SCMパッケージソフト 開発勉強日記です。
SCM / MRP / 物流等々情報を集めていきます。
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●企業においてERPシステムは、どのように活用されているのか? ERPシステムの導入前と導入後では、企業はどのように変わっていっているのか?
●大企業においては、ERPシステムは当たり前のものになっているが、中堅・中小企業にとってはまだまだ導入の一端についたばかりだ。ERPシステムは、中堅・中小企業には導入しづらいものなのか?
●今回は、ERPシステムの大手ベンダーSAPジャパン株式会社のバイスプレジデント(営業統括本部、地域営業本部 担当)の神戸利文氏に、中堅・中小企業におけるERPシステムの現状について、話を伺った。
●前編では、「中堅・中小企業にとってのERPの必要性」「ERPを導入することで経営戦略上どのような利点があるのか」などについて聞いた。また、後編では、「ERP導入の際のポイント」などについてお届けする予定である。
取材/山本雅史、増田建治
文/山本雅史
写真/皆木優子
2007/5/16公開
中堅・中小企業にとってのERP
――大企業においてERP(Enterprise Resource Planning)は、必須のシステムとなっています。日本のビジネスの根幹ともいえる中堅・中小企業においては、まだERPは普及している途中となっていますが、これはどのような理由によるとお考えになっていますか?
神戸氏(以下、敬称略): ビジネス上の課題ということに関しては、大企業も中堅・中小企業もあまり変わりません。このため、どういった事業規模の企業においても、問題意識を持って積極的にERPやITシステムへの投資を戦略的に行うのかということが、重要になります。大企業の場合は、システム部門などが存在して、戦略的にERPシステムを導入していこうという考え方が大きいです。一方中堅・中小企業においても、問題意識を持っていらっしゃる方がキーマンとしている場合は、事業規模にかかわらずERPシステムを戦略的に導入されている場合が多いです。
ビジネス上の課題としては、大きく分けて8つ存在すると思います。まず5つを挙げます。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
1 売上を伸ばしたい
2 コストを減らしたい
3 資産を圧縮して、キャッシュフローを良くしたい
4 優秀な人材が不足している
5 海外拠点における企業ガバナンスの確立
これらの5つのポイントを、我々は「成長の課題」と呼んでいます。この5つは、企業が成長していくためには、必ず乗り越えなければならないポイントです。特に中堅・中小企業においては、4と5は非常に重荷になってきていると思います。
例えば、自社の内部にあるITシステムを縦横無尽に活用して、社長などの経営層に分かり易いデータを作れる人材というのは、社内のシステムを熟知して、非常にスキルレベルの高い人材です。このようなレベルの高い人材を、単なるデータ作成のために使っていいのかということがあります。ITシステムを導入し経営層が簡単にデータを見られるようになれば、レベルの高い人材をもっと戦略的なITシステムのデザインや構築に回すこともできます。
また、5に関しては、現在、売り上げ規模にかかわらず海外に拠点(特に、中国、タイ、ベトナム、インドなど)を持っていることが当たり前になっています。これは、労働力という問題だけでなく、ビジネスの相手先自体が海外に拠点を持っているため、どうしても海外拠点が必要になっているためです。大企業であれば、拠点立ち上げに必要なだけの人材を日本から持っていくこともできますが、中堅・中小企業などではそれほど日本人を海外拠点に持っていくことができないため、企業におけるガバナンスの確立などに、大きな問題が出てきています。
残り3つのポイントを、我々は「存続の課題」と呼んでいます。企業が企業としてあり続けるために、必ず行わなければならないポイントという意味です。
6 コンプライアンス(内部統制を含める)
SAPでは、中堅・中小企業約6000社にアンケートを取ったのですが、33%のお客様がコンプライアンスの重要性を挙げられています。約6000社からのアンケートということですので、上場企業だけでなく、未上場企業においても、この部分は重要視されてきているのでしょう。この部分に関して、中堅・中小企業においては大雑把だった部分で、これから非常に大きなポイントになるのでしょう。大企業であれば、コンサルティング会社と契約して、一気にコンプライアンスや内部統制のためにシステムを入れ替えることもできますが、中堅・中小企業などでは、そこまでの投資はすぐには行えないでしょう。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
