを取り付け、その使用状況を管理するシステムを本格導入した。それまで煩雑な手作業で手間がかかっていた在庫管理業務を効率化し、正確性を向上させた。ICタグはクリーニングに耐える製品を採用した。導入費用は約3000万円である。
アクア・グラツィエが扱うレンタル衣装は、動きが激しい商品である。レンタルや修理、クリーニングなどの理由で頻繁に店舗を出入りする。店舗間で商品を融通し合うことも多い。大き目のサイズなどはレンタルの頻度が低いので、複数の店舗で持ち合うことがある。地方間の流行の違いにより、特定のスタイルの商品をまるごと移すこともある。ある地方でははやらない商品を、はやっている地方の店舗に移すのである。
アクア・グラツィエはこうしたレンタル衣装の在庫管理を、台帳ベースの手作業で行っていた。創業5年で店舗数は13店(うち直営店は6店)にまで拡大し、在庫管理の煩雑さは増す一方だった。「修理やクリーニングに出している商品の所在が分からなくなって、探し回ることもあった」(アクア・グラツィエの三浦めぐみ代表取締役)。毎月実施している棚卸しの際にも、大きな手間がかかっていた。衣装の目立たないところに縫い付けているID番号を、一つずつ目視で読み取る必要があった。
ドライクリーニングの薬剤で耐久性を試験
何らかの効率化が必要なことは、創業1年目から分かっていた。しかしシステム導入よりもまずは店舗の拡大を優先し、並行して最適な管理方法を模索していた。
当初は、バーコードベースのシステムを導入する提案を受けていた。しかし「バーコードは安価だが、数十年前からある技術。できるだけ最新技術を使わないと、導入した途端に陳腐化する」(三浦氏)と考えた。そこで、3年ぐらい前に知ったICタグに着目した。「ICタグなら今後の発展性もある」(三浦氏)。しかし当時は紙ラベルやプラスチックカード型のICタグしか見当たらず、適用は難しかった。クリーニングのたびに取り外すような運用では、管理がかえって煩雑になるからである。
そうしたなか、付き合いのあったシステムインテグレータの明電舎(本社:東京都中央区、社長:片岡啓治氏)から、クリーニングにも耐えられるというICタグを紹介された。新田工業(本社:神戸市、社長:新田晴彦氏)の「アンフィニタグ」(13.56MHz帯対応)である。熱可塑性エラストマという材質を使い、ボタン型でサイズも小さかった(写真1)。
写真1 採用したICタグ 袋に入れて、ウエディングドレスに縫い付けている(円内)。
しかしICタグが、ウエディングドレスなどのクリーニングに実際に耐えられるのかは、事前に検証したかった。ドライクリーニングに使う薬剤の調合は、クリーニング事業者のノウハウであり、事業者ごとに異なる。そこで神戸市から仙台市まで広がる各店舗で取引しているクリーニング事業者4社から、ドライクリーニングの薬剤を特別に提供してもらった。明電舎の協力を得て、その薬剤にICタグを何十回もつけたり出したりした。それで耐久性に問題ないことを確認した。
ICタグの耐久性を確認し、まず2005年秋に東京の青山本店でシステムを導入した。実際に従業員に使い勝手を試してもらうためである。レンタル衣装の在庫管理システムもICタグ導入に合わせて更新し、両方の改善を続けた。そのあと、青山本店から歩いて行けるNord店にも導入し、店舗間の商品の移動も試した。こうして実用化のメドが付いたため、2006年3月に全店舗に展開した。
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近未来の百貨店像を探る―化粧品とRFIDの親和性
柏木 恵子
2007年2月7日
早い段階から小売業におけるRFID活用の実証実験に取り組んできた三越。3回目となる実験では、化粧品にRFIDタグを貼付して消費者の受容度を検証しようとしている(編集部)
化粧品ほど潤沢なバリエーションが消費者に望まれる商品はなかなか見当たらない。2007年1月27日から2月12日にかけて、約3500点の商品、テスター(店頭に置いてある試用見本)、サンプル(顧客に配る試供品)にRFIDタグを貼付して、化粧品サプライチェーンにおけるRFIDの有効性や消費者の利便性向上を検証する「百貨店における電子タグ活用拡大実証実験(フューチャーストア実証実験)」が行われている。
実験は、三越と資生堂、富士通の3社が協力して、三越銀座店および名古屋栄店の資生堂のカウンセリング化粧品売り場など実施された。この実験は、日本百貨店協会が経済産業省平成18年度「電子タグ活用による流通・物流の効率化実証実験(PDF)」として受託したプロジェクトの一環である。
三越では、2004年10月に実施したRFIDを使った婦人靴の入荷検品や棚卸し、在庫管理に関する実証実験(2005年4月に実運用を開始)のほか、2006年1月にもブランドジーンズを使ったフューチャーストア実証実験(2006年9月に実運用を開始)を行っている。今回の化粧品を対象とした実験は、百貨店業界では初めての取り組みになるとのことだ。
なぜ化粧品がRFID実証実験に選ばれたのか
実証実験の旗振り役である経済産業省は、RFIDタグを次世代のコードキャリアと位置付け、流通や物流の効率化に役立つものとして導入に前向きであり、2003年(平成15年度)から各種の実証実験を行っている。今年度は、小売りだけでなくメーカーも含めたサプライチェーン全体のコストダウンとともに、店舗での販売活動の支援や購買者に対する新しいサービスの創出などを視野に入れた実験を行っていくという意向がある。
また、実験は化粧品という華やかな分野で行われるが、それを支える技術の面でも着実な動きがある。日本はRFIDの先進国として国際的な標準化団体であるEPCglobalの評価も高く、海外からの視察もたくさん訪れている。経済産業省商務情報政策局商務流通グループ流通・物流政策室の水野良彦室長補佐は「成功事例をどんどん出していきたい」と語り、実験結果をEPCglobalにも報告する予定だ。
一方、三越側ではこれまでのRFID実証実験の結果から、 「百貨店の売り場にとって、RFIDは非常に有効だ」という手応えを感じており、 婦人靴で7店舗、インポートデニムで9店舗の実運用が始まっている。今後、導入店舗をさらに拡大させる予定だ。
三越百貨店事業本部商品統括部商品システム推進担当ゼネラルマネージャーの西田雅一氏は、「検品が容易になるなどの物流メリットは当然のことながら、それに加えて“お客さまをお待たせしない”“欠品をなくす”といった、お客さま寄りの観点での実効性が大切だ」と語る。また、「今回の実験では、RFIDタグというバーコードとは異なる新しい道具をどう使いこなしていくかについて、最も接客密度の高い化粧品というアイテムで進化させたい」と考えているそうだ。
商品や実験ブースを提供した資生堂の草島則男デパート部長は、今回の実験を「サービス向上と次世代型サービスモデルの模索」と語り、「昨今は化粧品の購入時における情報収集のスタイルが変化していることから、カウンセリング販売に新たなITツールがどのような効果を及ぼすか期待している」と述べた。
今回の実験システムの開発は富士通が担当し、RFIDタグは凸版印刷が、リーダ/ライタはセントラルエンジニアリングが提供する。富士通コンサルティング事業本部プリンシパルコンサルタントの大根田秀雄氏は、「いままでは業務改革に利用されることの多かったRFIDを、消費者自身が活用するシーンまで拡張したことで、新しい利用シーンが創出できるのではないか」と語る。
7種類の実証実験に意欲的に取り組む
実験では、資生堂の化粧品ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の商品、テスター、サンプルにRFIDタグを取り付ける。消費者が、RFIDタグを活用したサービスを受けられる環境を提供し、消費者視点での有効性を確かめるのが目的だ。
実験の効果として、
消費者へのより詳しい商品情報の提供や、接客サービスの充実による顧客満足度の向上と関連商品の購買促進
在庫管理業務の効率化、販売スペースの有効活用による生産性の向上
商品分析力の向上による品ぞろえ強化
電子タグ利用に対する消費者の意識向上
が期待されている。
フューチャーストアの実証実験としては、「マルチサンプルディスプレイ」「テスター需要予測システム」「eカウンセリング」「ソースタギング・SCMシステム」「電子タグ@ホーム」の5項目が行われる。さらに、協賛実験として、「コスメインフォメーション」「仮想リアルタイムメイクアップシステム」も実施される。