7 上場に向けての基盤作り
中小企業においても、上場ということは非常に意識されてきています。ここ数年、日本経済の調子も良くなってきたので、企業として飛躍をするために、マーケットで資金調達を行っていきたいという経営層の考え方なのでしょう。
8 ITシステムの老朽化
バブル崩壊後、長い不況のトンネルに入っていたので、ITシステムに対する投資は非常に抑えられていました。ここ最近は業績も上向きになってきたので、再度ITシステムに投資をしようという考え方になってきたのです。また、ITシステム自体が古くなってきたので、メインテナンスなど、コストがかさんできたり、旧型すぎてサポートが受けられなくなったりなどの問題が、さすがに目立つようになったためもあります。
中堅・中小企業にとっては、「人がいない」「費用が少ない」といったことが、ERPシステムの導入が進まないといった現実に表れていると思います。こういったことの解決を我々がお手伝いできるようになれば、もっと各企業の競争力が増すのではないかと考えています。
ERPシステムにテンプレートを応用する
――SAPのERPシステムといえば、非常に高価なシステムといった印象が強いのですが、そのあたりはいかがですか。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
神戸: 少し前までは、SAPのERPシステムといえば一声10億円といったものですが、SAP自体もよりパッケージ化を進めていき、数億円、数千万円といったシステムを提供しています。現在では、中堅企業のお客様には、SAP ERPをベースとしたSAP All-in-Oneを、中小企業向けにはSAP Business OneというERPシステムのパッケージを販売しています。SAP Business Oneは、SAP ERPの機能縮小版ということではなく、中小企業が必要とするすべてのソリューションを提供しています。SAP ERPとの大きな違いはサポートしているユーザー数や動作するハードウェア・プラットフォームなどです。
――システムインテグレーターに大幅にモディファイやオプションソフトの開発を行ってもらわないと、自社の業務フローに合わないといった声も聞いたことがあります。
神戸: SAPのERPシステムは、基本的にはパッケージソフトなのです。プラットフォームを用意して、インストールすれば簡単に動作するものなのです。日本では、各業界、企業によって、独自の業務フローや商習慣などがあったため、それを入れ込んでシステムを開発するとなると、大幅な改良や開発が必要になっていたのです。
しかし、SAPジャパンを設立してもう15年経ちます。この15年間で、われわれ自身もいろいろなシステム導入に携わり、いろいろなノウハウを積んできています。こういったノウハウを、現在の製品に入れ込んでいます。また、システム開発を我々といっしょに行ってくださっているパートナー企業も、いろいろな業種による違いや改良点などの知識を得ていらっしゃいますので、まるっきり1から開発しなければならないということはなくなっています。多くのパートナー企業は基本的なテンプレートを持ち、それが応用できるようになっています。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
たとえば、半導体製造企業なら、今までのノウハウで、特定の業務プロセスが存在することがわかっています。業界共通の部分にはテンプレートを当てはめて、企業固有の部分のみを新しく開発するようにすれば、非常に短時間でシステムを稼働することができます。もちろん、短期間でのシステム稼働は、コスト面でも大きくメリットが出てきます。このような部分は、中堅・中小企業にとっては必須といえるでしょう。
昔は、ERPシステムの構築は年単位のプロジェクトで、人員も十数人専従しなければならなかったものでした。しかし、日本で15年ビジネスを続けてきたおかげで、パートナー企業と我々の内部に相当のノウハウがたまってきたため、これらのノウハウをテンプレート化し、財務会計、管理会計、販売、購買、在庫を対象としたエントリーパックというものを出しています。これを利用すれば、導入に関した専任チームがなくても、兼務の担当者がいれば、半年ぐらいでERPシステムを稼働させられるようになってきています。
ERPシステムの利点はリアルタイム性