商品の消費行動の仮説として、ローランド・ホールが提唱した「AIDMA(アイドマ)の法則」というプロセスモデルがある。これを化粧品の消費プロセスに当てはめると、「ブランドを決める(Attention)」「商品を選ぶ(Interest)」「商品を試す(Desire)」「カウンセリングを受ける(Memory)」「使い方を確かめ使用する(Action)」となる。今回の実験も、このプロセスに合わせたRFIDタグの活用法を取り入れている。
化粧品フューチャーストアをバーチャル体験
では、実際に百貨店に化粧品を買いに行くことを想定してストーリー仕立てで解説しよう。
●ブランドを決める(Attention)
多くの場合、消費者はどのメーカーの、どのブランドの何を買うか、ある程度決めてから売り場へ行く。しかし、実際に売り場に行くと迷うというケースも多い。そこで役に立つのが、ブランド横断で化粧品情報を検索できるタッチパネル「コスメインフォメーション」だ。
この端末では、化粧品情報クチコミサイトの最大手である「@cosme」で公開されている情報にアクセスできる。また、RFIDタグの付いたテスターをリーダにかざすことで、タッチパネルの操作よりも簡単に、その商品のクチコミ情報を表示できる。
さらに、カテゴリ別に設定された「三越ランキング」「三越おすすめ商品」も閲覧できる。自分が来た店舗で取り扱っている商品に絞り込んだり、「あ、これ、欲しいな」と思った商品名をプリントアウトしたりできる。化粧品の商品名はおしゃれなものが多い反面、覚えにくいこともあるのだ。
コスメインフォメーション
下部の丸いリングがRFIDリーダになっていて、商品をかざすとクチコミ情報が表示される
●商品を選ぶ(Interest)
デパートの化粧品売り場は対面式のカウンターになっており、たくさんの商品やテスターが展示されている。ここで商品を選ぶときに利用するのが「マルチサンプルディスプレイ」だ。
これは、テスターをRFIDリーダに載せると、ディスプレイ上にHTML形式で情報が表示されるもの。ディスプレイはタッチパネルになっており、手でリンクをたどることで追加情報が得られる仕組みになっている。
化粧品という商品の性質から、RFIDタグにしてもRFIDリーダにしても、あまり無骨な外見では売り場の雰囲気を損なう。そのため、RFIDタグはテスターの底面に貼付されており、ディスプレイ台のようなおしゃれなRFIDリーダの上に載せるという直感的なデザインとなっている。このように、小さくてデザイン上の邪魔にならないようなRFIDタグやRFIDリーダの開発に苦労があったという。
マルチサンプルディスプレイ
化粧品の容器の底に付けられたRFIDタグも、ディスプレイ台のようなRFIDリーダも売り場の雰囲気を損なわない
また、口紅やグロス、マスカラなどのテスターケース内にはアンテナが内蔵され、4秒ごとにRFIDタグを読み取っており、テスターに貼付されたタグが読み取れなくなった回数、つまり、テスターがケースから取り上げられた回数をカウントしている。その情報はケース背面の端末経由でリーダ/ライタ制御PCに転送される。これが、どの商品の人気が高いかを測るバロメーターとなる。
これまでは、POSデータにより販売数を把握して商品の補充を行っていたが、欠品の発生をゼロにすることはできなかった。すでに売れた数ではなく、テスターを使ってこれから売れそうな数を予測することで、欠品をなくす効果があると考えられ、「テスター需要予測システム」は三越が特に重視している実験である。
テスター需要予測システム
消費者にRFIDシステムであることを意識させずに、人気アイテムのデータを収集
●商品を試す(Desire)
アパレル製品の試着と異なり、化粧品の場合は商品を試すのが難しい。あらかじめ付けている化粧品を落とすという作業が必要なうえ、何種類も試すためには、その都度、化粧品を落とさなければならないからだ。
資生堂では以前より「仮想リアルタイムメイクアップシステム」の研究を進めていた。これは、店頭に設置したカメラの前で口紅やアイシャドーなどのテスターをリーダにかざすことで、その化粧品を使ったように画像が処理されるものだ。
今回の実験では、動画像にリアルタイムで画像処理を施すため、あたかも“デジタルの鏡”のように仮想メイク後の表情の変化も体験できる。また、眉毛の形や太さを変化させることもできるほか、肌や唇の地色を分析しておすすめの色を提案することもできる。
このシステムを使えば、何種類ものテスターを試してみることが簡単になるだけでなく、百貨店での接客が苦手な人でも仮想メイクを利用できるだろう。
化粧品フューチャーストアをバーチャル体験(続き)
●カウンセリングを受ける(Memory)
化粧品売り場の特徴にカウンセリング販売がある。これは、顧客別にカルテを作って、それまでの購入履歴や肌の状態などを販売員が把握して接客するものだ。
これまでのカルテは、病院のカルテ同様に紙媒体であり、保管するのにそれなりの広さの場所を必要とする。最近では個人情報保護の観点からセキュリティも重要視されている。また、どのようなサンプルをいつ渡したかといった細かい情報までは記入されていないケースが多い。
カウンセリング販売では、カルテのほかにカウンセリングブックと呼ばれるサポートツールも使われる。この2つを電子化し、タブレットPCに呼び出すようにしたのが「eカウンセリング」だ。
カルテを電子化することで保管場所とセキュリティの問題を解消できる。また、サンプルを渡すときにタグをリーダに読み込ませることで、細かい接客履歴をログとして残すことができる。eカウンセリングによって得られた情報は、SCMシステムと連携させることも可能だ(「ソースタギングSCMシステム」実験)。
eカウンセリング
タブレットPCで情報を見せながら、 テスターをRFIDリーダにかざしてカルテに記録している
●使い方を確かめ使用する(Action)
実際のところ、化粧品の正しい使い方というのは難しい。売り場でサンプルを受け取って、使い方を教わっても、家に帰ると忘れてしまうこともある。そこで、貼付したタグを家庭のPCで読み取って情報を提供することを、消費者がどのように評価するかを検証するのが「電子タグ@ホーム」実験だ。
なお、今回の実験では、売り場の一角にシミュレーションブースを設置して、デパート内でアンケートを実施する。まだまだ、自宅PC用RFIDリーダが普及していないことやプライバシー保護の観点から、化粧品に貼付されたタグは販売時に外されることになっている。
タグのトラッキングにより、どのサンプルのデータが参照されたかを把握することもでき、消費者の声をダイレクトに受け取れる新しいマーケティングツールとしての可能性をうかがわせる。
電子タグ@ホーム
シミュレーションブースを作って実験。化粧品に付けられているRFIDタグも販売時に外される
これまでRFIDは、工場内やSCMなど縁の下の力持ち的な使われ方が多かったが、消費者がじかに触れる利用法を試すものとして、今回の実験は非常に注目される。
製配販一体のソースタギングで世界の先頭を走る日本の百貨店
百貨店における電子タグ活用拡大実証実験は、三越以外の百貨店でも同時に実験が行われている。婦人靴にRFIDタグを貼付する作業をメーカーの段階で行う「ソースタギング実証実験」は、京王百貨店、小田急百貨店、東急百貨店、井筒屋、三越、高島屋、阪急百貨店の7百貨店19店舗で展開中だ。
三越、高島屋、阪急ではすでに婦人靴でのRFID利用が実運用されているが、それぞれ個別にシステムを構築している。新たに参加した4百貨店では、共同利用型のプラットフォームを利用し、導入コストの削減やタグ情報の共有によるマーチャンダイジング(商品戦略)の高度化を狙っている。
京王では、店頭100点、ストック1000点の合計1100点の婦人靴にRFIDタグを貼付する。対象となるのは、ソニアリキエル、マリーファム、ナチュラルビューティの3ブランド。このうち、ソニアリキエルとマリーファムは卸業者がRFIDタグを貼付する従来型のリユース型タグを使うが、ナチュラルビューティはメーカー内でJANコードと一体型のRFIDラベルを貼付するソースタギングを実施する。
ソースタギングにより、従来型では卸業者が行っていたJANコードとRFIDタグの紐付け作業が省略されるほか、メーカー出荷時から効率的な検品が行える。