――企業においては、すでにさまざまなITシステムが導入されており、これをERPシステムに接続していくのか、新たに財務会計、販売、在庫などのシステムを導入するのかといったことが大きな問題になります。特に中堅・中小企業においては、既存のシステムを変更したくないといった考え方もあるようですが。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
神戸: お客様とお話ししていると、SAPのERPシステムで最も魅力を感じられている点は「リアルタイム」ということです。
経営層の方々は、決算期になると会社がどうなっているか、よく分かるといわれます。しかし、これは本当に現在を反映しているわけではありません。基本的に数か月前の情報を集めてきてドキュメント化しているため、この時点で情報は古いのです。また、決算や月次などの特定の期日にならないと状況がわからないというのでは、経営層は不安で仕方がないというのはよくわかります。
実際、SAPで中堅・中小企業に行ったアンケートでも、「決算の早期化」の必要性を、40%近くの企業の方が感じていらっしゃるようです。「決算の早期化」を求める理由としては、上場へのステップ、情報のディスクローズの必要性といった外部的な要因だけでなく、経営層自体が昨日の状況がどうなっているのかを知りたいということが、大きなポイントになっているのかもしれません。
ERPシステムを導入されていない企業では、月次決算自体を行うのに20日かかっていたという例もあります。これでは、出てきた情報は、約1か月前のデータであって、今を反映したものではありません。また、月次決算を行うのに、人手も相当かかります。こういった状況で決算を早期化しようとすれば、情報を取りまとめるために、残業が増え、コストがかかるといったことにも陥ります。
本当に規模の小さな企業はどんぶり勘定でも状況を把握できるのですが、最も問題になるのは、中規模の企業や海外拠点が多くある企業です。この規模になると、事業が1つでなくなったり、海外拠点のオペーレーションが増えてくることになります。こうなると、社長が一人で把握することはできなくなります。こういった場合、ERPシステムは非常に有益なシステムになります。実際、20日かかっていた月次決算も、SAPのシステムを利用することで、3日で終了したり、リアルタイムで情報を見ることができるようになっています。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
ERPシステムのメリットは、会計に関してだけと思われがちですが、本当に重要なのは販売、購買のシステムがリアルタイムでつながっているということです。企業活動におけるもっとも重要なビジネスを支えているのが、販売や購買といったシステムでしょう。これが会計システムとリアルタイムで連携することで、本当の企業の今を知ることができるようになります。ERPシステムなら、物を売った(販売)、物を買った(購買)といった時点で、データが会計システムに流れ込むようになるので、日々刻々と変化している企業のキャッシュフローなどを、経営層がリアルタイムに把握できます。
中堅・中小企業の方々においても、こういった部分を評価されて、積極的にERPシステムの導入を図られている企業もあります。毎日キャッシュフローなどのデータが確認できるという点ですが、経営層にとってはわかるものならすぐにでも知りたいということなのです。装置産業や化学産業などは1週間でもいいといわれることが多いですが、組み立て産業などでは、日次のデータが見たいという経営者の方が多いですね。このあたりは、業種によって異なるのでしょう。特に、組み立て産業などの業種では、在庫の適正化ということに気を遣われているのだと思います。
●大企業においては、ERPシステムは当たり前のものになっているが、中堅・中小企業にとってはまだまだ導入の一端についたばかりだ。ERPシステムは、中堅・中小企業には導入しづらいものなのか?
●今回は、ERPシステムの大手ベンダーSAPジャパン株式会社のバイスプレジデント(営業統括本部、地域営業本部 担当)の神戸利文氏に、中堅・中小企業におけるERPシステムの現状について、話を伺った。
●前編では、「中堅・中小企業にとってのERPの必要性」「ERPを導入することで経営戦略上どのような利点があるのか」などについて聞いた。また、後編では、「ERP導入の際のポイント」などについてお届けする予定である。
取材/山本雅史、増田建治
文/山本雅史
写真/皆木優子
2007/5/16公開
中堅・中小企業にとってのERP
――大企業においてERP(Enterprise Resource Planning)は、必須のシステムとなっています。日本のビジネスの根幹ともいえる中堅・中小企業においては、まだERPは普及している途中となっていますが、これはどのような理由によるとお考えになっていますか?
神戸氏(以下、敬称略): ビジネス上の課題ということに関しては、大企業も中堅・中小企業もあまり変わりません。このため、どういった事業規模の企業においても、問題意識を持って積極的にERPやITシステムへの投資を戦略的に行うのかということが、重要になります。大企業の場合は、システム部門などが存在して、戦略的にERPシステムを導入していこうという考え方が大きいです。一方中堅・中小企業においても、問題意識を持っていらっしゃる方がキーマンとしている場合は、事業規模にかかわらずERPシステムを戦略的に導入されている場合が多いです。
ビジネス上の課題としては、大きく分けて8つ存在すると思います。まず5つを挙げます。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
1 売上を伸ばしたい
2 コストを減らしたい
3 資産を圧縮して、キャッシュフローを良くしたい
4 優秀な人材が不足している
5 海外拠点における企業ガバナンスの確立
これらの5つのポイントを、我々は「成長の課題」と呼んでいます。この5つは、企業が成長していくためには、必ず乗り越えなければならないポイントです。特に中堅・中小企業においては、4と5は非常に重荷になってきていると思います。
例えば、自社の内部にあるITシステムを縦横無尽に活用して、社長などの経営層に分かり易いデータを作れる人材というのは、社内のシステムを熟知して、非常にスキルレベルの高い人材です。このようなレベルの高い人材を、単なるデータ作成のために使っていいのかということがあります。ITシステムを導入し経営層が簡単にデータを見られるようになれば、レベルの高い人材をもっと戦略的なITシステムのデザインや構築に回すこともできます。
また、5に関しては、現在、売り上げ規模にかかわらず海外に拠点(特に、中国、タイ、ベトナム、インドなど)を持っていることが当たり前になっています。これは、労働力という問題だけでなく、ビジネスの相手先自体が海外に拠点を持っているため、どうしても海外拠点が必要になっているためです。大企業であれば、拠点立ち上げに必要なだけの人材を日本から持っていくこともできますが、中堅・中小企業などではそれほど日本人を海外拠点に持っていくことができないため、企業におけるガバナンスの確立などに、大きな問題が出てきています。
残り3つのポイントを、我々は「存続の課題」と呼んでいます。企業が企業としてあり続けるために、必ず行わなければならないポイントという意味です。
6 コンプライアンス(内部統制を含める)
SAPでは、中堅・中小企業約6000社にアンケートを取ったのですが、33%のお客様がコンプライアンスの重要性を挙げられています。約6000社からのアンケートということですので、上場企業だけでなく、未上場企業においても、この部分は重要視されてきているのでしょう。この部分に関して、中堅・中小企業においては大雑把だった部分で、これから非常に大きなポイントになるのでしょう。大企業であれば、コンサルティング会社と契約して、一気にコンプライアンスや内部統制のためにシステムを入れ替えることもできますが、中堅・中小企業などでは、そこまでの投資はすぐには行えないでしょう。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
7 上場に向けての基盤作り
中小企業においても、上場ということは非常に意識されてきています。ここ数年、日本経済の調子も良くなってきたので、企業として飛躍をするために、マーケットで資金調達を行っていきたいという経営層の考え方なのでしょう。
8 ITシステムの老朽化
バブル崩壊後、長い不況のトンネルに入っていたので、ITシステムに対する投資は非常に抑えられていました。ここ最近は業績も上向きになってきたので、再度ITシステムに投資をしようという考え方になってきたのです。また、ITシステム自体が古くなってきたので、メインテナンスなど、コストがかさんできたり、旧型すぎてサポートが受けられなくなったりなどの問題が、さすがに目立つようになったためもあります。
中堅・中小企業にとっては、「人がいない」「費用が少ない」といったことが、ERPシステムの導入が進まないといった現実に表れていると思います。こういったことの解決を我々がお手伝いできるようになれば、もっと各企業の競争力が増すのではないかと考えています。
ERPシステムにテンプレートを応用する
――SAPのERPシステムといえば、非常に高価なシステムといった印象が強いのですが、そのあたりはいかがですか。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
神戸: 少し前までは、SAPのERPシステムといえば一声10億円といったものですが、SAP自体もよりパッケージ化を進めていき、数億円、数千万円といったシステムを提供しています。現在では、中堅企業のお客様には、SAP ERPをベースとしたSAP All-in-Oneを、中小企業向けにはSAP Business OneというERPシステムのパッケージを販売しています。SAP Business Oneは、SAP ERPの機能縮小版ということではなく、中小企業が必要とするすべてのソリューションを提供しています。SAP ERPとの大きな違いはサポートしているユーザー数や動作するハードウェア・プラットフォームなどです。
――システムインテグレーターに大幅にモディファイやオプションソフトの開発を行ってもらわないと、自社の業務フローに合わないといった声も聞いたことがあります。
神戸: SAPのERPシステムは、基本的にはパッケージソフトなのです。プラットフォームを用意して、インストールすれば簡単に動作するものなのです。日本では、各業界、企業によって、独自の業務フローや商習慣などがあったため、それを入れ込んでシステムを開発するとなると、大幅な改良や開発が必要になっていたのです。