左:靴箱に張られた一体型RFIDシール。
店頭陳列時には一部分を外して値札に張り付ける
右:靴に値札として付けられたRFIDタグ
婦人靴の場合、店頭に陳列されているときにRFIDタグが壊れる可能性がある程度で、リユース型の方がコスト的には有利だ。それでも使い捨て型のRFIDラベルを採用したのは、製造・配送・販売にまたがるサプライチェーンマネジメントと、タグ情報の共有によって得られる付加価値が高いROI(投資対効果)を生み出せると期待しているからだ。
左:目視を伴う検品作業では、短い通信距離で事足りる
右:消費者がサイズや色を選択して在庫や類似商品を検索できる
実証実験を推進している経済産業省の担当者が、「米ウォルマートなどの導入事例が先行していたサプライチェーン分野のRFID利用だが、ここに来て日本が世界中で一番進んだものと確信している」と語ったのが印象的だった。
柏木 恵子
2007年2月7日
早い段階から小売業におけるRFID活用の実証実験に取り組んできた三越。3回目となる実験では、化粧品にRFIDタグを貼付して消費者の受容度を検証しようとしている(編集部)
化粧品ほど潤沢なバリエーションが消費者に望まれる商品はなかなか見当たらない。2007年1月27日から2月12日にかけて、約3500点の商品、テスター(店頭に置いてある試用見本)、サンプル(顧客に配る試供品)にRFIDタグを貼付して、化粧品サプライチェーンにおけるRFIDの有効性や消費者の利便性向上を検証する「百貨店における電子タグ活用拡大実証実験(フューチャーストア実証実験)」が行われている。
実験は、三越と資生堂、富士通の3社が協力して、三越銀座店および名古屋栄店の資生堂のカウンセリング化粧品売り場など実施された。この実験は、日本百貨店協会が経済産業省平成18年度「電子タグ活用による流通・物流の効率化実証実験(PDF)」として受託したプロジェクトの一環である。
三越では、2004年10月に実施したRFIDを使った婦人靴の入荷検品や棚卸し、在庫管理に関する実証実験(2005年4月に実運用を開始)のほか、2006年1月にもブランドジーンズを使ったフューチャーストア実証実験(2006年9月に実運用を開始)を行っている。今回の化粧品を対象とした実験は、百貨店業界では初めての取り組みになるとのことだ。
なぜ化粧品がRFID実証実験に選ばれたのか
実証実験の旗振り役である経済産業省は、RFIDタグを次世代のコードキャリアと位置付け、流通や物流の効率化に役立つものとして導入に前向きであり、2003年(平成15年度)から各種の実証実験を行っている。今年度は、小売りだけでなくメーカーも含めたサプライチェーン全体のコストダウンとともに、店舗での販売活動の支援や購買者に対する新しいサービスの創出などを視野に入れた実験を行っていくという意向がある。
また、実験は化粧品という華やかな分野で行われるが、それを支える技術の面でも着実な動きがある。日本はRFIDの先進国として国際的な標準化団体であるEPCglobalの評価も高く、海外からの視察もたくさん訪れている。経済産業省商務情報政策局商務流通グループ流通・物流政策室の水野良彦室長補佐は「成功事例をどんどん出していきたい」と語り、実験結果をEPCglobalにも報告する予定だ。
一方、三越側ではこれまでのRFID実証実験の結果から、 「百貨店の売り場にとって、RFIDは非常に有効だ」という手応えを感じており、 婦人靴で7店舗、インポートデニムで9店舗の実運用が始まっている。今後、導入店舗をさらに拡大させる予定だ。
三越百貨店事業本部商品統括部商品システム推進担当ゼネラルマネージャーの西田雅一氏は、「検品が容易になるなどの物流メリットは当然のことながら、それに加えて“お客さまをお待たせしない”“欠品をなくす”といった、お客さま寄りの観点での実効性が大切だ」と語る。また、「今回の実験では、RFIDタグというバーコードとは異なる新しい道具をどう使いこなしていくかについて、最も接客密度の高い化粧品というアイテムで進化させたい」と考えているそうだ。
商品や実験ブースを提供した資生堂の草島則男デパート部長は、今回の実験を「サービス向上と次世代型サービスモデルの模索」と語り、「昨今は化粧品の購入時における情報収集のスタイルが変化していることから、カウンセリング販売に新たなITツールがどのような効果を及ぼすか期待している」と述べた。
今回の実験システムの開発は富士通が担当し、RFIDタグは凸版印刷が、リーダ/ライタはセントラルエンジニアリングが提供する。富士通コンサルティング事業本部プリンシパルコンサルタントの大根田秀雄氏は、「いままでは業務改革に利用されることの多かったRFIDを、消費者自身が活用するシーンまで拡張したことで、新しい利用シーンが創出できるのではないか」と語る。
7種類の実証実験に意欲的に取り組む
実験では、資生堂の化粧品ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の商品、テスター、サンプルにRFIDタグを取り付ける。消費者が、RFIDタグを活用したサービスを受けられる環境を提供し、消費者視点での有効性を確かめるのが目的だ。
実験の効果として、
消費者へのより詳しい商品情報の提供や、接客サービスの充実による顧客満足度の向上と関連商品の購買促進
在庫管理業務の効率化、販売スペースの有効活用による生産性の向上
商品分析力の向上による品ぞろえ強化
電子タグ利用に対する消費者の意識向上
が期待されている。
フューチャーストアの実証実験としては、「マルチサンプルディスプレイ」「テスター需要予測システム」「eカウンセリング」「ソースタギング・SCMシステム」「電子タグ@ホーム」の5項目が行われる。さらに、協賛実験として、「コスメインフォメーション」「仮想リアルタイムメイクアップシステム」も実施される。
商品の消費行動の仮説として、ローランド・ホールが提唱した「AIDMA(アイドマ)の法則」というプロセスモデルがある。これを化粧品の消費プロセスに当てはめると、「ブランドを決める(Attention)」「商品を選ぶ(Interest)」「商品を試す(Desire)」「カウンセリングを受ける(Memory)」「使い方を確かめ使用する(Action)」となる。今回の実験も、このプロセスに合わせたRFIDタグの活用法を取り入れている。
化粧品フューチャーストアをバーチャル体験
では、実際に百貨店に化粧品を買いに行くことを想定してストーリー仕立てで解説しよう。
●ブランドを決める(Attention)
多くの場合、消費者はどのメーカーの、どのブランドの何を買うか、ある程度決めてから売り場へ行く。しかし、実際に売り場に行くと迷うというケースも多い。そこで役に立つのが、ブランド横断で化粧品情報を検索できるタッチパネル「コスメインフォメーション」だ。
この端末では、化粧品情報クチコミサイトの最大手である「@cosme」で公開されている情報にアクセスできる。また、RFIDタグの付いたテスターをリーダにかざすことで、タッチパネルの操作よりも簡単に、その商品のクチコミ情報を表示できる。
さらに、カテゴリ別に設定された「三越ランキング」「三越おすすめ商品」も閲覧できる。自分が来た店舗で取り扱っている商品に絞り込んだり、「あ、これ、欲しいな」と思った商品名をプリントアウトしたりできる。化粧品の商品名はおしゃれなものが多い反面、覚えにくいこともあるのだ。
コスメインフォメーション
下部の丸いリングがRFIDリーダになっていて、商品をかざすとクチコミ情報が表示される
●商品を選ぶ(Interest)
デパートの化粧品売り場は対面式のカウンターになっており、たくさんの商品やテスターが展示されている。ここで商品を選ぶときに利用するのが「マルチサンプルディスプレイ」だ。
これは、テスターをRFIDリーダに載せると、ディスプレイ上にHTML形式で情報が表示されるもの。ディスプレイはタッチパネルになっており、手でリンクをたどることで追加情報が得られる仕組みになっている。
化粧品という商品の性質から、RFIDタグにしてもRFIDリーダにしても、あまり無骨な外見では売り場の雰囲気を損なう。そのため、RFIDタグはテスターの底面に貼付されており、ディスプレイ台のようなおしゃれなRFIDリーダの上に載せるという直感的なデザインとなっている。このように、小さくてデザイン上の邪魔にならないようなRFIDタグやRFIDリーダの開発に苦労があったという。