しかし、SAPジャパンを設立してもう15年経ちます。この15年間で、われわれ自身もいろいろなシステム導入に携わり、いろいろなノウハウを積んできています。こういったノウハウを、現在の製品に入れ込んでいます。また、システム開発を我々といっしょに行ってくださっているパートナー企業も、いろいろな業種による違いや改良点などの知識を得ていらっしゃいますので、まるっきり1から開発しなければならないということはなくなっています。多くのパートナー企業は基本的なテンプレートを持ち、それが応用できるようになっています。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
たとえば、半導体製造企業なら、今までのノウハウで、特定の業務プロセスが存在することがわかっています。業界共通の部分にはテンプレートを当てはめて、企業固有の部分のみを新しく開発するようにすれば、非常に短時間でシステムを稼働することができます。もちろん、短期間でのシステム稼働は、コスト面でも大きくメリットが出てきます。このような部分は、中堅・中小企業にとっては必須といえるでしょう。
昔は、ERPシステムの構築は年単位のプロジェクトで、人員も十数人専従しなければならなかったものでした。しかし、日本で15年ビジネスを続けてきたおかげで、パートナー企業と我々の内部に相当のノウハウがたまってきたため、これらのノウハウをテンプレート化し、財務会計、管理会計、販売、購買、在庫を対象としたエントリーパックというものを出しています。これを利用すれば、導入に関した専任チームがなくても、兼務の担当者がいれば、半年ぐらいでERPシステムを稼働させられるようになってきています。
ERPシステムの利点はリアルタイム性
――企業においては、すでにさまざまなITシステムが導入されており、これをERPシステムに接続していくのか、新たに財務会計、販売、在庫などのシステムを導入するのかといったことが大きな問題になります。特に中堅・中小企業においては、既存のシステムを変更したくないといった考え方もあるようですが。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
神戸: お客様とお話ししていると、SAPのERPシステムで最も魅力を感じられている点は「リアルタイム」ということです。
経営層の方々は、決算期になると会社がどうなっているか、よく分かるといわれます。しかし、これは本当に現在を反映しているわけではありません。基本的に数か月前の情報を集めてきてドキュメント化しているため、この時点で情報は古いのです。また、決算や月次などの特定の期日にならないと状況がわからないというのでは、経営層は不安で仕方がないというのはよくわかります。
実際、SAPで中堅・中小企業に行ったアンケートでも、「決算の早期化」の必要性を、40%近くの企業の方が感じていらっしゃるようです。「決算の早期化」を求める理由としては、上場へのステップ、情報のディスクローズの必要性といった外部的な要因だけでなく、経営層自体が昨日の状況がどうなっているのかを知りたいということが、大きなポイントになっているのかもしれません。
ERPシステムを導入されていない企業では、月次決算自体を行うのに20日かかっていたという例もあります。これでは、出てきた情報は、約1か月前のデータであって、今を反映したものではありません。また、月次決算を行うのに、人手も相当かかります。こういった状況で決算を早期化しようとすれば、情報を取りまとめるために、残業が増え、コストがかかるといったことにも陥ります。
本当に規模の小さな企業はどんぶり勘定でも状況を把握できるのですが、最も問題になるのは、中規模の企業や海外拠点が多くある企業です。この規模になると、事業が1つでなくなったり、海外拠点のオペーレーションが増えてくることになります。こうなると、社長が一人で把握することはできなくなります。こういった場合、ERPシステムは非常に有益なシステムになります。実際、20日かかっていた月次決算も、SAPのシステムを利用することで、3日で終了したり、リアルタイムで情報を見ることができるようになっています。
SAPジャパン株式会社地域営業本部バイスプレジデント
神戸利文氏
ERPシステムのメリットは、会計に関してだけと思われがちですが、本当に重要なのは販売、購買のシステムがリアルタイムでつながっているということです。企業活動におけるもっとも重要なビジネスを支えているのが、販売や購買といったシステムでしょう。これが会計システムとリアルタイムで連携することで、本当の企業の今を知ることができるようになります。ERPシステムなら、物を売った(販売)、物を買った(購買)といった時点で、データが会計システムに流れ込むようになるので、日々刻々と変化している企業のキャッシュフローなどを、経営層がリアルタイムに把握できます。
中堅・中小企業の方々においても、こういった部分を評価されて、積極的にERPシステムの導入を図られている企業もあります。毎日キャッシュフローなどのデータが確認できるという点ですが、経営層にとってはわかるものならすぐにでも知りたいということなのです。装置産業や化学産業などは1週間でもいいといわれることが多いですが、組み立て産業などでは、日次のデータが見たいという経営者の方が多いですね。このあたりは、業種によって異なるのでしょう。特に、組み立て産業などの業種では、在庫の適正化ということに気を遣われているのだと思います。
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