マルチサンプルディスプレイ
化粧品の容器の底に付けられたRFIDタグも、ディスプレイ台のようなRFIDリーダも売り場の雰囲気を損なわない
また、口紅やグロス、マスカラなどのテスターケース内にはアンテナが内蔵され、4秒ごとにRFIDタグを読み取っており、テスターに貼付されたタグが読み取れなくなった回数、つまり、テスターがケースから取り上げられた回数をカウントしている。その情報はケース背面の端末経由でリーダ/ライタ制御PCに転送される。これが、どの商品の人気が高いかを測るバロメーターとなる。
これまでは、POSデータにより販売数を把握して商品の補充を行っていたが、欠品の発生をゼロにすることはできなかった。すでに売れた数ではなく、テスターを使ってこれから売れそうな数を予測することで、欠品をなくす効果があると考えられ、「テスター需要予測システム」は三越が特に重視している実験である。
テスター需要予測システム
消費者にRFIDシステムであることを意識させずに、人気アイテムのデータを収集
●商品を試す(Desire)
アパレル製品の試着と異なり、化粧品の場合は商品を試すのが難しい。あらかじめ付けている化粧品を落とすという作業が必要なうえ、何種類も試すためには、その都度、化粧品を落とさなければならないからだ。
資生堂では以前より「仮想リアルタイムメイクアップシステム」の研究を進めていた。これは、店頭に設置したカメラの前で口紅やアイシャドーなどのテスターをリーダにかざすことで、その化粧品を使ったように画像が処理されるものだ。
今回の実験では、動画像にリアルタイムで画像処理を施すため、あたかも“デジタルの鏡”のように仮想メイク後の表情の変化も体験できる。また、眉毛の形や太さを変化させることもできるほか、肌や唇の地色を分析しておすすめの色を提案することもできる。
このシステムを使えば、何種類ものテスターを試してみることが簡単になるだけでなく、百貨店での接客が苦手な人でも仮想メイクを利用できるだろう。
化粧品フューチャーストアをバーチャル体験(続き)
●カウンセリングを受ける(Memory)
化粧品売り場の特徴にカウンセリング販売がある。これは、顧客別にカルテを作って、それまでの購入履歴や肌の状態などを販売員が把握して接客するものだ。
これまでのカルテは、病院のカルテ同様に紙媒体であり、保管するのにそれなりの広さの場所を必要とする。最近では個人情報保護の観点からセキュリティも重要視されている。また、どのようなサンプルをいつ渡したかといった細かい情報までは記入されていないケースが多い。
カウンセリング販売では、カルテのほかにカウンセリングブックと呼ばれるサポートツールも使われる。この2つを電子化し、タブレットPCに呼び出すようにしたのが「eカウンセリング」だ。
カルテを電子化することで保管場所とセキュリティの問題を解消できる。また、サンプルを渡すときにタグをリーダに読み込ませることで、細かい接客履歴をログとして残すことができる。eカウンセリングによって得られた情報は、SCMシステムと連携させることも可能だ(「ソースタギングSCMシステム」実験)。
eカウンセリング
タブレットPCで情報を見せながら、 テスターをRFIDリーダにかざしてカルテに記録している
●使い方を確かめ使用する(Action)
実際のところ、化粧品の正しい使い方というのは難しい。売り場でサンプルを受け取って、使い方を教わっても、家に帰ると忘れてしまうこともある。そこで、貼付したタグを家庭のPCで読み取って情報を提供することを、消費者がどのように評価するかを検証するのが「電子タグ@ホーム」実験だ。
なお、今回の実験では、売り場の一角にシミュレーションブースを設置して、デパート内でアンケートを実施する。まだまだ、自宅PC用RFIDリーダが普及していないことやプライバシー保護の観点から、化粧品に貼付されたタグは販売時に外されることになっている。
タグのトラッキングにより、どのサンプルのデータが参照されたかを把握することもでき、消費者の声をダイレクトに受け取れる新しいマーケティングツールとしての可能性をうかがわせる。
電子タグ@ホーム
シミュレーションブースを作って実験。化粧品に付けられているRFIDタグも販売時に外される
これまでRFIDは、工場内やSCMなど縁の下の力持ち的な使われ方が多かったが、消費者がじかに触れる利用法を試すものとして、今回の実験は非常に注目される。
製配販一体のソースタギングで世界の先頭を走る日本の百貨店
百貨店における電子タグ活用拡大実証実験は、三越以外の百貨店でも同時に実験が行われている。婦人靴にRFIDタグを貼付する作業をメーカーの段階で行う「ソースタギング実証実験」は、京王百貨店、小田急百貨店、東急百貨店、井筒屋、三越、高島屋、阪急百貨店の7百貨店19店舗で展開中だ。
三越、高島屋、阪急ではすでに婦人靴でのRFID利用が実運用されているが、それぞれ個別にシステムを構築している。新たに参加した4百貨店では、共同利用型のプラットフォームを利用し、導入コストの削減やタグ情報の共有によるマーチャンダイジング(商品戦略)の高度化を狙っている。
京王では、店頭100点、ストック1000点の合計1100点の婦人靴にRFIDタグを貼付する。対象となるのは、ソニアリキエル、マリーファム、ナチュラルビューティの3ブランド。このうち、ソニアリキエルとマリーファムは卸業者がRFIDタグを貼付する従来型のリユース型タグを使うが、ナチュラルビューティはメーカー内でJANコードと一体型のRFIDラベルを貼付するソースタギングを実施する。
ソースタギングにより、従来型では卸業者が行っていたJANコードとRFIDタグの紐付け作業が省略されるほか、メーカー出荷時から効率的な検品が行える。
左:靴箱に張られた一体型RFIDシール。
店頭陳列時には一部分を外して値札に張り付ける
右:靴に値札として付けられたRFIDタグ
婦人靴の場合、店頭に陳列されているときにRFIDタグが壊れる可能性がある程度で、リユース型の方がコスト的には有利だ。それでも使い捨て型のRFIDラベルを採用したのは、製造・配送・販売にまたがるサプライチェーンマネジメントと、タグ情報の共有によって得られる付加価値が高いROI(投資対効果)を生み出せると期待しているからだ。
左:目視を伴う検品作業では、短い通信距離で事足りる
右:消費者がサイズや色を選択して在庫や類似商品を検索できる
実証実験を推進している経済産業省の担当者が、「米ウォルマートなどの導入事例が先行していたサプライチェーン分野のRFID利用だが、ここに来て日本が世界中で一番進んだものと確信している」と語ったのが印象的だった。
アサヒビール、カゴメ/業務・資本提携、物流協業化も
アサヒビール(株)とカゴメ(株)は2月6日、両社の業務における協力関係をさらに強化するため、業務・資本提携契約を締結するとともに、カゴメからアサヒビールに対する第三者割当による新株式発行を実施する。
提携内容では、チルド製品分野における生産・配送の共同化と商品カテゴリーの再編成・拡大による相互効率化を図るため、カゴメが野菜飲料のチルド化と拡大中の乳酸菌飲料事業への対応のため、2007年4月より茨城工場の関東チルド生産拠点化投資を開始する。
また、カゴメの乳酸菌飲料等をアサヒビールグループの持つ販売チャネルに乗せることで生産・配送の共同化を促進する。
また、物流面における協業として、共同配送や、両社が保有する物流子会社の再編の検討等、物流全般での効率化により、ロジスティクス基盤の効率化を図る。
アサヒビール(株)とカゴメ(株)は2月6日、両社の業務における協力関係をさらに強化するため、業務・資本提携契約を締結するとともに、カゴメからアサヒビールに対する第三者割当による新株式発行を実施する。
提携内容では、チルド製品分野における生産・配送の共同化と商品カテゴリーの再編成・拡大による相互効率化を図るため、カゴメが野菜飲料のチルド化と拡大中の乳酸菌飲料事業への対応のため、2007年4月より茨城工場の関東チルド生産拠点化投資を開始する。
また、カゴメの乳酸菌飲料等をアサヒビールグループの持つ販売チャネルに乗せることで生産・配送の共同化を促進する。
また、物流面における協業として、共同配送や、両社が保有する物流子会社の再編の検討等、物流全般での効率化により、ロジスティクス基盤の効率化を図る。